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2024PGAツアー ザ・メモリアルトーナメント


1.日程及び会場

〇日程 2024年6月6日~9日
〇会場 ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
〇全長 7569Y(Par72)

2.結果

優勝 スコッティ・シェフラー     -8
 (今季5勝目、ツアー通算11勝目)

2  コリン・モリカワ        -7

3  アダム・ハドウィン       -4

4  クリスチャン・ベゾイデンハウト -3

T5 マット・フィッツパトリック   -2

T5 ルドビグ・オーベリ       -2

T5 セップ・ストラカ        -2

T8 松山英樹            -1

T8 イム・ソンジェ         -1

T8 トニー・フィナウ        -1

T8 ザンダー・シャフリー      -1

3.トーマス以来の年間ツアー5勝目、うちシグネチャーイベント3勝、無双状態はいつまで続く?スコッティ・シェフラー

 この日の平均スコアが3オーバー75に近づき、メジャーをミュアフィールドビレッジでも行っていい位まで難しいコース状況になった最終日。
 アンダーパーをマークしたのはたった6人だけ。
 3日目2位に4打差をつけスタートしたスコッティ・シェフラーも例外ではありませんでした。
 シェフラーにしては珍しく、パー5で1個もバーディーを奪えなかった苦しい展開。それでも勝負所をきっちり弁えていました。
 結局最終日は1バーディー3ボギーの2オーバー74、トータル8アンダーで今季5勝目を挙げました。

〇今年初、我慢する展開での優勝

 これまでの4勝は勝負所でバーディーを奪い、対戦相手を圧倒して勝ち切るパターンの多かったシェフラー。
 ただ今回は日に日に難しくなっていくコースコンディションで、多くバーディーを望める状況ではありませんでした。
 バーディーが奪えずフラストレーションが溜まりながら、1打リードで迎えた難易度の高い終盤3ホール。
 16H(Par3)で長いパーパットを決め、17H(Par4)でボギーを叩いたものの、最終18H(Par4)では下り2m位のパーパットを残しましたが、腕が縮こまることなくスムーズに動きパーセーブ。
 大ギャラリーの歓声と、大会ホストのニクラウスとがっちり握手を交わしました。

〇ボギー回避率もトップ

 ボギー以上のスコアを記録したホールの総数を、今まで大会でラウンドした全ホールで割った割合を示すボギー回避率。
 シェフラーは8.75%(RBCカナディアンオープン終了時)で1位、ショット力がクローズアップされますが、綿密な試合運びやコースマネジメント、そしてキャディのテッド・スコットの能力の高さがわかります。

〇初めて我が子に優勝をプレゼント

 優勝インタビューで先月誕生した息子・ベネット君を抱きかかえるメレディス夫人が紹介され、笑顔のシェフラーとインタビュアーのアマンダさん。
 先月何かと騒がせましたが、初めて愛息に優勝をプレゼントする姿は一週早い父の日のようでした。
 ニクラウス夫人のバーバラさんも祝福してます。


〇久しぶりのツアー5勝をマークした選手誕生、あといくつ積み上げる?

 夏場の試合で初めて優勝、そして今年のツアーで5勝をマーク。2017年にジャスティン・トーマスがマークして以来の記録です。
 まだまだメジャーも2大会残っていますし、プレーオフ3試合も残っています。
 全盛期のタイガーに近づいてきたシェフラー、治まることを知りません。

4.マスターズのリベンジはならずとも、シェフラーを追い詰めたことで全米オープンにつなげたい、コリン・モリカワ

 マスターズの最終日最終組、シェフラーと一緒だったコリン・モリカワ。
 このときは中盤2つのダブルボギーで優勝争いから脱落しましたが、今回は少し違いました。
 再びまみえた最終日最終組で4打差はあったものの、なかなかスコアを伸ばせないシェフラーに対し、前半に1つスコアを伸ばして差を縮めて来たモリカワ。
 12H(Par3)で先に長いバーディーパットを決め、シェフラーを1打差まで追い詰めました。
 しかし追い詰めたところまではよかったものの、そこから並んで抜くことはありませんでした。
 それでも最後の最後まで絶対王者を追い詰めたことは評価したいモリカワ、全米オープンでグランドスラムにリーチをかけたいところです。

5.初優勝から10年、コースとの相性は健在だった、松山英樹

 ケビン・ナとのプレーオフを制し、ニクラウスと固い握手を交わしたツアー初優勝から丁度10年、松山英樹とミュアフィールドビレッジの相性は変わらぬままでした。
 1オーバーからスタートした最終日、5H(Par5)でバーディーを先行させた中での8H(Par3)。
 ボールがピンに当たるスーパーショットでバーディーを奪いました。
 その後バーディーとボギーが2つずつあり、4バーディー2ボギーの2アンダー70で終了。トータル1アンダーの8位タイで終えました。
 最終日アンダーパーで回った6人のうちの1人です。
 初優勝から10年が経った現在でも、自分のゴルフに対しストイックな姿勢で臨んでいる松山。30代になっても向上心は健在です。
 大きな大会がまだ続く6月、ファンの期待も高まります。 

6.雑感

〇大会ホストのニクラウス、今年の日程にクレームを入れる

 昨年までは全米オープン開催2週前に開催されていたメモリアル、シグネチャーイベントとして昇格試合となり、賞金やフェデックスカップポイントが増加され魅力ある大会になりました。
 しかし今年からはPGAツアーのスケジュールが変更され、メモリアルがカナディアンオープンの後に開催されることに。
 これによりメモリアル、全米オープン、トラベラーズ選手権と続くことになりました。
 この日程に対し、もう少しPGAツアーは考慮すべきなのではとニクラウスが会見で話しました。

 選手時代メジャー前週はオープンウィークに当てていたニクラウス、メジャーで自身のパフォーマンスを最大限に発揮できないという理由です。
 先週カナディアンオープン優勝したロバート・マッキンタイヤも、これだけの大きな大会が連戦状態になると、体がもたないということでメモリアルを欠場したことがやり玉に挙げられました。
 それでも今年のスケジュールはシグネチャーイベントの前後にメジャーが行われる、シグネチャーイベントを強調したいPGAツアーの考えが見え隠れしています。
 もっと選手に対し、無理をさせないようパフォーマンスを十分に発揮できるスケジュールでも良かったのではと考えます。

 またシグネチャーイベントに出場できず全米オープンの出場資格のない選手が、3週間オープンウィークになって再開後実力を発揮できるかどうかも不透明です。
 ここにも”裏開催”の試合を設け、実戦感覚を錆びさせないようにするのもPGAツアー側は考慮すべきでしょう。

 そのうえ大会名になっているメモリアルは、5月最終月曜日が戦没将兵追悼記念日(通称:メモリアルデー)から取っています。
 通常PGAツアーやメジャーは、月曜から日曜までを大会期間としていますが、メモリアルトーナメントの開幕日であるメモリアルデーから”ずれてしまった”ことで、古くからのファン達が今年以降日程に違和感を感じていくのも、無理はありません。

 アメリカでは5月の最終月曜日は「戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)」。メモリアルトーナメントには、戦没者を追悼するという意味と、ゴルフの歴史上の偉人たちを讃えるという意味でのメモリアル、ふたつの意味がかかっているそうです。
 コースを歩いていると、そんなゴルフの偉人たちを顕彰する銅板を見つけました。マスターズの創始者でもある球聖ボビー・ジョーンズ。そしてこの試合の創始者である帝王ジャック・ニクラス……この場所にいると、自分がゴルフの歴史の一部になったような感慨が湧いてきます。

みんなのゴルフダイジェスト

〇最下位で終了するもかけがえのない4日間となった、ジャクソン・コイブン

 大メジャー並のフィールド、そして難コースのミュアフィールドビレッジで唯一アマチュアで出場しながらも週末に進むことができた、オーバーン大1年のジャクソン・コイブン。
 最終結果は最下位に終わったものの、かけがえのない週末となりました。
 ニクラウスから声を掛けて貰えたことは、今後の人生に大きな影響があるはずです。
 これにより、PGAツアーユニバーシティアセレートポイントをまた1ポイント加えることとなり、在学中でツアーカード取得に必要な20ポイントまであと5までとなりました。
 これからポイントの対象となるアマチュア世界ランクや、全米アマチュア選手権の結果如何では20ポイントに到達する勢いのコイブン。
 この名前も、覚えておいて損はありません。


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