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心理学における操作主義

心理学という学問は,本当に反省が好きだと思います。

これまでの歴史のなかでも,心理学の基本的な考え方を何度も変えてきており,常に心理学者のなかには「いまの心理学は何か違う」と感じて考え,行動する人々が存在しています。「心理学は道を踏み外している」ということを証明することを目標とするように見える「心理学者」もいるのです。

これは,研究者の世代交代によっても生じます。実験や科学的な志向性を目指した世代から次には,必ずといっていいほど質的な研究を目指す研究者たちが誕生してきて,また次の世代にはより科学的な手法にのめり込む研究者世代が誕生していきます。この世代交代サイクルは,数十年おきに繰り返すといってもいいでしょう。

概念

心理学が何を研究しているのかという点も問題です。心理学が研究対象としようとしているのは,私たちの行動の背景に仮定されるような概念です。この概念設定が厳密さに欠いていることから,心理学全体の不安定さが生じているのではないかという批判もあるようです。

というのも,心理学では概念を概念としてそのまま研究対象とするのではありません。概念を「手続き」に置き換えて研究します。「この概念はこの方法で測定することができる」という部分が心理学を大きく支えているのです。が,概念が不明瞭であれば,何を測定しているのかもよくわからなくなってしまいます。

操作主義

操作主義のルーツは論理実証主義にもありますが,心理学では物理学における操作主義から大きな影響を受けています。

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