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全米プロゴルフ選手権プレビュー⑥

 これまで5回プレビューで選手を紹介してきましたが、今回が最後のプレビューにします。
 最後は日本選手勢と、忘れてはいけない”あの選手”についてです。


1.マスターズ以来の復帰戦直前に背筋痛により棄権、暗雲が立ち込め”ぶっつけ本番”で大会に臨まなくてはならない、松山英樹

 2月のジェネシスインビテーショナルでツアー9勝目を挙げ、キャリアの中でも何度もなかった好調の中でマスターズに臨んだ松山英樹。
 オーガスタで50ラウンドを達成はしたものの、強風の中で本来の実力は発揮せず、不本意な形で大会を終了しました。
 マスターズ以降も体のケアを忘れることなく実施し、3週間オープンウィークを取り復帰戦となるウェルズファーゴ選手権。
 練習ラウンドでは柔和な表情でインタビューに応じ、さてこれから大会にといったところで激震が走りました。
 朝のトレーニング中に背中に強張りを感じ、違和感が拭えないまま大会会場のクエイルホロークラブに到着。
 マッサージルームでマッサージを施してもらうも痛みは引かず、大会本部に棄権する旨を伝え、コースを後にしました。
 久しぶりの大会で実戦感覚を掴んで次週にというプランが崩れ、ぶっつけ本番で全米プロを迎えることになりました。
 背中の張りがどこまで回復するによっては、次戦も…ということになりかねません。
 何とかバルハラのスタートホールティーインググラウンドに立ってほしいところです。

2.DPワールドツアー初優勝を機に一段レベルアップ、初出場の全米プロで結果を残し更なる高みを、中島啓太

 3月のDPワールドツアー、ヒーローインディアンオープンでルーキーシーズンでツアー初優勝を挙げた中島啓太。
 先月はISPSHANDA選手権(欧州・日本どっちが勝つかトーナメント)のみの出場となりましたが、凱旋帰国した一回り大きくなった中島を見ようと大勢のギャラリーがつき、随所で見せた中島のショットに歓声を上げていました。
 今月からは日本を離れ、いよいよ本格的に欧州中心となるツアーの前に迎えるメジャー第2戦。
 4日間完走できればレーストゥドバイのポイントが、普段の試合以上にもらえるので、今後のことを考えれば稼ぎたいところです。

(参考)今年のマスターズでトップ30に入ったら、レーストゥドバイでは100ポイント位貰えています。

 上位に入れば世界ランクも上昇することより、PGAツアーからも主催者推薦で出場できるかもしれません。
 そこで好成績を残せば、DPワールドツアーに関係なく一気にPGAツアーの来シーズンのツアーカード(出場権)を得ることも。
 貰えるチャンスは一気にものにしたいところです。

3.苦戦が続くPGAツアー、来シーズンのツアーカード保持のためにも自身メジャー出場第2戦は”完走”したい、久常涼

 昨年DPワールドツアー1勝を挙げ、日本人初の新人王に輝いたものの、今シーズンPGAツアーで苦戦を強いられている久常涼。
 シーズン序盤は対応力の高さで4日間戦い抜きポイントを獲得するものの、ルーキーの”洗礼”なのかスタート時間がまちまちで日没サスペンデットになることが多く、リズムがつかめずにカットラインに1打及ばず、コースを去ることが何度もありました。
 久常にとって初めてのメジャー、憧れの舞台・マスターズはこれまた憧れの先輩・松山と一緒に出場。
 テレビで見たオーガスタと違い、強風下の中では対応力を発揮できず、初メジャーはほろ苦いものになりました。
 現在フェデックスカップは99位(217ポイント、5月6日時点)でそろそろ来シーズンを考えた場合、フェデックスカップポイントを稼いでおきたいところ。
 フェデックスカップもメジャーではポイントが通常の試合よりも割増しで貰えるため、今後楽にシーズンを乗り切るためにもまず”完走”し、できるだけ上位に食い込んでおきたいところです。

(参考)トップ20位に入れば、フェデックスカップでは100ポイント位貰えています。

4.DPワールドツアーで戦うはずが優先順位の関係で今のところ出場なし、軌道修正で日本を主戦場にしてはいるがこれを弾みに世界に飛び立ちたい、金谷拓実

 昨年賞金ランク3位でDPワールドツアー出場権を得たものの、PGAツアーの下位選手やDPワールドツアー最終予選突破者が出場優先順位が上な為、出場する機会がほとんどなかった金谷拓実。
 軌道修正で優先順位の高い今年のジャパンゴルフツアー賞金王の資格で、世界に飛び立つと決意しました。
 開幕戦の東建ホームメイトカップでは、日本に敵なしの実力通りに圧勝で制覇。丁度同じ週に中島がインドで優勝するという”ライバル関係”を見せ合う格好となりました。
「Just keep going(前進あるのみ)」をお互いのLINEでやり取りをしていたのも印象的です。
 全米プロは2年ぶり2度目の出場になる金谷、前回は何もできないうちに終わってしまいましたが、中島と切磋琢磨して戦い抜き上位に入り、メジャーで獲得した賞金をジャパンゴルフツアーの賞金ランクに加算して更に賞金王へ近づくこと、レーストゥドバイポイントも稼ぐこと、そして世界ランクも上昇させ海外の試合に推薦出場できるようにしたいところです。

〇中島、久常、金谷に”助言”

 松山が直前の試合で背中を痛めて出場を取り止めました。
 背中の状態が思わしくなく、懸命にマッサージを施しても痛みが引かず、全米プロを欠場してしまうかもしれません。
「松山がいないから」という外野の声にも負けず、「英樹さんがいなくても自分達はやれるんだ、これからの日本男子プロゴルフは俺たちに任せろ」という気概を持って戦って欲しいです。
 出場できるとなったら、練習ラウンドなど松山の行動一挙手一投足を見て自分で咀嚼し、今後後進にも伝えられるようにできれば、日本男子プロゴルフも捨てたものではありません。

 ここまでいろいろな選手を紹介しましたが、やはり”あの選手”は外せないでしょう。

5.00年ではこの舞台で死闘を演じ連覇を達成、満身創痍であり政策委員会の激務もある中でもやはりこの人がいれば試合は引き締まる、タイガー・ウッズ

 バルハラで2回目の開催となった00年の全米プロ。
 3日目に首位に立ち、いつものように逃げ切り優勝を見せたいタイガー・ウッズでしたが、ボブ・メイの猛攻があり勝負はプレーオフに。
 しかしここからはタイガーの独壇場、3Hのプレーオフで最初にバーディーを奪いアドバンテージを取りそのままゴールへ。
 全米プロ2連覇に加えてメジャー3連勝、そして20世紀最後のメジャー優勝者になったタイガー。
 その勢いで21世紀最初のメジャーとなった01年のマスターズも優勝。
 年またぎ、いや世紀を跨いだメジャー4連勝を達成、いつしか「タイガースラム」と名付けられるようになりました。
 全米プロは連覇を2回達成(99、00年と06年、07年)しており、歴代3位の4勝を記録しています。
 そして四半世紀の間、タイガーに紆余曲折がありながら今年も全米プロ生涯優勝者の資格で大会に出場します。
 今年は自身のホスト大会(ジェネシスインビテーショナル)で試合途中で棄権、インフルエンザによるものでした。
 そこからしばらく休養を取りマスターズに出場、最下位で終わったもののパトロンに元気な姿を見せてくれました。
 そして政務委員会のメンバーとして、PGAツアーとLIVゴルフの統合の為、PIF(パシフィック・インベスメント・ファンド)との交渉に応じ自身の練習時間を削ってまでも、再び世界のゴルフ界を元通りにしたいと考えているタイガー。
 公私を問わず、ゴルフの発展に寄与する姿には感銘を受けます。
 やっぱりメジャーの舞台には、タイガーは欠かせません。

 以上6回に渡って全米プロゴルフ選手権プレビュー(選手紹介)を投稿しました。

 現在世界の男子プロゴルフ界は今まで通りとは行っていませんが、PGAツアーだから、DPワールドツアーだから、LIVゴルフだからなど関係なく、世界の強豪プロゴルファーによる戦いをファンに見せて欲しいです。


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