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OLYMPUS XA

全部のせ

1979年に発売された、この小さなカメラは国産コンパクトカメラのひとつの完成形といっていいだろうと思う。
このXAの後、XA2、XA1、XA3、XA4とシリーズ化していく。
好みはそれぞれだし特徴もそれぞれあるのだけど、かかったであろうコストとその機能を照らし合わせるにつけ、XAにかけるオリンパスの意気込みを感じる渾身のカメラだ。

2010年5月 名古屋・布池
Kodak Plus-X
2011年9月 名古屋・尼ヶ坂にて。
Fuji NEOPAN400 PRESTO
2011年9月 名古屋・尼ヶ坂にて。
Fuji NEOPAN400 PRESTO

レンジファインダー

レンズカバーを開くと撮影が可能になる。
前に紹介したこれらのデジカメのデザインの素になっているのは間違いなくXAだろう。

XAシリーズが終了した後もμ(ミュー)という機種が展開されるが、やはりこのレンズカバーは踏襲されている。
μもμIIも使っていたことがあるので、また写真と一緒に紹介しようと思う。

F-Zuikoという5枚6群からなる構成のレンズを搭載して、さらには距離計までも備えている。
ただ描写ということになると、この後発売されたXA2に分があるとする評価もある。

レンズ下のレバーを操作するとファインダー内にあるブライトフレームの二重像を合わせることができ、それで任意の場所にピントを合わせることができるライカなどに搭載されているものと同様のシステムを持つレンジファインダー機である。

またシャッター側前面にあるスイッチで絞りを操作でき、そこで設定した絞りと、またレンズ下側のレバーで設定したフィルム感度からAEが可能になる。
このカメラは絞り優先AEのカメラなのだ。
この大きさにしてこの高性能ということで、プロのサブ機として使われたりもしていたと聞く。

2011年11月 瀬戸市・定光寺にて。
Kodak RROFOTO XL100
2011年11月 瀬戸市・定光寺にて。
Kodak PROFOTO XL100

またこのカメラにはA11という別体のストロボが付属しており、ボディの向かって右側に装着できる。標準はA11だがガイドナンバー毎に3種類が用意されていた。
カメラ側でストロボのスイッチを入れると上部にある充電のインジケーターが飛び出してオレンジ色の灯りが灯るのを待ってから使うのだけど、この充電の間に「キュイーン…」と、なんともぼくら世代には懐かしい音がする。
とにかく普通に使うのに機能面での不満はなく、それらをこのコンパクトなボディに押し込んでいる「全部のせ」なカメラである。

A11を付けた状態。
2013年5月 名古屋・大須観音にて。
FUJI NEOPAN 400 Presto ( EI800 ) ( R09 ONE SHOT 1:100 20℃ 120'00" Stand Development )
2013年5月 名古屋・栄にて。
Fuji NEOPAN400 PRESTO
( R09 ONE SHOT 1:100 20℃ 60'00" Stand Development )
2013年5月蒲郡にて。
Kodak Tmax400 ( EI800 )
( R09 ONE SHOT 1:25 20℃ 10'00" 1 step push )
2013年6月 名古屋・有松にて。
Kodak Tmax400@800 R09 ONE SHOT ( 1:25 23℃ 8'37" 1 Stop push )
2013年6月 名古屋・有松にて。
Kodak Tmax400@800
R09 ONE SHOT ( 1:25 23℃ 8'37" 1 Stop push )

ボディはプラスティックなので軽量である上にストロボを外せば片手に収まるサイズ。
それ故に気軽にポケットの放り込んでおいて軽快に撮影できる。
巻き上げはPEN以来の「ジーコジーコ」とダイヤルを回すタイプなので、そこだけは軽快とは言いにくいが、それも慣れてしまえばレバー式と変わらない。

ただぼくが最後まで慣れなかったのはシャッターである。
このカメラは電子シャッターであるからシャッターボタンはスイッチの役割であり、現代のものであればシャッターを機械式のそれらしく擬似的に再現もできるのだろうが、当時はそれよりも電子シャッターであることのほうが重要視されたらしく、このXAのシャッターボタンは極めてフェザータッチなのだ。
本当に指を置いただけでシャッターが切れてしまうので、よくタイミングを外した。
どうしてもこれだけは慣れることがなかった。

2013年6月 岡崎にて。
Kodak Tmax400 ( EI800 )  R09 ONE SHOT ( 1:100 25℃ 2hrs Stand Development )  
2013年7月 名古屋・栄にて。
Kodak Tmax400 (EI800)  R09 ONE SHOT ( 1:100 20℃ 2hrs Stand Development )  
2014年5月 岡崎にて。
FUJIFILM NEOPAN400 PRESTO ( EI800 )  R09 ONE SHOT ( 1:100 20℃ 2hrs Stand Development )  
2015年10月 岡崎・松應寺にて。
OLYMPUS XA, FUJIFILM ACROS ( EI400 R09 ONE SHOT 3hs Stand Development )
2015年10月 岡崎・松應寺にて。
OLYMPUS XA, FUJIFILM ACROS ( EI400 R09 ONE SHOT 3hs Stand Development )

米谷イズム

XAやフィルムのPEN、そしてOMなどの設計に携わったのが米谷美久氏である。
メカニズムの塊のような内部構造をプラスティックのレンズカバーで包むという独自性や独創性、それまでのコンパクトカメラの「初心者向けでシャッターを押せば写る」という概念を打ち破る革新性は、まさに氏の思想であり、またオリンパスの思想でもあった。

まさに孤高の存在。
XAとは初代の尖り方に尽きると思うのである。

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