はじめに——現状など——

皮膚の新しい見方 〜アトピー性皮膚炎から健康美肌へのパーソナル・レシピ〜 西野行哉

【はじめに】

僕(西野行哉)は医学博士ではなく、博士(理学)(Ph.D)です。そのため、医学的な専門知識があるわけではありません。医学的な知識は、本記事を書くに当たって、皮膚科学の基本的な教科書などをかじっただけです。ただ博士(理学)なので、少なくとも科学的思考をする基礎はあります。

ここに記すアトピー性皮膚炎への対処方法は、あくまでも西野の症状や体質に対する個人的な方法ではありますが、他の方と多くの共通項はあるでしょうし、特に似たような症状の人には参考になるのではないかと思い、公開する次第です。また医学的にも参考になる部分があると思います。

この記事を読んだ皮膚科医や皮膚科学の専門家、あるいは美容皮膚科の先生は、もしかすると「トンデモ記事」とか「話にならん」とか「いい加減なことを言うな」とか思うかもしれませんが、基本的には西野が経験してきたことと、そこから科学者である僕が自分なりに推測したことを書いています。質問等にはできるだけお答えするつもりですが、頭ごなしに否定するような方は無視するかもしれません。

【現在の肌の状態】

まず、この記事を書き始めた時点(2024年5月現在)での西野の皮膚の状態についてざっと触れておきましょう。

数年前までのピーク時には、寝ている時も含め1日中いろいろな部分が痒《かゆ》くて痒くてたまらなかったし、皮膚も部分的にただれてひどい状態でした。とはいえ、幸いなことに顔にはほとんど出なかったし、本当に酷い症状の人からするとだいぶ軽かったのだと思います。現在は、起きている時も寝ている時も風呂上がりも痒くなることはほとんどありません。汗をかいた時とストレスを感じた時だけは部分的に痒くなることがあります。肌の状態は10代後半の頃よりもキレイです(諸事情により年齢は公開していません)。10代の頃から冬になるとカサついていた肌はいまやしっとりさらさらという感じです。昔からこんな肌だったら人生違ってだろうな、と思うレベルです。

5年くらい前の話ですが、こんなことがありました。

僕は上半身の脇の下から脇腹辺りから胸にかけて皮膚炎が悪くなっていて、横向きに寝るのも大変なほどでした。だから職場の健康診断の日、聴診器を当てた検査や問診などをする項目がイヤでした。なにしろ、相手が医者とはいえ、悪いところを人前に晒《さら》さないといけないですから。

「胸を見せてください」と言われ服をまくりあげると、案の定、医師から「アトピー性皮膚炎ですね。医者には掛かってますか?」と聞かれてしまいました。「行っていない」と答えると、「結構ひどいですから、痒くて大変でしょう。医者に行けば、痒みを止める薬とか出してくれますから」とアドバイスをくれました。まあ、そんなことはわかってるんですけど……。

と、ここまではたぶん、よくある話でしょう。

翌年の健康診断では同じ箇所はだいぶマシにはなっていたのですが、まだ明らかに赤みが残っていて、別に医師から同じように「医者には診てもらっていますか?」と聞かれました。

次の検診項目は採血検査でした。

女性の看護士が、針を刺して、血を抜きます。で、その人が、「綺麗な肌ですね。どんな石鹸を使ってるんですか?」と聞いてくるではありませんか! おそらくその人は、採血などで多くの人の肌に触れているのでしょう。

「そんなきれいじゃないです」と否定すると、「いえいえ、私が知っている中でも一、二を争うくらいですよ」と言います。

肘の裏側よりやや手首寄りの注射針を刺す部分は、肌の見た目で言うと、特に白いわけでもないし、さしてキレイとは思えないのですが、触ると確かに、さらさらすべすべしていて気持ちがいい。全身がというわけではありませんが、その頃には確かにそういう部分が徐々に増えていたのです。

【涼しい肌】

傾向的には女性の方が男性よりも他人の肌の状態に敏感で、例えば男性の顔が脂ぎっていると「不潔」と感じる方が多いと思います。

おそらくは本能的(健康な生殖パートナーを選ぶため)に、肌の艶《つや》と脂が浮いた状態を瞬時に区別しているのでしょう。きめ細やかな肌の表面が可視光のほとんどをキレイに反射するのに対して、脂肌は脂の成分で一部の光が微妙に吸収されるでしょうし、毛穴が開いていて乱反射もするので、鈍く光って見えるのかもしれません。

西野の顔の肌も以前はオイリーでした。ところが、後で述べる方法を長年続けているうちに艶肌へと変わりました。体質的に血中の脂質が高めのせいか、夜になるとやや脂が浮いた感じはなる時もありますが、それでも触れた手がベタつくほどではありません。それに見た目だけではなく、汗腺がしっかり働いているらしく、少しでも風が当たると顔が良く冷えます(扇風機の効果がこれほど高いとは思いもしれませんでした)。汗の蒸散による冷却効果が非常に高いのです。それは集中力の持続にもつながります。

【汗のかき方】

僕がアトピー性皮膚炎が良くなったと最も感じるのは、当たり前かもしれませんが、痒くなることが激減したことです。

ただその副次的効果とでもいうのでしょうか、汗孔(エクリン汗腺)が活性化(復活という方が適切かもしれない)し、汗のかき方がそれ以前とはまったく変わりました。

以前(アトピー性皮膚炎を発症する前から)は、背中や膝裏、肘裏など体の一部で汗が噴き出すというような汗のかき方でした※1。

一方、現在は、全身にうっすら汗をかくという感じです。従来は汗がしたたる状態になっていたものが、今ではなんとなく下着が湿っぽくなった程度ですんでしまうようになりました(全く同じ条件で比較しているわけではないので、あくまでも感覚ですが)。

※1:余談になりますが、30代前半にトライアスロン用のトレーニングを行った結果、脂肪を燃焼しやすく汗をかきやすい体質になっていたため、通勤時に10〜15分程度歩いただけで、結構な汗をかくようになりました。メタボ対策的にはいいのですが、夏はオフィスに入った時に汗が冷えてメチャ寒いし、アトピー性皮膚炎を発症してからは四季を通して特に関節部が湿疹で痒くなりやすくて苦労しました。


いまだに完治したとは言えないですし、もしかするとある意味、生きている限りこの闘いは——徐々に楽になりながら——続くのかもしれません。

それでも、僕の皮膚は明らかに20代の頃よりも状態が良く、QOL(quality of life)も格段に向上したと感じています。

同様の症状でお困りの方の一助になれば幸いです。


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