#40 クラブ「哀」編(2)
彩世は、新宿歌舞伎町までタクシーで向かい、クラブ「哀」に着いた。時刻は、20時半を回っている。
裏口からスタッフルームに入り、シャワー室に駆け込んだ。熱いシャワーで、まだ完全に醒めきっていなかった頭が次第にしっかりとしてきた。タオルで体を拭き、バスタオルを腰に巻いて自分のロッカーのドアを開けた。スーツとシャツを取り出して、隣にあるパウダールームのドアを開けた。
「彩世さん、どうしたんですか?その恰好…」とヒカルが驚きの声を上げた。
「…寝坊してしまって、急いでるんだ。髪の毛、