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成功の共通点:ちょうど良い複雑さが成功につながる

世の中全体に共通する法則というものは何かあるのか?という問いは究極のものです。そりゃ,そんな法則があるなら誰もが知りたいですよね。

でも,そのことを考える上でヒントになる観点というものはあるように思うのです。

二冊の本

今日紹介する二冊の本は,同じことをポイントに置いているのに強調している結果が違うということになっていて面白いと思ったものです。

どちらも,社会の構造の複雑さを問題にしているのですが,片方は「回復には複雑さが必要」ということが書いてあって,もう片方には「複雑さが崩壊をもたらす」ということが書いてあるのです。

どういうことでしょうか?

回復の要因

一冊目は,『レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』という本です。この本は,生態系や経済システム,国家のシステムが困難から回復するときにどのような共通する要因があるかを説明しています。

そして,ひとつのポイントは,そのシステムがシンプルになり過ぎていないことです。

選択と集中

「選択と集中」という言葉がありますよね。投資をする際には目標を絞ってそこに集中的に投資をしていくべきだという考え方です。学問の世界でも,研究費を一部に集中させて成果を上げようとする動きがありますし,ベンチャー企業もどこかに集中的に投資をすることで大きなリターンを得ようとします。

資源が限られている時の生き残り戦略としてはよいのかも知れません。

ギャンブル化

ところが,過度にどこかに集中するシステムは,その仕組みがうまくいかなかった時のダメージも大きいのです。

集中的に投資をしていた研究が実は何も生み出さないものだったり,実は存在しないものだったり。その商品だけに特化して販売していたのに,ブームが去って全く売り上げが上がらなくなってしまったり。

システムには「遊び」が必要です。それは言い換えると,複雑さを維持することであり,メインの回路にダメージが生じた時には迂回回路が機能するように用意しておくのがよいのです。

それは「選択と集中」というよりは「分散投資」です。投資の基本ですね。

崩壊の要因

さて,ここでもう一冊の本を紹介したいと思います。『Xイベント:複雑性の罠が世界を崩壊させる』という本です。

この本に書かれているのは,どのようなシステムが崩壊を招いてしまうのか,ということです。

世界史を見ても,人が集まり村ができ町になり都市化し,国ができて大きくなり,なぜかそのうち崩壊する,ということが世界中至る所で起きてきました。会社ができて大きくなっても,どこかでシステムがうまく回らなくなってしまうということも何度もありそうです。

複雑さが崩壊を招く

そして,ここでもポイントは複雑さなのです。最初はシンプルな意思決定で動いていたシステムが大きくなると,一人の人間が目を配る範囲を超えていきます。

そのうち,誰も全貌が分からないような活動がそのシステムの中で行われるようになり,どんどん複雑化していきます。システムはその場その場で場当たり的に継ぎ足され,ルールが細かくなり,全体の動きが悪くなっていきます。

そして,どこかで臨界点を超えて崩壊します。国は滅んだりもっとシンプルなシステムになるように分裂したりしますし,会社も同じようなことになります。個人の生活も複雑化すればもうにっちもさっちもいかなくなってしまいます。これも,多くの事柄に共通した観点なのです。

ちょうどよい複雑さ

複雑さが足りないと回復しづらく,複雑すぎると崩壊に至ります。ということは,ちょうどよい複雑さが良いということなのでしょうか?

いや,崩壊と回復は同時に起きるわけではありません。回復は崩壊の後に起きるものです。そして,国はまた別の国になり,会社も事業はどこかに引き継がれ,ダメージを負った個人もそこから何かを始めることができるのです。

そう考えると,シンプルなものに集中するよりは,複雑さをある程度維持した方が良さそうだよな,と思ったのでした。

皆さんはどう思うでしょうか?

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