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6月の憂鬱

2014年3月。ようやくひとりでトイレに行くのが許可された

6月は22年前に心筋梗塞を起こした月だ。
家人は、ぼくが夕方に自宅で倒れ救急搬送された病院で、その深夜に医師から「助かる確率は30% 」と言われたそうだ。

あの年はワールドカップの年だった。
療養中の唯一の退屈しのぎはテレビを見ることだったが、どの局もワールドカップ関連ばかりで、看護師さんが「テレビも他に見るものがなくなっちゃったね」と溢していたのを覚えている。

2014年3月。1日に700mlの水分を摂る

それから12年。
10年前の2月末に胸水が溜まって心不全を起こし再度入院した際は「 10年とは言わないけれど、20年も前なら余命宣告をしなくてはならない状況」と言われた。

2014年3月。点滴を打つ場所がなくなった

前回も前々回もそうなのだけど、病院のベッドに寝て天井だけを睨む日々を過ごしていると、ふと途轍もなくダークサイドに気持ちが陥っているのに気付く。
暗く、そしてドロドロした黒い気持ちが渦を巻いていた。
それはそれは黒い気持ちで、あえて言うなら「漆黒」であった。
気がついて自己嫌悪する。

それ以来、時々顔を出す「途轍もないダークサイドな自分」と「そうでもない少しだけダークサイドな自分」を揺れ動くことそのものが、今の自分なのだと理解するのには、暫く時間がかかった。

もう今さらキレイ事だけを並べるつもりはない。
理解されようがされまいが、ぼくはぼくであり続けるし、それを避ける術など知らない。

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