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【趣味の話】総合旅行業務取扱管理者試験をつまみ食い②単駅指定の罠

総合旅行業務取扱管理者の試験で、これはと思った問題。私は一部科目免除なので解いていないのですが、国内旅行実務の中のJR運賃計算のうちの一問に、かいわいがざわつきました。

普通、運賃はA駅からB駅までの乗った距離から単純に計算するものと思いがちですが、JRの運賃計算では、たとえば東京23区内や大阪市内など大都市を発着する、区間の長い切符(201キロ以上)については、出発駅を問わず、それぞれ東京駅、大阪駅を発着駅として計算するというルールがあります。このようなエリアはほかに札幌、仙台、横浜(一部川崎も含む)、名古屋、京都、神戸、広島、北九州、福岡周辺にあります。

たとえば品川から鶴舞(名古屋)に行くときの運賃は、東京駅から名古屋駅までの運賃と同じになり、切符には「東京都区内→名古屋市内」と表示されます。

ここまでのルールは、総合旅行業務取扱管理者の運賃計算でもしばしば、ひっかけ問題として出題されます。

さらに、裏を…

今回は、さらにその裏をかいてきたのです。

図1

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スタートは、新小岩(23区内)。図1=総合旅行業務取扱管理者試験問題より=のようなルートを通り、千葉の松戸まで行くというものです。同じように、東京駅をスタートと考え、経由する路線のキロを足していき、松戸までの運賃を計算すれば良いでしょう…と思いがちですが、そうではないのです。

なぜならば、23区内をいったん出た後に再び23区の日暮里をかすめるというルートだからです。このように、大都市エリアを一度出て、再び同じ大都市エリアに入るような場合は、単純に新小岩スタートで運賃計算しなければなりません。これを「単駅指定」といいます。新小岩から東京までのキロが足される分、この問題では運賃が少し高くなります。

資格の参考書には、このことはごく小さな文字でしか書かれておらず、いわゆる「鉄ちゃん」でなければ、まさか単駅指定で計算するとは思わないはずです。こんな問題が、今回は出ました。私は鉄ちゃんなので、片隅にはありましたが、実際に出たら間違ったかもしれません。

単駅指定は、ないこともない…

ただ、「単駅指定」で切符を発行することは、珍しいことでもありません。鉄ちゃんではない友人にも、そうやって買っている人がいます。

首都圏で身近な例を挙げると、たとえば川崎(横浜市内扱い)をスタートして東海道線で品川に行き、東海道新幹線で名古屋まで行く場合(図2の右)。

図2

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運賃計算で考える区間を「横浜駅→名古屋駅」とみなすのは誤りで、川崎駅から品川駅、品川駅から名古屋駅の距離を合わせた距離が正解。なぜなら、横浜市内のエリアを一度出て、また入っているからです。切符も「横浜市内→名古屋市内」ではなく「川崎→名古屋市内」という表記になります。

一方で、図2の左のように川崎から一度も横浜市内扱いの駅を出ずに新横浜駅から東海道新幹線で名古屋駅に向かう場合には運賃計算区間を「横浜駅→名古屋駅」とみなすことができます。切符は「横浜市内→名古屋市内」という表記になります。

かかるお金そのものは、品川を通らないほうがけっこう安いのですが、川崎から新横浜への乗り継ぎが面倒なこともあり、品川経由のニーズもあると思われます。

区間を区切って切符を買うと、通しで買うより安くなることがあります。また、乗り越し精算をして安くなることもあります。いずれも、ここでは省きます。

来年の参考書は…

来年の参考書には、さも知ってて当然であるかのように単駅指定に関する充実した解説が加筆されているのでしょうか。機会があれば、見てみようと思います。

川崎は川崎市の駅ですが、規則上は横浜市内の駅ということになっています(図3=JR西日本HPから)

図3

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