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She drove her car
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まだ高校生の頃。
知り合いの女性が免許を取ってクルマを買った。
どういう経緯だったか忘れてしまったが、ドライブに連れて行ってもらったことがあった。
ウチの父は免許を持っていなかったので、どこへ行くにも電車かバスだったから、クルマで移動するのは、それだけで心ときめくものだった。
ただ気がかりだったのは、ぼくは車酔いをする体質だったこと。
「海に行こうよ」
彼女はそう言うとぼくに地図を持たせ南へ進路を取った。
ただでさえ車酔いするのに、揺れる車内で地図を見せられたのでは一溜まりもない。
早々に気分が悪くなってしまった。
ごめんなさい
「こっちこそごめん。知らなかったんだよ、クルマに酔うんだって」
少し休むとだいぶ回復したので再出発した。
彼女のクルマはマニュアルミッションだった。
おまけにまだ初心者マークが取れない頃だったので、その後もすぐに気分が悪くなってしまったのだが、そこはオトコの意地で堪えていた (笑)
自分でクルマを運転するようになると、その時に走った道は定番のドライブコースになった。
ゴミゴミした市内を抜けると自動車専用道路になり、長い直線を終えて左へ大きくカーブすると右に光る水面が見える。
何度となく、ただクルマを走らせるためだけに、その場所へ行った。
今はのんびりクルマを止めて海を眺められる場所もなくなってしまった。
それでも、その場所を通るたびに助手席から盗み見た、慣れない手つきでタバコを吸っていた彼女の横顔を思い出す。
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