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RADIO Lolland Vol.7 風力発電の奇妙な現象、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟議論、ペダゴーについて

RADIO Lolland いまを生きるラジオ

〜デンマーク、日本、ときどき禅

出会いの交差からうまれる気づきと発見、いま、ここにあることを楽しむRADIO Lolland。ニールセン北村朋子が感じること、時にはゲストをお迎えしてのクロストークを、デンマーク🇩🇰ロラン島からお届けします。

みなさん、こんにちは!
noteでのアップデートが遅くなりましたが、今週もRADIO Lolland Vol.7、無事に公開しています。

風が吹くのに風車が止まる不思議

ずっと不思議だったんです。
たまに、見かける光景で。
とってもいい風が吹いている感じの日なのに、風車が軒並み止まっていることがあるんです。なんでだろう?メンテナンスの時期なのかなぁ。
でも、そうではないんですよね。話には聞いていたけれど。
DRのニュースで報道されていました。

2021年は、デンマークの全電力消費量の43%が風力発電で、4%が太陽光発電で賄われています。欧州では、電力市場は自由化され、送電網も国際グリッドとして各国とつながっています。隣国のドイツやノルウェー、スウェーデンともそのようにして、お互いに電力を融通しあっています。風力発電をしている、デンマークの農家さんなども、ドイツへの送電契約を結んでいますが、時として、その約束した電力量を送電できないことがでてきます。
ドイツの送電網は、ドイツ北部やデンマークでの電力生産規模に対して容量が小さく、ドイツ国内では、ドイツの再生可能エネルギーが最優先で優先接続されるルールがあるので、そうなると、ドイツ側から、デンマークの風車を止めて、発電を停止してほしい、その代わりに補償金を払います、という依頼が来るのです。
困った問題は、風車が予定通り稼働して発電できないということだけでなく、その補償金がかなり歩の良い金額なので、風力発電機のオーナーたちは、発電しないほうが「儲かる」という事態になっていること。風力発電機のオーナーも、デンマークの国としても、再生可能エネルギーの生産の機会をできるだけ増やしていきたい一方で、風車建設時に多額の投資をしている風力発電機のオーナーにとっては、実入りがいい、この補償金制度にNo!というのが難しいのです。
現在、欧州各国は、ロシアからの天然ガスの輸入を極力減らし、早い時期に、段階的にストップしたいと考えている時期ですし、できる限り多くの再生可能な手段でのエネルギー生産を増やしていきたいので、なんとも悩ましい。ドイツの代わりを、ノルウェーやスウェーデンにやってもらっても、あまり問題解決にはならないので、やはり、デンマークが今熱心に取り組んでいる、Power to X、Power to Gasという形で、電力が余っているときでも、別の形に変えてエネルギーを貯めておける、使い回せるシステム構築を加速させる必要があります。

フィンランドとスウェーデンのNATO加盟の議論

4月13日に、フィンランドのマリン首相とスウェーデンのアンデション首相は、ストックホルムで首脳会談を行い、北大西洋条約機構NATOの加盟という政策転換へ舵を切る可能性が高まっています。共同記者会見でも、マリン首相は、「数カ月ではなく数週間以内に」政府の決定がくだされるだろうと語りました。
スウェーデンは、フィンランドほどのスピード感は持てなくとも、遅かれ早かれ、NATOに加盟する方向性のようです。
1949年からNATOの原加盟国であるデンマークにとっても、この隣国の大きな政策転換は良いニュースとして受け止められています。
特に、バルト海周辺の安全保障に関して、ノルウェーに加え、この北欧が加わり足並みが揃うことは大きな意味があります。
6月にマドリードでNATOの首脳会談が行われ、スウェーデン政府の安全保障政策の見直しも5月末までに行われる予定。9月には、スウェーデンでは総選挙も予定されています。このあたりが、スウェーデンのNATOの加盟のターゲットになりそうです。

ペダゴー

近年、日本で注目を集めているデンマークの言葉に、「ペダゴー」がありますね。
番組の中では、デンマークでペダゴーという職業が生まれた背景について、少しお話ししています。
私の息子も、幼稚園時代からずっとお世話になってきました。
友人にも、幼稚園や学校のペダゴー、障がい者支援施設のペダゴー、高齢者福祉施設のペダゴーなどいろいろな人たちがいますが、誰もがとにかく「聞き上手」。気づいたら、いろいろなことを聞いてもらって、自分で答えが導き出せる方向に向かわせてくれるんです。否定をせず、とにかく受け止めてもらえることの嬉しさ、安心感、ありがたさ。デンマークでは、まわりに、そんな人がたくさんいるのです。ペダゴーでなくても、対話の基本はほぼ誰でも知っているので、とりあえずは受け止めてもらえる。いつも必要なのは、同調ではなく、同意だけでもなく、まずは、じっくり人の話を聞いて理解しようとしてくれる。そういう関係性なのかもしれません。

桜月間も3週目


4月は「桜月間」ということで、今週もトーベン・ヴェスタゴーの「Kirsebærsne/桜吹雪はなふぶき」をお聴きいただけます。
みなさんの暮らす町の今年の桜は、どんな感じですか?
コペンハーゲンでは、満開のようですが、もっと南にあるロラン島では、まだ満開まではいっていないんですよね。どうしてだろう?
菜の花も、ぼちぼち咲き始めていて、薄い桜色に混じって、黄緑と黄色も少しずつ眩しくなってきています。

それでは、みなさんにとって、今週もワクワクする一週間でありますように!

どうぞ、ゆっくりくつろいでいってくださいね。

番組のご意見やご感想もお待ちしています!

DANSKコミュニティへのご参加もお待ちしています!
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#DANSK #RADIOLolland #風力発電 #NATO #ペダゴー #桜

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