2024PGAツアープレーオフ BMW選手権
1.日程及び会場
〇日程 2024年8月22日~25日
〇会場 キャッスルパインズGC(コロラド州)
〇全長 8130Y(Par72)
2.結果
優勝 キーガン・ブラッドリー -12
(2年ぶりのツアー通算7勝目)
T2 サム・バーンズ -11
T2 ルドビグ・オーベリ -11
T2 アダム・スコット -11
T5 キャメロン・デービス -8
T5 トミー・フリートウッド -8
T5 キム・シウー -8
T5 ザンダー・シャフリー -8
3.50位からの”下剋上”、終始老練なゲームプランで2年ぶりの優勝、キーガン・ブラッドリー
いつもとは違う高地での戦い、飛距離が平地より1割飛ぶ環境で出場全選手が四苦八苦する中、3日目に単独首位に立ったキーガン・ブラッドリーが2バーディー2ボギーのイーブンパー72。トータル12アンダーで昨年のトラベラーズ選手権以来のツアー通算7勝目を挙げました。
逃げ切り優勝はこれが2回目です。
〇沈着冷静なゲームプランでも、勝負所ではきっちりと
最終日のピンがグリーン手前の難しい位置に切られ、爆発的なスコアが望めないことを見越したブラッドリー。
ショットはフェアウェイに、グリーンは2パットでという基本に忠実なゲームプランに徹しました。
1H(Par5)でいきなりバーディーを奪ってからはずっとパーが続くという、当初立てたゲームプラン通りにはまりました。
14H(Par5)でティーショットを右に曲げるもパーセーブ、15H(Par4)ではセカンドショットがグリーン奥のバンカーに入り、スタンスをとりにくいところにボールが止まり、ピンを狙えば池に入るリスクもありましたがこれを回避。ボギーで終わるもまだ首位を守りました。
そしてキャッスルパインズで一番易しい17H(Par5)。
ティーショットがフェアウェイを捉え、残り220Yあったセカンドショットをピン右5mに2オン。
難なく2パットにまとめバーディーを奪い、試合が決まりました。
〇50位からの”下剋上”達成
先週のプレーオフシリーズ第1戦・フェデックスセントジュード選手権では36位に終わり、今週からオフもあり得たブラッドリー。
この優勝でフェデックスカップ2000ポイントを獲得し、一気にランク4位まで上昇しました。
昨年レギュラーツアー最終戦とプレーオフシリーズ第1戦を連勝し、フェデックスカップランキングを一気に上昇させたルーカス・グラバーを彷彿とさせる今年のブラッドリーです。
〇父親が現場で初めて見る、息子の優勝
今週父親のマークさんが、息子キーガンが戦っているところを現地で観戦、見事に息子の優勝シーンを初めて現場で見届けることができました。
〇来週が終わっても、大仕事が立て続け
来週のツアー選手権が終わっても、ブラッドリーにオフはまだ来ません。
来月末の米国チーム対インターナショナルチームの団体戦・プレジデンツカップはキャプテンのジム・フューリックを支える副キャプテン、そして来年は米国チーム対欧州チームの団体戦・ライダーカップのキャプテンを務めます。
特にライダーカップに関しては、自分のマッチが負けたために欧州チームに負けてしまい、ライダーカップ各選手に贈られるスーツケースを開けずにいる過去があります。
次回は母国での開催(ベスページブラック)もあり、前回奪われたカップを奪還するのが最大命令です。
これを達成すればスーツケースを開けられ、過去の封印が解かれます。
3.4年ぶりの優勝は成らずとも、昨年プレーオフ出場を逃した無念を払いのけた、アダム・スコット
昨年は不振もあり、プレーオフシリーズに進むことができなかったアダム・スコット。
先月のジェネシススコティッシュオープンから好調を取り戻し、プレーオフシリーズに帰ってきました。
41位で迎えた本大会で上位フィニッシュが必要な中、第2ラウンドでは9アンダー63のコースレコードをマークしました。
週末2日間はなかなか思うようにはいかず、持ち前のショットでチャンスは作るもののなかなかパットが決まらずストレスが溜まる展開に。
それでも最終ラウンドはイーブンパーの72、トータル11アンダーの2位タイに入り、フェデックスカップランキングも堂々の14位に上昇しツアー選手権出場を決めました。
PGAツアー初出場が、このコースで行われた2000年のジ・インターナショナルだったスコット。”思い出の地”で再び輝きました。
〇メジャー大会100試合連続出場も見えてきた
ツアー選手権に出場した30選手には、来年のマスターズ、全米オープン、全英オープン3つのメジャーに出場が可能です。
マスターズに関しては13年に優勝し生涯出場は可能ですが、その他は世界ランク上位を保ち続けることが必須条件です。
今年のスコットは、全英オープンは昨年のオーストラリアオープン上位で出場可能。全米プロは世界ランク100位内ということで出場は確実。残る全米オープン出場が懸念点でした。
開幕前1ヶ月の世界ランク60位内が出場条件なのですが、スコットはその時圏外に。
全米オープンの地区予選にも出場しましたが、同郷のキャメロン・デービスにプレーオフで敗れ、連続出場記録が91(当時)で途絶えてしまうのかと思われた矢先、直近の世界ランク60位内にスコットが入ることが判明して連続出場記録を92に更新できました。
今年の全英オープンが終了して記録を93に伸ばし、100試合まであと7までと迫りました。
これで3つのメジャーに出場可能で、最新の世界ランクで21位に入ったことを考えれば全米プロも出場確実なので、来年すべてのメジャー出場は安泰です。
スコットに怪我など大きな出来事がなければ97まで記録が伸びます。
再来年の全米オープンで節目の100試合となるので、再び注目が集まることでしょう。
それにしても四半世紀もの間世界で戦い続けることができるスコットを、若い選手達はどんどん吸収していく必要があるはずです。
4.晴れたり雷雨だったりと目まぐるしかった今大会、ルドビグ・オーベリ
高地の天候が目まぐるしいように、今大会はアップダウンが激しかったルドビグ・オーベリ。
第1ラウンドでいきなり連続ダブルボギーがあったかと思えば、第2ラウンドはスコットと並ぶ9アンダー63のコースレコードをマーク。
スウェーデンの同郷、アレックス・ノレンとのツーサムになった2日間も、ラウンド中に鼻血を出し白のポロシャツにつけてしまうハプニングもありながらバーディーを奪うも、11H(Par3)では手前のクリークに打ち込みダブルボギー。
そうかと思ったら14H(Par5)では、セカンドショットをピン左奥10mにつけるもイーグルパットを決め”バウンスバック”。
最終ラウンドもバウンスバックが2回ありながらも、1アンダー71でまとめトータル11アンダーで大会を終えました。
〇体感したことがないこの1年
思えば昨年5月まではテキサス工科大の学生だったオーベリ。
プロ転向してDPワールドツアー、オメガヨーロピアンマスターズでプロ初優勝を挙げた余勢でライダーカップ欧州代表に選抜され、カップ奪還の立役者に。11月のPGAツアー最終戦、RSMクラシックで高いスキルを存分に見せツアー初優勝。
強豪達と争う今年、優勝こそないものの2位が3回を含むトップ10が8回あり、伍することなく戦えることを証明しました。
”実質のツアー1年目”でフェデックスカップランキング5位でツアー選手権を迎えることができます。
このところファイナルラウンドにスコアを崩す傾向があるので、改善すればまた一段ステージが上がることでしょう。
5.BMW選手権で泣いた人笑った人
ブラッドリー、スコット以外に30位内に入れた選手は2人。
31位のトミー・フリートウッドが22位に、32位のクリス・カークが26位に入りツアー選手権出場を決めました。
逆に大会前は30位内だったのに弾き出された選手が4人、ブライアン・ハーマン(29→31位)、ジェイソン・デイ(25→33位)、デービス・トンプソン(26→34位)、デニー・マッカーシー(30→35位)です。
いよいよPGAツアー2024シーズンも最終戦、ツアー選手権を残すのみとなりました。