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全米オープンゴルフ プレビュー③

 今回は、若手選手を中心に取り上げます。


1.昨年のPGAツアーユニバーシティランクトップ、1年経過し世界トップ10の一人に、ルドビク・オーベリ(オーバーグ)

 昨年の今頃はテキサス工科大4年で、PGAツアーユニバーシティランクトップに立ちツアーカードを取得したオーベリ。
 アマチュア世界ランク1位やタイトルを数々獲得した折り紙付きの実力が果たしてプロに通用するかどうかが問われましたが、杞憂に終わりました。
 昨年8月、スイスで行われたDPワールドツアー・オメガヨーロピアンマスターズでプロ初優勝、以前から注目していたルーク・ドナルドのお眼鏡にかない、翌日にはライダーカップ欧州代表にキャプテン推薦で選出。ライダーカップ奪還に大きく貢献しました。
 11月にはPGAツアー、フェデックスカップフォール最終戦・RSMクラシックで初優勝。欧米両ツアーで優勝の快挙を達成しました。
 今季は優勝こそないものの、AT&Tペブルビーチプロアマとメジャー初出場となったマスターズで2位に入るなど、フルフィールドにいても物怖じしないプレーぶりでギャラリーを魅了します。
 そしてプロデビュー時は3000位台だった世界ランクも、現在は6位まで登り詰め、いよいよ残すは上5人となりました。
 (シェフラー、シャフリー、マキロイ、クラーク、ホブランド)
 ただ先月膝の故障があったせいか、思うようにプレーできず全米プロは金曜でコースを去ることに。
 オープンウィークを経過して臨んだメモリアルはシェフラーと木金同組で回り、ショット力をお互い見せつけました。
 全米オープンも当然初出場、一気に頂点を狙います。

2.足の怪我がありながらもこのところ復調気味、メジャーや五輪で活躍し”兵役期間短縮”したい、トム・キム(キム・ジュヒョン)

 PGAツアー・ワンダーボーイ的存在のトム・キム。
 2022年にスポット参戦したジェネシススコティッシュオープンで3位に入り、スペシャルテンポラリーメンバーになると、レギュラーシーズン最終戦、ウィンダム選手権ではスタートホールでダブルパーを叩くもその後はイーグル、バーディーを積み重ね、トータル20アンダーでホールアウト。
 第二次大戦以降ではジョーダン・スピースに次ぐ若さ、2000年代生まれ初のPGAツアー優勝を挙げました。
 その年のシュライナーズチルドレンオープンで2勝目を飾り、タイガー以来の20歳以下で複数優勝達成者となりました。
 翌年の同大会も優勝し連覇を達成、メジャー優勝も近いのではと言われましたが、全英オープンで足を痛めたことが影響し成績は伸び悩みました。
 しかし足の怪我がだんだん癒えており、またショットに切れを取り戻してきたキム。カナディアンオープンで今季初のトップ10に入り復調ぶりをアピールしてきました。
 上がり調子で臨む全米オープンや、パリ五輪で活躍し兵役期間を短縮し、プロ生活をより充実させたいところです。

3.この風貌でもまだ22歳、細身の体でありながらも強靭なバネで豪快なショットを放つレフティ、アクシェイ・バティア

 卒業、中退問わず大学経由でプロの道に入るのが一般的なのに対し、高卒でプロの道に入ったバティア。昨年いきなりブレークしました。
 中南米が得意なのかプエルトリコオープンで2位、そしてメキシコオープンでは最終日最終組を回り4位に入り、テンポラリーメンバーに。
 全英オープンの”裏開催”、ステーブルフォード方式唯一の大会であるバラクーダ選手権でパトリック・ロジャースを破りツアー初優勝を挙げました。
 全英オープンではブライアン・ハーマンが優勝したため、同週の2試合でレフティが優勝する珍しい記録の立役者となりました。
 今年はバレロ・テキサスオープンでツアー2勝目、しかもデニー・マッカーシーとのプレーオフを制し、2勝ともプレーオフという勝負強さを見せました。そしてこの優勝で翌週のマスターズに滑り込みで初出場しました。
 ただプレーオフ前にガッツポーズをしすぎて肩を脱臼してしまい、プレーオフの途中に整体師にマッサージしてもらうハプニングがありました。
 メジャーは今のところマスターズの35位しか実績はありませんが、レフティから放たれる強烈なショットは魅力的です。
 今年で124回を数える全米オープンですが、4大メジャーで唯一レフティの優勝がありません。
 果たしてトロフィーにバティアの名を刻むことができるでしょうか?

4.タレント性十分のニュースター、全米オープンのタイトルを獲って姉に近づきたい、ミンウ・リー

 2016年の全米ジュニアに優勝したミンウ・リー。
 元々のポテンシャルはかなりのもので、ロングアイアンから放たれるスティンガーショットは一件の価値があります。
 DPワールドツアーで3勝を挙げ、PGAツアーでは昨年プレーヤーズ選手権で6位、そして全米オープンで5位に入るなどスペシャルテンポラリーメンバーから今季のツアーカードを獲得しました。
 昨年母国で開催されたDPワールドツアー開幕戦、豪州PGA選手権ではギャラリースタンドで料理しているコックから帽子を借りてそれをかぶり、ギャラリーと一緒にパフォーマンスする場面も見られるほど、ファンと共にツアーをエンジョイするタイプです。
 姉であるミンジー・リーは、一昨年の全米女子オープン優勝を含めすでにメジャー2勝。
 早く姉に近づきたいところです。

5.PGAツアー33年ぶりのアマチュア優勝でプロ転向、やっとプロの水に慣れてきたここからがいよいよ見せ場、ニック・ダンラップ

 今年の序盤に話題をかっさらった、PGAツアー33年ぶりのアマチュア優勝。その主人公であるニック・ダンラップ。
 アマチュア時代は全米ジュニア、全米アマの主要タイトルを獲得、他にはタイガーしかいない快挙です。
 アラバマ大2年生が臨んだザ・アメリカンエクスプレス、プロアマ競技のため3コースを使用しての大会で衝撃的な出来事が起こり続けました。
 その3日目でアマチュアでありながら60をマークし単独首位に立つと、最終日は同じアラバマ大卒の先輩、ジャスティン・トーマスが加わった最終組に。
 序盤こそ緊張の為かスコアが伸びなかったものの、試合終盤には勝負どころのパットが決まり見事栄冠に輝きました。
 当初描いていたPGAツアーユニバーシティからツアーカードを取得してツアーに参加する計画を一気に前倒し、2週間後プロ転向を表明しました。
 最初のうちはなかなか結果はでないものの、水に慣れて来た最近は徐々に結果を残せるようになってきたダンラップ、これからが勝負です。

6.すでにPGAツアーカード取得資格があるものの、大学4年間を全うしてからプロ転向する意思を表明、その前に全米オープンでも一泡吹かせたい、ゴードン・サージェント

 ライバルのダンラップと同じアラバマ州出身のゴードン・サージェント。
 2人ともアラバマのジュニア大会や、全米アマや全米ジュニアなどで何度となく刀を抜き合ってきた仲です。
 昨年の全米アマ、マッチプレー本戦1回戦でいきなり2人が戦うことに、このときはダンラップが勝利し、一気に頂点へと登り詰めました。
 現在ヴァンダービルト大3年のサージェント、1年生でNCAA選手権個人の部で優勝、その年の新人王も獲得しました。
 そして世界アマチュアランク1位も獲得するなど、これらの実績をポイントに換算し大学4年間でポイントを積算する、PGAツアーユニバーシティアセレートポイント制度で20ポイントを超え、この資格でツアーカードを取得しました。
 しかしサージェントはプロ転向は時期尚早であると判断し、あと1年残った大学生活を送ってからプロ転向することを決断しました。
(ちなみにダンラップは、プロ転向前のPGAツアーユニバーシティアセレートポイントは14でした)
 先にプロ転向したダンラップと久しぶりに同じ舞台で戦うサージェント、プロアマの立場は関係なく、上を見つめています。

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