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「実のなる木を1本描いてください」とChatGPTに命令してみる

「実のなる木を1本描いてください」は,バウムテストという心理検査を行う際のインストラクションです。皆さんも,白い紙を1枚用意して,実のなる木を1本描いてみてください。


バウムテスト

「バウム」はドイツ語で「木」のことです。バウムクーヘンの「バウム」ですね。木を1本描いて解釈することで,描いた人物の’心理状態やパーソナリティ特性を読み取ろうとする投影法の検査です。

バウムテストは実施が容易で検査を行っても侵襲性(個人の内面に踏み込んで心理的安全性が脅かされること)が低いことから,多くの場面で使われます。

しかし,短所は「描いた木の解釈がそんなに簡単なものではない」という点にあります。幹の状態や枝の状態,葉の状態がどうなっているのかなど,多くの検討すべき事項があります。また,描いた全体が空間の領域のどこを占めているのか,切り口や折れた枝があるのか,幹に穴が空いているのかなども解釈の対象になる場合があります。

正直,「こんな木を描いたのですがどうですか」と見せられても,私も困ってしまいます。「こういう木を描いたからこう」と一対一に対応するものでもありませんし,なかなか解釈は一筋縄ではいきませんので,そこは要注意です。

AIに描かせる

それはさておき,今回はChatGPTに「実のなる木を1本描いてください」と指示してみました。ただしそのままだと余分なものを描いてしまいますので,少し工夫して描かせました。

どんな木を描くのでしょう。

ChatGPT4oは,こんな木を描いてきました。

ChatGPT-4o

なんというか……単なる印象ではありますが,なかなか明るくて健康そうな木を描いてくるものです。

落ちこんだ人の木

となると,ちょっと遊んでみたくなります。こんな指示をしたらどうなるでしょうか。

「落ちこんでいる人になりきりなさい。その人が描くことを想定して,実のなる木を1本,絵に描きなさい」と指示してみました。この指示で描いた絵がこれです。

「落ちこんでいる人」になってAIが描いた木

どうでしょう,イメージできますか?

不安が強い人

そうなると,さらに気になります。こんな指示はどうでしょう。「不安が強い人になりきりなさい。その人が描くことを想定して,実のなる木を1本,絵に描きなさい」と指示してみました。

すると,こんな木を描いてきます。

「不安が強い人」になってAIが描いた木

こういうことをしていくと,AIが「落ちこみ」や「不安」に対してどんなイメージをもっているかが明らかになりそうです。それはもともと私たちから学習したものですので,ひいては私たち人間の集合的な知識体系なのかもしれませんけどね。

これって,ユングの集合的無意識みたいなものなのでしょうか……?

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