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砂浜に描かれた「夫婦」、寄せては返す「家族」という波。

「ねえ、これで私とパパを撮ってよ」

白く輝く姫路城の前で、妻は9歳の次男にスマホを渡した。

長男と三男がカメラに映り込もうとふざけていたが、ぼくらは家族旅行先でのツーショット写真を数年ぶりに撮ることができた。

その時、こう思ったんです。家族のなかにある「夫婦」という存在に敏感になることが、夫婦の絆を強めるのかもしれないなって。

子育て、家事、仕事、そんな日常生活を慌しく過ごしていると、「夫婦」としての行動ってどうしても難しくなりますよね。

砂浜に描いた文字が波に洗われて消えるように、夫婦という存在も家族という波に飲まれて見えなくなります。

でも、ぼくは寄せては返す波にもまれながらも、夫婦としての存在を意識することがぼくら2人にとっては重要だなって思うんです。

なぜなら、ぼくら2人の時間というのはとても限られており、とっても希少なものだからです。

優先度の高い子育てや家事や仕事に追われ、夫婦の時間への優先度は、波によってはるかかなたに流される海藻のように遠くへと追いやられます。

気がつけばぼくらは、家族という海の中で起こった嵐によってお互いの姿を見失い、2人はまったく違う島へと流されてしまう。

その嵐は産後クライシス、コミュニケーション問題、夫婦喧嘩などと呼ばれる。

2人が流れ着く島の名前は不倫であったり、婚外恋愛であったり、別居であったり、もしくは離婚であったりする。

夫婦にとって2人が共に過ごす時間はとてつもなく貴重です。ぼくらも1日に1時間もあればいい方だと思う。

だからこそ、夫婦という存在を気にかけないといけない。

家族の中にある「夫婦」を大切にするもう一つの理由は、2人の共通体験とそれを語り合う追体験によって絆が深まるからです。

ぼくらは14年前の新婚旅行の思い出を何度も何度も話し続けています。あれは楽しかったね、あれは美味しかったねと、思い出を振り返り続けています。

それから、今回の家族旅行の帰りの新幹線の中で、ぼくらは2人席に横並びに座ったのですが、その時に妻と手をつなぎ、今回の旅行について語り合ったんです。

これも共通体験の追体験です。ともに過ごした時間を振り返り、その思い出をポジティブなものとして、さらに強固にしていく。

トラウマを抱えるクライエント向けの心理療法としてナラティブセラピーと呼ばれるものがあり、それは過去の体験を振り返り、肯定的な物語として語り直すものだそうです。

夫婦がお互いの共通体験を振り返り、語り合うこともポジティブな物語への語り直しだと思うのです。ネガティブな出来事もあるけど、視点を変えることで、肯定的な物語へと変えることができる。

とはいえ、子供が小さいと難しいことも多いですよね。ぼくらもそんなことを意識できるようになったのは、子供が3歳くらいになってからかもしれません。0歳から3歳くらいまでは親がつきっきりになりますもんね。

今でも2人で写真を撮ろうとすると、子供たちがふざけて映り込もうとしたり、少し昔の話ですが、車の中で4歳の長男次男が嘔吐し、1歳の三男がウンチを漏らし、ぼくは霧に包まれた箱根峠を運転しながら発狂するなんてこともありました。

子育てをしていると思い通りにならないばかりで、夫婦という存在を気にかけることを忘れがちになっちゃいます。嵐の中ではボートにしがみつくのが精一杯ですからね。

だけど、だからこそ、ぼくら夫婦は、「2人の瞬間」に気づくことと、その瞬間を作ることを意識しなくちゃいけないなって思うんです。

寄せては返す波に足元をすくわれ転びそうになることだらけだけど、2人でしっかりと手を繋ぎ、家族という波とたわむれながら、時に襲ってくる大嵐に立ち向かいながら、波打ち際を2人で一緒に歩いていきたいと思うのです。

夫婦という存在を常に意識しながら、砂浜を歩き続け、家族という海を泳ぎ続けることが、ぼくらの絆をさらに強いものへと変容させてきたからです。

この話は今朝のVoicyでもお話しているので、ぜひ合わせてお聴きください。

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ー今朝のVoicy

(Voicyオリジナル放送は平日火曜〜金曜6:15AM)

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