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地位が低いと痛みを増幅させるのか

割引あり

皆さんは,身体のどこかに痛みを感じてはいないでしょうか。年をとると,何かしらどこかが痛くなったりするもので,まったく厄介なことです。


痛みの影響

世界的に見ても,身体の痛みに悩まされる人は増加傾向にあるそうです。

痛みは様々な活動に影響を与えます。また社会にとっても,医療費を増加させ,医療制度の課題となってもいます。また,痛みを和らげようとして,薬物やアルコールの使用,オピオイドの蔓延にもつながり,自殺のリスク要因にもなっています。

慢性的な痛みの背景を理解することは,個人にとっても社会にとっても重要な問題だと言えそうです。

痛みとは

痛みという概念は,意外と複雑です。痛み(疼痛)とは,実際のあるいは潜在的な組織的損傷に伴う,あるいはそれに類似した,不快な感覚的・感情的体験だとされます。また多くの研究において,痛みとは身体で感じる不快な感覚であるとしています。

相対的剥奪理論

相対的剥奪理論(Relative Deprivation Theory)という理論があります。この理論では,ある基準やターゲットとなる集団と比較して,自分自身がより不利な状況にあると感じることから生じる感覚を問題とします。そこから不満や不公平感が生じることで,精神的・身体的な問題へとつながっていきます。

これまでの研究でも,相対的剥奪がストレスを通じて線維筋痛症や機能性胃腸障害をもたらすという結果や,抑うつ症状を増加させるなどの結果が報告されています。

地位と痛み

所得の水準は,相対的な剥奪に基づく問題をもたらす一つの要素です。所得水準は,剥奪感から生じる痛みにつながるのでしょうか。世界中の160ヵ国以上の人々を対象とした調査データから,これらの関連を検討した研究が行われています。

こちらの論文を見てみましょう(Having Less Than Others is Physically Painful: Income Rank and Pain Around the World)。

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