見出し画像

番外編 EPSとPER(前編 EPS)

今日は番外編でEPSとPERについて語りたいと思います。
普段、テクニカルを志していらっしゃる方はチャートの分析に熱心になって、「よく考えるとEPSとPERってなんだっけ?」という方も実は多数いらっしゃるようです。

そこで、今日は最低限知っていた方が株式投資、トレードが楽しくなるEPSとPERについて少し解説をいたします。深い事は話さず、実用的なポイントだけをかいつまんでイイ感じにお話しますね。

まずはEPS。
元の言葉はEarning per Shareで、1株当たりの利益を指します。これは、企業の純利益を総発行株数で割ったものです。出てくる数値は各社でバラバラなので数値の大きい小さいは気にしないでいいです。大事な事はこの数値が過去から上昇している事、そしてアナリスト予想より高いかどうかの2点です。

EPSの考え方は、企業の純利益÷総発行株数で計算されます。
以下のAppleの例で言うと、この図がP/Lなのですが決算発表された時にPress Releaseで一番最初に出てくるのが大体P/Lです。黒丸をつけた箇所が純利益(Net Income)ですね。

画像引用元:Apple

因みに勘のいいひとは分かったかもしれませんが、Appleは大変珍しい9月決算期の会社ですので、7-9月期が第四四半期(Q4)で、10月~翌年9月が1年の決算期ですね。上の方に書いてある通り、Twelve months endedと書かれた方が12か月の累計で、左側のThree months endedと書かれた方が第四四半期だけの数字です。

そして、その純利益(Net Income)で割ったのがEPSですね。
先ほどの純利益の少し下に書かれています。6.13ドルですね。
BasicとDilutedと2つに分かれていますが、難しい事は割愛してDilutedを見る人の方が多いので、「Dilutedを見る」と覚えて差し支えないと思います。

因みに赤丸が総発行株数です(単位は千)。昨年の16,325,819千株からやや減っているのは自社株買いをして総発行株数を減らしている為と思われます。

そう、自社株買いをするとなぜ株価が上がるのか?それは総発行株数が減るので、計算上、勝手にEPSが上がる為です。EPSが上がって仮に株価がそのままだと株価はEPS(上昇)x PER=株価なので、株価が上がらないとPERが減る(割安化)ためです。また追って説明しますね。

EPSは企業の稼ぐ力を表します。
そして株価はEPS x PERという計算式なので、決算の結果EPSが下がるとPERが高くなり割高感が出るので株は売られ、決算が良いとPERが下がり割安感が出るので買われる!という仕組みです。

なので、「決算がアナリスト予想より悪かった!」という理由で一瞬ショック的に株が売られても、EPSが順調に上昇していれば割安感から買いなおされるパターンはよくあるケースです。

ナスダック、S&P500のような指数にもEPSはあります。これは各社のEPSを合計したものです。以下の株式マーケットデータのサイトで毎日更新されるのを確認できます。
EPS(ナスダック100・S&P500・ラッセル2000)の推移とチャート (stock-marketdata.com)

具体的には以下の図のような感じ。
ここではナスダック100、S&P500、ラッセル2000の実績EPSと予想EPSが毎日更新されています。実績EPSは過去12か月のEPSの合計値を指しており、予想EPSは未来12か月先のEPSのアナリスト予想値を指しています。
大事なのは予想EPSです(Forward EPSとも呼ばれます)。
これは、例えば今企業収益がボロボロでも、株価は未来をすぐに織り込むので、1年先のEPSが大きく伸びる予想の場合、株価はその好調なEPSをベースに織り込みに入るので株価が伸びやすい訳です。

画像引用元:株式マーケットデータ

では、この表から何を読み取るべきか解説します。
①ナスダックは実績よりも予想が高い。
つまり今後1年間は収益が伸びる可能性が高く株価が伸びる可能性が高い
②ナスダックは10/6時点と11/24時点の予想EPSがほぼ同じ値なのに今の方が株価が1000ptも高く、割高感が出ている。超大事!!
③S&P500、ラッセルは実績EPSと予想EPSの差が狭く、今後1年間の利益成長がほぼ無いと見込まれている。これは高金利による引き締め効果が企業収益を圧迫するため。
大体こんな感じです

よく見てみるとS&P500とラッセルでEPSが1年先予想で伸びていないのはかなりマズイですね。株価を伸ばす2つのエンジンであるEPSとPERの内、1つが機能しないという事ですから。


尚、以下のようにグラフとしてナスダック100のEPSと株価の比較を見る事もできます。EPSが正に株価に連動性が高い事が分かります。EPSは2022年に大きくへこみ、今は改善傾向にあります。このまま伸ばせられるか、高金利に負けて再度下落するかがポイントです。

EPSの箇所で言いたいポイントをまとめます。
●EPSは株価を伸ばす2つのエンジンの1つであり、プラス成長でないと株価の伸びがあまり期待できない。
●自社株買いはEPSを伸ばす効果があり、株価が上がりやすくなる。
●実績EPSと予想EPSを見比べ、未来である予想EPSが上昇する事が肝心。
●後述しますが、EPSは企業が自らの努力で伸ばせる。一方、PERは中央銀行の金利政策に大きく左右される為、EPSがゼロ成長の場合、金利が大きく株価を動かす。

ここから先は

0字

米国株・半導体を中心にファンダメンタルズ情報を発信します。 更新頻度:週1~2回 決済は、お申し込みをいただいたときに初月分が発生し、そ…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?