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準特等、ぜんぶ、無駄に思ったりしませんか

つい先日に年を越したばかりなのに、もう1ヵ月が経とうとしている。早い。このまま3月がきて、終わり、4月になって、社会人になり、のペースで事が進むのを想像すると、さすがに「ちょっと待って」といいたくなる。

時間は淡々と進む。ただ、驚く早さで過ぎる日々の中で思ったのは、「なんだ、ぜんぶ終わるんだ」ということ。徹夜して頑張ったテスト勉強も、凡ミスばっかしたアルバイトも、「大学生」を満喫したサークル活動も、気づいたらすべて何事もなかったかのように終わろうとしている。

大学卒業後に約40年を費やす社会人生活も、いつか終わりが来るのだろう。時間が定められているものは、いつか終わる。また、明確な期限がないものでも、あるときには。

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おそらく不幸になりたかったのだと、今は思う。

毎日がつらくて何も考えたくない日々が、暗いトンネルの中にずっといるような時期が、しばらくあった。

当時は、すべてが無駄だと思っていた。必死に勉強することも、友達とご飯を食べることも、サークル仲間と遊びに出掛けることも、恋人と会うことも。

「どうせ全部終わるのに」

自分の行動に意味が見いだせなくて、「なにこれ、つまんな~」と思うばかりの日々。当時は、自分の人生がいつ終わってもいいと考えていた。

自分から不幸と感じることによって、自ら悲劇のヒーローに見立てることによって、自身を慰めていた。そうすることで、嫌いな自分と共になんとか生きられていた。そうすることしかできなかった。

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いつの日か、「毎日がつまらない」と思う日々が少なくなった。いつかもわからないし、明確なきっかけはない。けれど、あるときに「やっぱり幸せになりたい」と思いはじめたことは、心理的な変化としてあった。

当時のことを「誰にでもある時期だった」と思いたくないのは、少し傲慢な態度だろうか。


…準特等。ぜんぶ無駄に思ったりしませんか。
‘‘いつか’’すべて「無駄」になる。生きていくことも、死んでいくことも、つくることも、消費することも、価値なんてない。意味なんてない。すべてくだらない。
漫画「東京喰種」より抜粋

「どうせ全部終わる」「すべてが無駄」と考えていた自分にとって、このセリフはつよい味方のような言葉だった。

事実そうなのだと思う。いつかすべて無駄になって、終わる。何事もなかったかのように全部無くなってしまう。

けれど、だからといって何もせずにただ終わることを待ちたくはない。「幸せになりたい」と思いはじめた自分は、こう考えられるようになった。どうせ終わるなら、終わるまで楽しんだほうがいいと思うから。

いつか、全部無駄になる

ならば、そう分かっているのなら、無駄になってしまう日々をただ浪費するのではなく、夢中になろうと思った。友達との、家族との、恋人との日々を存分に楽しむよう努める。すべて無駄になるまでただ待つよりは、そっちの方が幸せでいられる気がするから。

いつか来るであろう終わりの日まで、「今日も楽しいね」なんて言えていたら、とてもいい。

僕、おじいちゃんとおばあちゃんになっても、こうしていたいなあ。
わたし、おばあちゃんになんてなりたくないよ、ニムラ。
え~そう?楽しいよ、きっと。
……うん、きっとそうさ。

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