10年くらい前
自家現像
これらの写真が2013年だからその時期だと思うけれど、その前からモノクロフィルムは自分で現像していた。
カラーもできなくはなかったが薬剤も高価だったし(ナニワカラーキットだっけ?)またプリントともなると自分では難しかったのでモノクロだけ。
まぁ撮るのもモノクロがほとんどだったから、それでよかったのだ。
プリントまで持っていくことは稀になっていて、スキャナーでフォトストックのサイトにアップしておしまいという流れだ。
フィルムはトライXかTmaxが多かった。
TmaxはTmax Developerで現像することが多かったが、あとはR09 one shotで静止現像というパターンでやっていた。
フィルムどちらも長巻きで買っていた。
パトローネからタンクへ
まず自家現像に必要なのは「現像タンク」。
タンクといっても大小様々な種類があるが、ぼくは1本2本の数だったので1番小さいものと、120mmフィルムが現像できるものの2種類でやっていた。
(LPLというメーカーのを使っていたけど、販売してるのはもうプラスティックのものだけみたい)
撮り終えたらフィルムを巻き戻してカメラから取り出す。
現像するにはパトローネからフィルムを取り出して現像タンクに移さないといけないのだけど、このとき未現像のフィルムを取り出すので露光させてはいけない。
つまり完全に真っ暗な所で作業する必要がある。
だけど一般的な家では、まずそんな場所はないというのに気づく。
どこからか必ず光が入ってくるのだ。
我が家ではトイレがなんとかギリギリの暗さだったので、そこで作業した。
トイレを真っ暗にしてゴソゴソ。
不気味である。
薬剤の希釈と現像
現像の工程はいくつかあるが、基本的には3つである。「現像」「停止」「定着」だ。
R09の時は静止現像なので1:100なんて希釈率でやってたけれど、TmaxDeveloperは1:4だった。
あれこれ試したけれど結局それに落ち着いたのだ。
温度は20℃。
大道さんに憧れて高温現像も試したけど、最近のフィルムのエマルジョンは堅固でびくともしなかったのでやめた。
停止は水でやっていた。
攪拌するならそれで十分だった。
あとは定着。
イルフォードのフィクサーを使っていた。
いずれもフィルム現像用のアプリがあってタイマーもついている上に攪拌のタイミングも教えてくれるので手間いらずだった。
乾燥
あとはフィルムを乾燥させるだけ。
専用のクリップがあって、それをハンガーに吊るして、なるべく埃の出ないところで乾かしていた。
手順としてはとても褒められたものではなく、良い子はこんな手抜きの現像をしてはならない。
ちゃんとしたやり方でやった方がいいに決まっている。
昔はフィルムも安かったし自家現像用の薬剤も手に入りやすかったから、コストのことなんかあまり考えずにバシバシ撮った。
ずいぶん無駄ダマも撃った。
でもこうしてフィルムや印画紙に像がうかびあがる作業をしていると、先人たちの知恵の深さと現象の不思議さに心奪われる。
めんどくさいことこの上ないが実に楽しい作業だった。
近ごろはまったくやってないが、定年過ぎたらまた始めようかな。
それまで薬品とか売ってるだろうか。
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