【遊戯王MD】転生炎獣斬機のデッキ紹介【マスターTier1到達】

遊戯王マスターデュエルにて、マスターTier 1に到達した転生炎獣斬機デッキの紹介をします。

以下の記事で紹介した60枚斬機デッキをさらに派生させて、転生炎獣(サラマングレイト)を多めに採用した構築になっています。


デッキ構成とコンセプト

実際にランクマッチで使ったデッキがこちらです。

このデッキのコンセプトは以下の通りです。

  1. 斬機ギミックにアクセスできる1枚初動にこだわらず、代わりに妨害突破力と継戦能力を重視する構成にした。

  2. 斬機の過剰気味な初動安定性を抑え、代わりにバリューの高い汎用カードを増やした。

斬機ギミックにアクセスできる1枚初動にこだわらない

斬機デッキは「斬機サーキュラー」のおかげで展開力がかなり高く、妨害で止められると致命的な個所もほぼないため、妨害突破力が非常に高いデッキです。
しかし、斬機の流行によりビーステッドが環境で増えているため、展開力を削ぐような破壊や除外を伴う妨害が頻繁に飛んできます。こうなると流石に0妨害で相手にターンを渡してしまうことが増えてしまうため、何かしら対策を打つ必要があるでしょう。

ビーステッドのような妨害に対しておそらく最も効果的な対策は、転生炎獣ギミックの採用でしょう。

転生炎獣は炎属性で統一されているのでビーステッドの妨害を受けません。場にサイバース族の下級モンスターが1体でも残っていれば、「転生炎獣ベイルリンクス」の転生L召喚で「転生炎獣ガゼル」を手札から場に出せるので、しぶとく展開継続できます。
それに加えて、斬機の一番の弱みである継戦能力を大きく補強できたり、「転生炎獣ガゼル」+適当なサイバース族レベル4の手札状況から「塊斬機ダランベルシアン」まで繋がる展開ルートもあるので、相性がとても良いです。

その他にも、サーチ札の「転生炎獣の炎陣」と「レディ・デバッガー」が手札コスト不要なので、手札コストを要求する「サイバネット・マイニング」を採用する必要がなくなります。これも、転生炎獣を採用する大きなメリットと言えるでしょう。

逆に転生炎獣の弱みは、ガゼル1枚からの初動では斬機ギミックにアクセスできず、「トランスコード・トーカー」+ヒートソウルまでしか展開できない点です。
ただ、ガゼル1枚しかない状況はあまりなく、手札に他のサイバース族がもう1体いればだいたい斬機ギミックにアクセスできるので、そこまで気にならないはずです。

初動安定性を抑え、代わりにバリューの高い汎用カードを増やす

よくある斬機デッキの構成では、先行1ターン目で展開できる確率は90%以上ありますが、この90%は高すぎる値です。初動安定性を多少抑えてでも除去やまくり札、手札誘発を増やす方が、後行での勝率が大きく高まるので、結果として全体の勝率が高くなるはずです。

現在のカードプールでは「三戦の号」「スモール・ワールド」があるため、自ターン中にモンスターによる妨害を受けた場合、三戦の号から任意の通常魔法、通常罠、モンスターをサーチできるようになります。これにより、たとえメイン60枚のデッキであったとしても、先行では「魔砲戦機ダルマ・カルマ」などによる強力な妨害、後行では状況に合わせたまくり札サーチによる盤面解決か初動札サーチによる展開を安定して行えるようになっています。

その他にも「三戦の才」がドローソースになるので、三戦の号などの強力な汎用カードを引きに行くことができ、後手のまくりがより安定します。先行で手札と展開力に余裕がある場合、ピーピングハンデスも選択できるので、先行の勝率アップにも貢献できるカードです。

"メイン60枚の構築でも初動安定性があまり落ちない1枚初動のデッキ"という条件付きではありますが、三戦の号、スモール・ワールド、三戦の才が存在する現状のカードプールでは、60枚構築にしない理由がほぼありません。斬機を含むサイバース系デッキの多くはその条件に合うので、60枚構築にすることをおすすめします。

補足: 60枚構築の強みと弱みについて

メインデッキを60枚にする構築はそれなりに弱みもあり、特に顕著なのが、相手の「増殖するG」に対する受けの弱さです。「灰流うらら」「墓穴の指名者」「抹殺の指名者」を引ける確率が下がるので、増殖するGを無効にできない場面が増えるためです。

しかし、三戦の号と三戦の才を採用している場合は、60枚デッキの一番の弱みである増殖するGの受けを補強できます。特に魔砲戦機ダルマ・カルマは、ほとんどの展開デッキを1枚で止められるパワーを持つ通常罠なので、三戦の号でセットして比較的安全にターンを渡すことができます。

三戦の才を使う場合、展開札と手札誘発が揃っているならピーピングハンデス、そうでないなら2ドローを選びましょう。どちらにしろ、増殖するGに対して有効なカウンターとなります。

逆に60枚構築の大きな強みは以下の3つがあります。

  1. 手札でカードがダブることが少ない

  2. 素引きが弱いカードを引きにくい

  3. 環境に合わせて対策用の汎用カードを積みやすい

最初の2つの強みにより、手札の中で1ターン中に有効に使えるカード枚数の期待値を増やせるため、間接的にデッキパワーが上がります。
3つ目の強みにより、幅広いデッキに対して有効な妨害やまくり札を積むことができます。先述の通り、妨害やまくり札は三戦の号やスモール・ワールドでサーチも可能なので、明確に勝率が高まります。

デッキ構築のキーポイント

デッキ構築について、要点に絞って解説していきます。

サイバネット・マイニングの不採用

いくらサーキュラーが強くても、手札コストを要求する「サイバネット・マイニング」は流石に弱いです。純構築では1枚初動札を増やすために採用するしかないのですが、そうでない場合は極力採用しない方向でデッキ構築を考えた方が良いでしょう。
今回の場合、炎陣とレディ・デバッガーがマイニングの実質的な代わりを務めています。

もし「マイクロ・コーダー」を採用する場合、マイクロ・コーダーによるサーチ先を増やすためにマイニングを1枚採用するのはありだと思います。

斬機の展開補助用カードは斬機方程式のみ採用

基本的に展開補助系のカードは転生炎獣ギミックに任せた方が良いでしょう。

「斬機サブトラ」などの斬機側の展開補助系カードは強力ではあるものの、1回で使い切りになってしまう欠点があります。「転生炎獣ガゼル」であれば「転生炎獣Jジャガー」を墓地に落とせて毎ターン蘇生を狙えるようになる他、ガゼル+炎陣からの初動では「転生炎獣ファルコ」でガゼルを手札に戻す動きも可能なので、展開力が変わらないまま継戦能力も高められます。

ただし「斬機方程式」のみは採用しておいた方が良いです。理由としては、特に後行のサーキュラー初動で「塊斬機ダランベルシアン」に対して無限泡影などで効果無効にされるケースが多く、リンク1に繋がらないダランベルシアンが棒立ちになるリスクがあり、それを回避するために斬機方程式が必要になるケースが多いからです。
斬機方程式であればサーキュラー、ダランベルシアンのどちらからでもサーチできるので、あらかじめ妨害突破のためのカードを用意しておけます。

マイクロ・コーダーの不採用

斬機デッキの明確な弱点として、最終盤面の「ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード・ネオテンペスト」+「デコード・トーカー・ヒートソウル」を「俱利伽羅天童」1枚で除去できることが挙げられます。少なくとも「サイバース・ディセーブルム」の妨害を実質的に無効化できる上、「塊斬機ラプラシアン」によるモンスター除去を俱利伽羅天童に打たせることができるので、非常に強力です。
仮に俱利伽羅天童を場に残すと、「トランスコード・トーカー」を蘇生して「Gゴーレム・クリスタルハート」の蘇生先をなくす動きが可能です。勝ち筋を確実につぶされてしまうので、この時点で負けが濃厚になります。

この俱利伽羅天童に対して全く機能しないのが、「マイクロ・コーダー」からサーチできるカウンター罠の「サイバネット・コンフリクト」です。俱利伽羅天童によってついでのようにヒートソウルも除去されるので、コンフリクトの発動条件を満たせなくなってしまいます。この状況を避けるためにも、マイクロ・コーダーとコンフリクトを採用する構成は非推奨です。

実は「リンク・デコーダー」の登場により、マイクロ・コーダーは展開補助にも使いにくいカードとなっています。マイクロ・コーダーを展開補助に使える状況と、リンク・デコーダーを経由して展開を伸ばせる状況はほぼ同じなので、展開補助というよりもリンク・デコーダーを温存するためのカードと化しています。

アップデート・ジャマーとアクセスコード・トーカーの不採用

この2枚のカードはほとんどのサイバース族デッキで採用されているほど汎用性が高いカードです。しかし、ネオテンペストによるワンショットを既に持っている斬機デッキにおいて、EXデッキを2枠使ってまで採用する価値はありません。

また、いわゆるアップデートアクセスによるワンショットを決めるためにはサイバース族を3体並べる必要がありますが、ネオテンペストは2体から出せるという手軽さがあります。ネオテンペストによるワンショットはメインデッキに1枚だけ「斬機マルチプライヤー」を採用しておけば実現できるので、貴重なEXデッキの枠を空けることができます。

アクセスコード・トーカーの代わりとなるエースモンスターとして、リンク6の「ファイアウォール・ドラゴン・シンギュラリティ」を1枚採用しています。このカードは妨害の質が高い上にネオテンペストの蘇生も狙えるので、このデッキとよく噛み合っています。
「Gゴーレム・クリスタルハート」からトランスコード・トーカー、スプラッシュメイジ、サイバース族1体の蘇生まで繋がるので、リンク6は比較的簡単に出せます。

EXデッキで採用しなかったカード群

以下のカード群は、特に転生炎獣斬機では使い所がないので不採用にしています。その代わり、転生炎獣ベイルリンクスや塊斬機ラプラシアン、スプラッシュ・メイジの2枚目を採用することで、息切れしにくいデッキに仕上げています。

・No.41 泥酔魔獣バグースカ
ほとんどの斬機のテンプレートデッキに採用されていますが、出せる機会があまりにも限定的なので、採用しないことをおすすめします。
バグースカは基本的に相手の増殖するGに対するケアのために出すものですが、先行の斬機デッキに対する増殖するGの打ち所はサーキュラーの特殊召喚ではなく「斬機シグマ」の蘇生時なので、相手のプレイングがうまいと特殊召喚制限によりバグースカを出せなくなります。

また、最近は天敵の無限泡影だけでなくスモール・ワールド経由で壊獣をサーチできるデッキが多かったり、斬機相手だとリンク3まで繋げて戦闘破壊したり、罠主体のデッキに効かなかったりと、そもそも制圧モンスターとしてもいまいち信頼しにくい立ち位置にいると思います。

・リングリボー
基本的にはパラレルエクシードを出すためのカードとして採用されるリンク1モンスターですが、転生炎獣ベイルリンクスで事足りるので不要です。

・転生炎獣アルミラージ
下級の手札誘発モンスター+パラレルエクシードから展開するためのLモンスターです。初動安定性を向上させることができますが、それよりも継戦能力の向上を優先すべきなので、スプラッシュ・メイジの2枚目などを優先して採用しましょう。

手札誘発の構成

現環境に合わせて、以下のカードを採用しています。

  • 灰流うらら 3枚

  • 増殖するG 3枚

  • ドロール&ロックバード 3枚

  • 原子生命態ニビル 3枚

  • 幽鬼うさぎ 2枚

  • エフェクト・ヴェーラー 1枚

・ドロール&ロックバード
ドラゴンリンクやVS、ティアラメンツ、クシャトリラ、ピュアリィなどのデッキはサーチを多用するので、これ1枚で展開が止まります。増殖するG並みの妨害力を持つだけでなく、増殖するGと違って灰流うららで無効にされない強みもあるので、現環境では極力3枚採用すべきです。

・原子生命態ニビル
これも現環境のほとんどの展開デッキで刺さるカードです。抹殺の指名者で無効にされない限りほぼ妨害されない手札誘発となるため、非常に強力です。メタデッキやラビュリンス、VSがよほど流行していない限り、3枚採用必須です。

・幽鬼うさぎ
スプライト環境ではよく採用されていたカードですが、現環境でも地味に活躍できるカードです。

斬機の「トランスコード・トーカー」や「Gゴーレム・クリスタルハート」、クシャトリラの「クシャトリラ・バース」、ドラゴンリンクの「リボルブート・セクター」、@イグニスターの「イグニスターAiランド」、ピュアリィの「ピュアリィ・マイフレンド」、VSの「闘神の虚像」、烙印系デッキの「烙印の獣」など、大体どのデッキにも有効な止め所があります。

・エフェクト・ヴェーラー
このカードは主にスモール・ワールドの中継地点として使います。もちろん効果無効系の手札誘発としても優秀ですが、最近の環境では1体効果無効にしたところで展開が止まらないデッキが多いので、どうしても採用の優先度は低くなります。
幽鬼うさぎを中継地点として代用することもある程度可能なので、エフェクト・ヴェーラーは不採用にしても良いでしょう。

汎用カードの構成(手札誘発以外)

少なくとも三戦の号と三戦の才は3枚積んでおいた方が良いです。先述の通り、増殖するGを含む手札誘発に対して大きなリスクをつけることができるので、先行後行どちらでも明確に勝率が上がります。
ちなみに、60枚デッキでは3積みのカードが手札でダブる確率を1.7%まで抑えることができるので、3枚採用で問題ないでしょう。

・ハーピィの羽根帚、サンダー・ボルト、拮抗勝負
これらのカードはどんな環境になったとしても、1枚ずつ採用しておいて問題ないと思います。メタデッキに対しても有効なカードなので腐ることがほぼなく、不利な対面でも勝ち目があります。
罠系のデッキが環境に多い場合、「ライトニング・ストーム」の採用も検討して良いでしょう。

・魔砲戦機ダルマ・カルマ
先行で三戦の号を打つ場合に場にセットしておきたいカードで、これも1枚採用必須でしょう。このカードほど、多くのデッキを1ターン封殺できる通常罠カードは現状存在しません。メタデッキ相手でも、強力な制圧モンスターを裏守備表示にして突破することも可能です。
似たカードとして次元障壁もありますが、リンク主体の展開デッキやVS、ラビュリンスに無力なため、環境的にかなりの向かい風となっています。

・俱利伽羅天童
現在の環境トップクラスである斬機、ピュアリィ、クシャトリラに対して非常によく刺さるカードで、現環境では最強クラスのまくり札となっています。特に対斬機では俱利伽羅天童をサーチするためのスモール・ワールドを止められる可能性が高いため、素引き狙いの3枚採用も十分に視野に入ります。
ドラゴンリンクやPUNKなどの妨害するタイミングで初めて効果が発動する制圧モンスターが環境に多い場合は、代わりに「冥王結界波」を採用すべきでしょう。

フレイム・バッファロー、転生炎獣サンライトウルフ

ガゼル+サーキュラーなどの上振れ展開を狙える状況限定ではありますが、確定で2ドローを狙えるギミックです。
ドローによって手札誘発による対策しづらい追加妨害を用意しやすくなる上、2ターン目以降のハンドアドバンテージを活かした攻め継続もできるので、少なくともサイバネット・コンフリクトを伏せるよりは勝率が高まる上振れ要素になります。

ガゼル+ベイルリンクスで「転生炎獣サンライトウルフ」をL召喚し、サンライトウルフのリンクマーカー先にJジャガーを蘇生。サンライトウルフの効果で手札にガゼルを戻すことができます。
その後、ネオテンペストでデッキから「フレイム・バッファロー」を墓地に送り、「スプラッシュ・メイジ」でフレイム・バッファローを蘇生し、スプラッシュ・メイジとフレイム・バッファローの2体でヒートソウルをL召喚。フレイム・バッファローの効果で手札のガゼルを捨てて2ドローができます。

ランクマッチの所感

ランクマッチでこの転生炎獣斬機デッキを回した所感を書いていきます。

不利対面がほぼない

このデッキは後行も非常に強力なので、不利対面が非常に少ないのが特徴です。明確な不利対面は、手札誘発が効きにくくハンデスや闇のデッキ破壊ウィルスでリソースを削ってくるラビュリンスくらいで、他は全て微有利以上の相性となっています。

また、対策カードを多く積んでいるため、本来は先行を取られるとかなりきついVSや斬機、ルーン、超階乗が機能しにくいビーステッド系のデッキ相手でも比較的有利に戦える印象です。特にビーステッドに対しては、三戦の号で手札に魔法罠をサーチできるようになるので、三戦の才などを使ってハンデスかドローを行うことで、有利状況を維持できます。

斬機のデッキパワーが高すぎる

不利対面が少ない理由としては、単純に斬機デッキのデッキパワーが高すぎることが1番の要因です。斬機サーキュラーで召喚権を切らずに相手の2妨害を吐かせられるので、本命の転生炎獣からの展開を安全に通すことができます。

斬機目線では、ピュアリィやクシャトリラの先行制圧盤面は1枚の解決札で盤面を返すことができる脆さがありますし、制圧盤面が強力なドラゴンリンクもドロール&ロックバードやニビルなどで簡単に展開が止まるので、手札誘発による対策が容易です。

仮にドロール&ロックバードやニビルを打たれた場合でも、少なくともヒートソウルか超階乗のどちらかは用意できることが多く、最低限の妨害を構えられます。

手札誘発で止まりにくく、まくり札1枚では盤面を一掃できない点で、斬機は他の上位デッキと比べて頭一つ抜けた存在になっていると思います。

おまけ: 23年12月のリミットレギュレーションについて

12月のリミットレギュレーションにて、斬機関連カードは斬機ダイアの制限、サイバネット・マイニングは準制限となりました。斬機の純構築の継戦能力とダイア素引きによる妨害貫通力が削られ、サーキュラーのサーチ札を1枚失うことになります。

最も強いサーキュラーの素引き率が下がっていないので、規制による弱体化はほぼないと言えます。今回紹介した転生炎獣斬機も無傷です。

一方、ピュアリィやドラゴンリンク、ラビュリンス、ルーンはそこそこ重い規制を受けています。12月実装の新カードにもよりますが、今回のレギュレーションが適用されれば斬機1強になる可能性があります。
ただ、これは斬機にとってもあまりよくないと個人的に思います。斬機はTier 1ですが、その分ちゃんと対策されるので、どんどん勝ちにくい環境になっていくでしょう。


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