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11月26日独り言朝刊ニュース

いい風呂の日。日経新聞の朝刊から気になるニュースを抜粋。

"企業に適時開示充実促す"

 金融庁は25日、上場企業が3ヶ月毎に提出する「四半期決算短信」を将来的に任意とする案を提示した。代わりに投資判断に影響のある情報をいち早く開示する「適時開示」を充実させる。ただ、情報開示の質と量を維持できるかには不透明な面がある。貯蓄から投資への動きに逆行しかねない案が提出されたことに対し、投資家から戸惑いの声が上がっている。
 企業の四半期ごとの開示を巡っては、企業側の事務負担が重く、企業経営者や投資家が短期的な利益ばかりを求める原因になっているとの意見が一部あった。
 金融庁は改革を2段階で進める構えだ。第1段階として、重複が目立つ取引所規則に基づく四半期決算短信と、政府に提出する四半期報告書を一本化し、四半期決算では決算短信だけを公表すれば良いようにする。開示の質と量を保ちながら企業負担を軽減するこの案については、この日の作業部会でおおむね合意。23年の通常国会に金融証券取引法の改正案を提出する方向となった。 
 問題は、金融庁がこのタイミングにあわせて唐突に示した第2段階といえる将来的な見直し案の内容だ。提示された文書には「適時開示の充実の状況を見ながら、任意化のタイミングにを継続的に検討する」と明記。適時開示を拡充することを条件に、四半期開示の義務を失くす方向性が示された。
 適時開示は取引所の規則に基づく開示で、自社株買いや業績予想の変更などがある。経営環境が刻一刻と変わる中、投資家の判断に影響を与える重要な事項が発生した時にその都度公表することに、開示の重点を移す考えと言えそうだ。
 会議に参加した委員からは「四半期開示と適時開示は性質が異なる点に留意する必要がある」や「現状の日本の適時開示は期待される水準に達していない。まずは環境が確立されているかの検証が筋だ」と、将来的な四半期開示義務の廃止を前提とした議論に反対する意見が相次いだ。
 日本企業の適時開示に対する姿勢は消極的との声が多い。東京証券取引所は新型コロナウィルス禍でリスク情報などの積極的な開示を企業に要請したが、21年3月期の第1四半期で決算発表前に業績予想の修正に関する適時開示を行った企業は約1割にとどまった。ロシアによるウクライナ進行でもリスク情報を開示した企業はごく僅かだった。
 企業が情報開示に必ずしも積極的と言えない状況で四半期開示が任意となれば、開示される情報が減少しかねず、投資家は日本市場に不信の目を向けかねない。第2段階の改革には実現の時期が示されておらず、検討を続けるとしながら問題を先送りし続けることは理屈の上では可能だ。今回の案では、情報開示の質と量を確保し続けようという金融庁の窮余の一策とのややうがった見方もある。

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