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Minox
Minoxをご存知か
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ミノックスは実に小さい。
チューインクガムの少し大きいくらい、といえばその大きさを想像してもらえるだろうか。
ひょんなことからⅢsというのを手に入れて、それからLXというのも手に入れる。
このカメラを普通に使うのには多少の面倒を背負い込むことになる。
それを面白がるタイプの人なら、このカメラはもしかしたら一生の伴侶になるかも知れない。
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巻き取ったりする時にギアを引っ掛けるためのパーフォレーションはない。
8×11
たいへんに小さいカメラであるから使用するフィルムも小さいものになる。
撮影できる画像の面積は8mm×11mm。
小指の先ほどの画像である。
当然フィルム自体も小さなもので、専用のマガジンに詰めて使う。
ボディを押し込んで引く、という巻き上げ方法で速写性に優れている。
偏心カムを使った自動補正が巻き上げの量を調整していてコマ間も安定していた。
コンプラン15mm f/3.5
レンズは3枚4群のテッサー型である。
とても優秀なレンズでかなりの倍率の引き伸ばしにも耐えうる。
ファインダーも焦点距離に連動するパララクス自動補正を備えていて、ぼくが使っていたIIIsにはUV、グリーン、オレンジなどの内蔵フィルターもあった。
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本当に使われていたのかどうかは知らないが、このミノックスは「スパイカメラ」と呼ばれたりする。
これで敵方の重要な書類などを撮影するのだ。
もちろん小さいから隠匿しやすいし、シャッターも「チッ」という程度だ。
映画やドラマにもよく登場していて、古い方の「ミッション・インポッシブル(この頃だとスパイ大作戦の方がわかりやすいか)」や「007」なんかにも出ていたらしいから、そういうイメージが先行したのかも知れない。
だいたいスパイなんて存在が公のものではないから、その人たちが使ったものなんてわかるはずがないと思うのだけど。
現像沼とフィルム沼
昔はミノックス専用のマガジンに入ったフィルムを売っていたらしいが、デジタル全盛のご時世、そんなものそんじょそこらで売ってるはずもないし、たとえ売っていたとしても高価で、ぼくみたいにムダ弾を連発するタイプには到底向かない。
そんなことを当時やってたSNSとかで愚痴っていると類は友を呼ぶというか、蛇の道は蛇というか、それに実に的確なアドバイスをくれる人が現れる。
しまいにはミノックス愛好会みたいなのから色んなものまで送ってもらったりする。
まずフィルムをどうするか。
これは普通の135mmフィルムから切り出すのである。
ミノックス愛好会から送ってもらったものの中に専用のカッターがあり、それを暗室で使えば1本のフィルムから3本のミノックスフィルムを切り出すことができた。
それを、これまた送ってもらったマガジンに詰めれば問題解決である。
そして次なる問題は現像である。
こんなフィルムの現像、街のDPEでは受け付けてくれない。堀内カラーなんかに持ち込んでもたぶん断られる。
そうなると自分でやるしかないが、普通の現像タンクでやれるのか?なんて思っていると、なんと専用の現像タンクがあって、それを無期限で貸してくれるという。
また現像液もあれこれ試した。
こうして拡大して見るのが前提だと粒子の粗い高感度のフィルムは使いにくい。
また現像も温度や攪拌で、ある程度粒子を抑えることはできるが、やはりフィルム自体に依るところも大きい。
よく使ったのはローライのATP1.1というISO32のモノクロフィルムをISO25にして撮影した。
現像液は汎用性を重視してR09 ONE SHOTを1:300に希釈して20℃、12分。
ミノックス仲間が作った現像液も調子が良かったが、もうそこにいくと際限がなくて、自家調合に深入りするのは踏みとどまってしまった。レシピも聞いたけど、もう部屋が実験室みたいになる。ビーカーやメスシリンダーは普通に現像で使うけど、さらにデジタルスケールとかスポイトとか試験管とかね...。
家族がちょっと心配しだした。
まぁ映画なんかで警察が踏み込みそうな雰囲気の部屋になってきたからだ。
実際松本サリン事件であらぬ疑いをかけられた河野さんは家宅捜査を受けた時にマスコミ報道では「薬品」とされていたが、これは河野さんがフィルムの自家現像をする際に使う薬品の類だったというのを聞いたことがある。
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問題はすべてクリアしたので、あとは撮るのみ。
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アクセサリー
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ミノックスにはアクセサリーが豊富にある。
写真の左端にあるのが単体の露出計。
他にもぼくは持ってなかったがフラッシュライトや真横を向いて撮れる横向きのファインダー、専用の三脚や双眼鏡などなど。
眺めているとどれも欲しくなってしまうが、どれもなかなか手に入らない。
まぁそれで散財せずに済んだのだが...。
撮影はとても楽しかった。
まずカメラだとは認識されにくいし、時々出没するカメラうんちくおじさんにも捕まりにくかった。
誰にでもオススメできるカメラではないけど、興味があれば買ってみるのもいい。
大丈夫。
きっと好事家が嗅ぎつけて、色々お手伝いしてくれるから(笑)
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