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空の上の赤ちゃん @5640




「立ち仕事をしているからそんなことになったんじゃないの?」


お腹の中に宿っていた儚い命の灯火が、誰にも気づかれないうちに音もたてずにまた消えてしまった・・・。私の赤ちゃんは、また死んでしまった。

幸せを胸に満々といだいて、1週間ぶりに病院の扉をあけた。先週、お腹の中の赤ちゃんの心臓が、トクントクンと動いている様子を超音波の映像で先生がみせてくれたとき、『ああ・・・これでもう大丈夫。やっと安心できる。』暢気にそんなことを考えていた。

一週間ぶりに診察台の上に横たわるとすぐ、先生は私の体調について、あれこれ聞きながら、超音波診断をはじめた。
藍白のゼリーのようなものをお腹に塗られる。『いつまでたっても冷たくて慣れないな・・・』と生まれてくる赤ちゃんのことを考えながら私は暢気も暢気、大暢気だった。

『はい、順調に育ってるね』と、先生の声が笑いながらそう言ってくれるのを待っていた。けれど、モニターを見つめる先生を見たとき、眉根を寄せて強くまぶたを閉じた瞬間を私は見逃さなかった。
その瞬間、私のこころの中には諦めとほぼ同時に真っ黒な覚悟がおおきく広がっていった。

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