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8/7 今週の展望(ファンダメンタルズ)

こんばんは、アトレです。
今日はファンダをやります。

まず今回もなんで相場がこんな割高なのか?の部分から行きます。現在、SP500の84%の企業が決算発表を終えました。その内、79%がアナリスト予想をクリアです。これは77%が5年平均なので比較的Positive Surpriseな展開が続いています。
*但し、このQ2は▲7.3%の収益減なので、2020年Q2以来の収益減少を記録しています。
先週も言いましたが、Q3、Q4は劇的な経済回復を見せるというアナリスト予想なので、「今が底だ」という買いが入っているのが現状です

ただ、面白い現象が起きていて、決算がアナリスト予想を超えているのに下落する銘柄が多いのがこのQ2の特徴です。これは2011年Q2以来の出来事のようです。
特にテスラは決算発表付近の1週間で10%も下落しており、単にクリアするのではなく、中身も求められる決算シーズンとなっているようです。

面白い事に、「収益」ではなく、「売上」に目を落とすと、アナリスト予想を超えたのは65%まで落ちます。これの意味が分かりますか?
企業は売上が大して伸びてないのに収益が増えているという事です。
今はインフレ環境下なので、企業にとっては原料費、人件費などコスト上昇が利益を圧迫する局面ですが、売上がさほど伸びていないという現象は、企業がコスト上昇を十分に価格転嫁できていない事を示します。一方で、人件費を削ったり、テレワークでオフィスを移転、或いはフロア数を削減してコストを削るという動きが出ているので、売上停滞、利益向上の絵姿が出来上がっているようです。
その証拠に、先週の雇用統計では正社員の数が減少し、安価なパートタイマーの採用数が激増していました。つまり、雇用統計の上っ面の数字では見えない、中身の変化という物が起きているようです。

以下の雇用統計の中身を見ると、7月は大きな変化があり、正社員が60万人減少し、パートタイマーが100万人近く増加した事が分かります。
様々な理由があるのでしょうが、一般的には正社員が増加する時が景気の拡大期で、パートが増えるのは企業が繁忙期が長く続かないと見ていると考えてもよさそうです

出所:雇用統計(BLS)

つまり、これまでの決算を通して、企業は「今が底、今後景気は拡大」という路線を維持したままであるものの、労働力に関してはパートで賄うなど本格的な景気拡大とは見ていない感じも致します。

では、現在の景気はどうなっているのか?
米国経済の要であるサービス業(つまり非製造業)のデータを紐解くと、以下のBloomberg記事のように、サービス業はまだ景気拡大が続いており、半年以上縮小局面が続いている製造業と異なり、比較的この産業についている方からのコメントは楽観論が出ている模様。つまり、サービス業を中心に、高金利下ではあるものの、需要は底堅いようです。

米ISM非製造業総合景況指数、7月は拡大ペース鈍化-雇用減速 - Bloomberg


低い失業率と賃金の持続的な伸びが家計支出を支えているにもかかわらず、インフレ圧力は緩和しつつある。とはいえ、米金融当局の目標にはまだ程遠く、好調な景気により高い物価圧力が長引く恐れもある。

記事から引用

とのコメントがあり、インフレ圧力が緩和とあるが、ここは勘違いが無きようにお伝えすると、現在もインフレは進行し続けており、それに合わせて賃金も増加しているので、ここからは下がりづらいインフレとの長い闘いになることが予想される。ここから最も警戒すべきはスタグフレーションです。
今は高い金利に対して景気や労働市場が強すぎる為、恐らく半年~1年というスパンで高金利を維持する必要がありそうです。

一方で、金利が高いがゆえに、資金繰りが悪化し倒産する企業も増えてきており、経済と金利の我慢比べの様相です。このまま雇用や経済が強いままだと高金利を維持したまま、増え続ける倒産を見送る形になるので、熱い湯船に入り続けるように、いつかどこかで限界が来るので、もう少し経済の方が弱くなるというバランスのとり方をしないとまずそうです。

尚、CPIについては今週再度Upしますが、現在のところの見立ては総合値3.2%、コア4.7%です。もしこのままの数字で出れば株価には追い風な感じはしますね。

次に株式のバリュエーションです。
チャートを見ると、大きなダブルトップをつけて、7月までの「何が起きても上がるんだ」という暴力的な上昇から一服して、決算も進んでいく中で、
決算後に「やったー、上昇再開!」という感じでもなく、少し冷静さを取り戻したかのような環境になっております。

そんな中、冷静になった市場参加者には今のバリュエーションがどう映るか?ナスダック、SPいずれもコロナバブルの最盛期並みの割高水準に達しています。今後業績がしっかりとV字回復すれば正当化されますが、果たしてそうなるのか。そうならないストーリーが出てきた時に株価は落ちやすくなります。

引用元:株式マーケットデータ

次に、その肝心な企業収益であるEPSを見ていきます。あえてナスダック100だけに注目すると、現在の予想EPS524は大体、6月末~7月頭の水準です。ティッカーNQ1!ベースで14800-15000だったころです。
*現在は15450付近なので、当時の株価が正だとすると500-700ポイント分、500-700point程度の下落余地がありますね。

引用元:株式マーケットデータ

今週も頑張っていきましょう。



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