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2024PGAツアー ジェネシスインビテーショナル


1.日程及び会場

〇日程 2024年2月15日~18日
〇会場 リビエラCC(カリフォルニア州)
〇全長 7322Y(Par71)

2.結果

優勝 松山英樹         ー17
  (PGAツアー通算9勝目、アジア人最多)

T2 ウィル・ザラトリス    ー14

T2 ルーク・リスト      ー14

T4 アダム・ハドウィン    ー13

T4 パトリック・キャントレー ー13

T4 ザンダー・シャフリー   ー13

7  ハリス・イングリッシュ  ー12

8  トム・ホギー       ー11

3.6打差大逆転、松山英樹がアジア人最多のPGAツアー9勝目

〇圧巻、9バーディーノーボギー

 一人だけ”別世界”でした。
 最終日首位と6打差からスタートした松山英樹が、スタートから3連続バーディー、そしてバックナインのスタートから3連続バーディー。
 更に15H(Par4)から3連続バーディー。トータル9バーディーを奪いそしてノーボギー。
 最終日9アンダー62を出しトータル17アンダーで先にホールアウト。
 後続組で追い越す選手がなく、アジア人最多のPGAツアー通算9勝目を挙げました。
 しかもそれが、タイガーもニクラウスも優勝したことがないリビエラというのが、尚更その優勝を引き立ててくれます。

〇アイアンショットはPGAツアー屈指

 松山が14アンダーで首位に並んだりザラトリスに1打リードを許した状況での15H(Par4)。
 ティーショットが右サイドのファーストカット、残り187Yの第2打。6番アイアンで打った、軽く右に曲がる軌道を描いた先は、ピン横20cmにつけるショットで難なくバーディー。
 そして16H(Par3)、8番アイアンで打ったティーショットがこれまたピン横15cmにつけての連続バーディー。
 更に17H(Par5)、グリーン奥からのアプローチが奥1mに寄せて3連続バーディー。ここで勝負がつきました。
 松山がPGAツアーの中でも誇れるのがアイアンショットの精度。この長所を存分に発揮した格好になりました。
 更にこのところは”チッピングマシーン”とも言われるようになった、グリーン周りのアプローチ。
 今日もチップインが1回あり、この2週間で7回達成しました。

〇これまでの記録保持者、チェ・キョンジュも松山を祝福「記録は破られるためにある」

 これまでアジア人最多の優勝数は、現在チャンピオンズツアーで活躍するチェ・キョンジュ(韓国)の8勝。
 今回の優勝で彼を超える9勝目を達成しました。
 彼のインスタにも、「Congrats,Hideki.」と投稿がありました。
 名実ともにアジア一のPGAツアープレーヤーになった松山、これで節目の10勝目、そしてその先へと続きます。

〇30代初優勝

 一昨年ソニーオープンで8勝目を挙げたときはまだ20代。
 30代になってからは体の変調や練習も思うようにできず、首や手首の痛みに悩まされる日々が続きました。
 マスターズが終われば即帰国し、手術を受けることもありました。
 それでも自分ができることを模索し、30代初優勝となりました。
 今月25日には32歳の誕生日を迎える松山、一足早い誕生日プレゼントとなりました。
 この優勝で3年間のツアーカードを獲得、2027シーズンまで戦え、更に来季のシグネチャーイベント全試合にも出場できることが可能になり、充実した30代を送れそうです。

〇これから盛り上がるシーズン、シンクロしていきそう

 ウェストコーストスウィング最終戦の本大会、いよいよツアーも東海岸に入ります。
 自宅のあるオーランドに近いベイヒルでパーマーインビテーショナルが開催、おそらく次戦はここになるでしょう。
 そしてプレーヤーズ選手権、再来月には2度目のグリーンジャケットを狙うマスターズ。
 世界ランクも久しぶりの50位圏外だったのも大きくジャンプアップし、再び”HIDEKI MATSUYAMA”を広めることができました。
 この優勝で、世界ランク20位になることが確実視されてます。

〇唯一残念だったこと

 本来ならば大会ホストであるタイガーから優勝トロフィーが贈呈されるのですが、インフルエンザによる棄権でコースに姿を現さなかった週末。セレモニーは”お預け”となりました。
 タイガーの体調が回復したら、松山にひと声あることでしょう。

4.重苦しかった最終組

 最終日最終組のツーサムが、非常に重苦しかった日でした。
 3日目トップに立つキャントレー、それを2打差で追うシャフリー。
 スコアを伸ばさなくてはならない1H(Par5)を共にパーで始まったのが原因になったのか、フロントナインは両者バーディーなし。シャフリーが1つボギーを叩いただけで、先に回る組が続々とスコアを伸ばす中停滞し重苦しい空気になりました。
 11H(Par5)で両者スコアを伸ばしさぁこれからと思ったのも束の間、停滞した空気を拭うことができずに、一気に両者を抜き去った松山の後塵を拝す結果となりました。


5.復帰戦のタイガー、インフルエンザの疑いによる体調不良で棄権

 昨年のマスターズ以来となる公式競技に出場したタイガー。
 「Sun Day Red」のウェアを身に纏い、高台にあるリビエラの1Hティーに立った時、ギャラリーの歓声を一身に浴びてました。
 1H(Par5)をバーディー発進、その後スコアを伸ばせない中、最終ホール(Par4)の第2打で”事件”が起こりました。

 背中が張っていたのでしょうか、シャンクしたボールは右の林へ。何とか第3打は打てたもののこのホールボギー。初日1オーバーで終了しました。

 翌日は92年、アマチュアでPGAツアー初出場したときのウェアをインスパイアしたウェアで登場。

 この日もバーディー発進と順調な滑り出しとなりました。
 ところが7H(Par4)の第2打を打つ前に、タイガーに更なる”事件”が起こります。

 突然体調不良を訴えたタイガー。同伴競技者や競技委員にこれ以上プレーを続行するのは不可能と訴え、試合を棄権することに。
 カートに乗るタイガーの苦悶の表情がうかがえます。
 そしてクラブハウスに引き上げましたが、そこには救急車や消防車が出動する騒ぎとなりました。

 その後公式からの発表では、インフルエンザの疑いによる体調不良で棄権となっていました。

 Sun Day Redのお披露目式を兼ねた今大会、思わぬ理由で終了するとは誰が予想したでしょうか?
 月イチペースで試合に出場する意向のタイガー。次の試合は来月のパーマーインビテーショナルが予想されますが、インフルエンザから回復し、どこまで調子が戻って来るのか注目です。

6.雑感

〇スピース、スコアカード誤記入による失格

 タイガーの棄権でざわめく中、今度はスピースがスコアカード誤記入による過少申告で競技失格になるハプニングがありました。
 4H(Par3)でボギーのところ、誤ってパーと記入したためによるものです。
 競技ゴルフでは避けて通れないスコアカードの記入ですが、デジタル化時代である中、まだ紙媒体でやるのもどうかと考えられます。
 そして日曜日にスピースが、松山に対し「いいプレー内容だった、しかしスコアカードのダブルチェックを怠るなよ」とポストしたそうです。

〇マキロイがシェフラーにアドバイス

 今週もパットに泣かされ、3mを3パットしてしまったシェフラー。
 マキロイが見かねて、パターをマレット型にしたらどうだとアドバイスをしました。

 昨年のヒーローワールドチャレンジで、新しいパターがフィットしつつあったシェフラー。
 このアドバイスに、どう答えることでしょう?

〇ザラトリス、家族の死をこらえ

 一昨年のプレーオフシリーズ、フェデックスセントジュードでツアー初優勝を挙げたザラトリス。
 その後腰痛に苦しみ、昨シーズンを棒に振った格好になりましたが、このところ好調なプレーを見せてくれています。
 3打差の2位タイで終了しインタビューに答えていた際、突然の告白が彼の口からありました。

 「今週の木曜、家族の一人が亡くなった」。

 突然の告白に報道陣は一瞬止まり、そしてザラトリスの目から涙が流れました。
 翌日、ザラトリスが14H(Par3)でエースを決めたときも、天国に行った家族が見守っていたことでしょう。
 「家族の死は予期していなかった。でも結果には満足しているよ」。

 これまでマスターズ、全米プロ、全米オープンなどのメジャーやPGAツアーの大会でも2位が多かったザラトリス。
 天国から見守る家族のために、吉報を送りたいところでしょう。

〇ルールを巡りひと悶着

 松山の17H(Par5)第3打で、ボールが動いたんじゃないのかと視聴者からクレームが上がりました。
 そこでCBSの中継スタッフでもある、テレビ中継でルール解説を担当するマーク・ダズバベックにメインMCのジム・ナンツが問いかけたところ、「ボールは動いていない。少し移動した感じはあるが、同じ位置にとどまっていた。(もし触れていたなら)ボールは違う位置に動かなければならない。でもただそれは動いていなかった」と説明。無罰でプレー続行となりました。
 これを制止するため、ナンツは視聴者に注意を呼びかけました。
 最近は視聴者からのルールに対するクレームも多いことから、CBSが善処した形となりました。 

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