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妻から愛されるためには「自己執着」と「他者貢献」がヒントになったという話

子どもたちが3歳になった頃のこと。

ぼくと妻の間に目に見えない壁ができていることに、ぼくは気がついた。

妻のぼくへの視線、しぐさ、そういったものが、かつてのそれとはまったく別のものになっていた。

出会った頃の情熱は薄れ、結婚したばかりの頃の高揚感も消え去っていた。

ぼくらは、生まれたばかりの双子を生かすことに精一杯で、右も左も分からないまま、ただ必死で毎日を生きていた。

正確に言うならば、妻は「自分を生かす」ことにも精一杯だったんだと思う。

そして、ぼくは、そんな妻の限界に気づかず、もしくは見えないふりをしてやり過ごし、そして、気がつけば、ぼくらの間には「見えない壁」が立っていた。

あれから4年が経ち、ぼくらの間にあった壁はなくなり、ぼくらは新しい夫婦関係を築き上げられつつあると思う。

妻からの愛情あふれる視線、しぐさ、それらは結婚前とは別物ではあるけれど、そこには確かな「信頼と愛情」を感じ取ることができる。

なぜ、ぼくらは夫婦関係を修復することができたのか?

それは、ぼく自身の「自己執着」を「他者貢献」へと切り替えられたことが大きかったと思う。

今日は、そのことについて書いてみたいと思います。

イクメンと思いながらも妻よりも自分を優先していた

「アツくんはベストファーザーだね」

そんなことを妻の友だちから言われるくらい、ぼくは周囲のパパたちと比べると家事や育児に積極的な方だったんだと思います。

双子が2歳頃までは寝かしつけに苦労していて、時には夜の10時から朝の5時まで、ずっと二人を交互に(時には二人一緒に)抱いてあやしていたこともあったんです。

だんだん明るくなる空を眺めながら(止まない雨はない。止まない雨はない。)と、念仏のように心の中で唱えることで気力を振り絞り、布団に置くと泣き出してしまう爆弾のような双子をあやし続けていました。

深夜の2時から5時頃の授乳をぼくが担当することで、妻に朝方まで寝てもらい、ぼくはまだ夜が明けないうちに家を出て会社に向かっていました。

寝不足でフラフラしながら、頭痛に悩まされながら大慌てで仕事を定時で終わらせ、急いで家に帰っていました。

休みの日は、元気な双子は朝7時から公園を3軒ハシゴして遊び倒し、そんな彼らに付き合うぼくらは、大きくて重い双子ベビーカーを押しながら、ゾンビのようにふらふらしながら次の公園へと向かっていました。

いつも、ぼくら二人は体力と気力の限界で、ある土曜日の朝に妻の実家に突然おじゃまして子どもたちを見てもらい、ぼくらは昼まで寝かせてもらったこともあるくらいです。

ぼくらは倒れるように布団に潜り込み、やっとぐっすり眠ることができました。

今思い返してみると、ぼくは「家庭を回すため」に家事をして、「子どもを生かす」ために育児をしていたんだと思うんです。

そして、ぼくが仕事で家にいない間に、妻の育児能力はどんどん上がっていき、いつしかぼくは、妻に甘えるようになっていったんだと思います。

そしてぼくは、辛い毎日から逃れるように、1週間は家を空ける海外出張に毎月出かけたり、毎年の社員旅行に参加するようになったんです。

”仕事だから出張に行かないといけない”
”転職したばかりだから、使えないやつだと思われたくない”

そんな思いもありましたが、一番思っていたことは「ここから逃げ出したい」という気持ちだったんだと思います。

妻は逃げることができないのですが、ぼくは逃げることができたんです。

しかも「仕事」を言い訳にすれば、妻は断ることができません。

ぼくは、それも分かっている上で、ここから逃げ出したんだと思います。

イクメンという言葉がありますが、家事や育児に積極的に取り組む夫が、妻にとって最適なパートナーであるというわけではないと思うんです。

家庭のために家事をする。子どものために育児をする。

でも、そこには「妻のため」という視点が抜け落ちています。

妻のケアをすること、妻の負担を減らすこと

本来は、これが目的であって、そのための手段として家事や育児という行動があるのだと思うんです。

ぼくはこの目的を履き違え、「家庭のため」そして「子どものため」に行動をしていたんだと思います。

そして、ぼくは徐々にここから逃げ出したいと思うようになり、妻の育児能力が上がった頃に、ぼくは「家庭のため」にも「子どものため」にも以前ほど行動する必要が減ってきたと感じ、妻に甘え出したのだと思うんです。

「妻のケア」や「妻の負担を減らすこと」を目的としてぼくが捉えていれば、ぼくの行動は変わっていたのかもしれません。

そんな生活を送る中で、少しずつぼくらの間には目に見えない壁ができるようになっていったんです。

自己執着を他者貢献に切り替えられた育休体験

このままではまずいと思ったぼくは、今さらながら「妻のケア」を子どもたちが3歳頃から始めました。

少しずつ関係が回復してきた頃に、三男が生まれたんです。

(これは、チャンスだ!)と思ったぼくは、すぐに長期の育休を取る計画を立てました。

調べてみると、女性は産後二ヶ月は安静にしていなければいけない「産褥期(さんじょくき)」という期間があることを知りました。

ということは最低二ヶ月は育休を取らないといけない。一年や半年は難しいかもしれないけれど、三ヶ月なら取れる!

さらに調べてみると、男性の育休は国の制度であることがわかり、会社から育休取得を断られることがないということも分かりました。さらに手取り8割の収入は手当て金として保証されている。

なら、話は簡単だということで、すぐに上司に三ヶ月の育休を取ることを出産の数ヶ月前に伝えました。育休取得はすんなりと受け入れられ、ぼくは社内の誰も経験したことがなかった長期育休を体験することになりました。

妻は帝王切開の予定でしたので、出産の一週間前から入院をしました。

ですので、家にはぼくと3歳になった双子の息子たちです。(後からぼくの母が応援に来てくれましたが、子どもたちもなつかず、何をお願いしたらいいのか分からず、結局ぼくがほとんど一人でやっていました)

妻がいなくなった初日は、子どもたちの保育園への送り時間を一時間間違えてしまって、誰もいない朝の8時に保育園に行って3人で呆然としていました。

毎日のご飯作りも大変で、蒸し鶏とブロッコリーとにんじんの蒸し物を作り置きして、朝ごはんや夕飯のおかずの一つとして食べさせていたんですが、毎日のご飯作りがあまりに辛くて、一週間目でもうイヤになりそうでした。

それから、元気がありすぎてしょっちゅう喧嘩になる双子を怒ってばかりだったんですが、怒ってばかりの自分がイヤで自己嫌悪で泣き出してしまったこともありました。

だけど、この経験を通して、ぼくはやっと妻と同じ世界を見ることができ、妻と同じ感覚を感じられるようになったんです。

そして、ぼくは気がついたんです。

ぼくは今まで、自分のことばかりを優先させてきたと。

自分の欲望ばかりを優先して、妻のことを気にかけていなかったと。

妻が毎日をどんな気持ちで過ごしていたのか。

ぼくに対してどのような思いを抱いていたのか。

妻が退院してからは、「妻のケア」を中心にすべてを考えるようにしました。

家庭のためでもなく、子どものためでもなく、妻のケアのためにすべての優先事項を組み立てました。

これが、ぼくが「自己執着」から「他者貢献」へと意識を切り替えられた瞬間だったと思います。

ぼくは妻から認められたいわけでもなく、社会から「いいパパだ」と言われたいわけでもなく、ましてや「イクメンだ」なんて言われたいわけでもなく、ただただ「妻の負担」を減らしたくて、妻が楽になれるようにと、それだけを考えるようになっていきました。

愛されるためには愛すること、愛するためには貢献すること

ぼくの家のトイレには、この二冊の本がいつも置いてあります。

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これらの本に出てくるアドラー心理学では「幸福とは、貢献感である」と言われています。

自分の欲望に支配されている「自己執着」から抜け出し、他者の幸福を願う「他者貢献」ができるようになった時に、人は初めて「幸福」を感じられる。

まさにこれと同じ現象がぼくにも起こったんです。

自分の欲望にとらわれずに、妻のケアを通して、妻という他者に貢献する。

その流れの中で、ぼくはいつの間にか何気ない幸福感を感じるようになっていきました。

「何気ない」幸福感ではあるのですが、誰かに認められたいという承認欲求が入り込む余地がないくらいの「強固な幸福感」でもあるんです。

そんなぼくの変化に気がついた妻が、ぼくと妻の間にあった見えない壁を取り払ってくれたんだと思うんです。

愛されるためには愛すること。そして、愛するためには貢献することが必要だったのかなと、今では思うんです。

妻との関係に悩む方の参考になれば幸いです。

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