OLYMPUS XA
全部のせ
1979年に発売された、この小さなカメラは国産コンパクトカメラのひとつの完成形といっていいだろうと思う。
このXAの後、XA2、XA1、XA3、XA4とシリーズ化していく。
好みはそれぞれだし特徴もそれぞれあるのだけど、かかったであろうコストとその機能を照らし合わせるにつけ、XAにかけるオリンパスの意気込みを感じる渾身のカメラだ。
レンジファインダー
レンズカバーを開くと撮影が可能になる。
前に紹介したこれらのデジカメのデザインの素になっているのは間違いなくXAだろう。
XAシリーズが終了した後もμ(ミュー)という機種が展開されるが、やはりこのレンズカバーは踏襲されている。
μもμIIも使っていたことがあるので、また写真と一緒に紹介しようと思う。
F-Zuikoという5枚6群からなる構成のレンズを搭載して、さらには距離計までも備えている。
ただ描写ということになると、この後発売されたXA2に分があるとする評価もある。
レンズ下のレバーを操作するとファインダー内にあるブライトフレームの二重像を合わせることができ、それで任意の場所にピントを合わせることができるライカなどに搭載されているものと同様のシステムを持つレンジファインダー機である。
またシャッター側前面にあるスイッチで絞りを操作でき、そこで設定した絞りと、またレンズ下側のレバーで設定したフィルム感度からAEが可能になる。
このカメラは絞り優先AEのカメラなのだ。
この大きさにしてこの高性能ということで、プロのサブ機として使われたりもしていたと聞く。
またこのカメラにはA11という別体のストロボが付属しており、ボディの向かって右側に装着できる。標準はA11だがガイドナンバー毎に3種類が用意されていた。
カメラ側でストロボのスイッチを入れると上部にある充電のインジケーターが飛び出してオレンジ色の灯りが灯るのを待ってから使うのだけど、この充電の間に「キュイーン…」と、なんともぼくら世代には懐かしい音がする。
とにかく普通に使うのに機能面での不満はなく、それらをこのコンパクトなボディに押し込んでいる「全部のせ」なカメラである。
ボディはプラスティックなので軽量である上にストロボを外せば片手に収まるサイズ。
それ故に気軽にポケットの放り込んでおいて軽快に撮影できる。
巻き上げはPEN以来の「ジーコジーコ」とダイヤルを回すタイプなので、そこだけは軽快とは言いにくいが、それも慣れてしまえばレバー式と変わらない。
ただぼくが最後まで慣れなかったのはシャッターである。
このカメラは電子シャッターであるからシャッターボタンはスイッチの役割であり、現代のものであればシャッターを機械式のそれらしく擬似的に再現もできるのだろうが、当時はそれよりも電子シャッターであることのほうが重要視されたらしく、このXAのシャッターボタンは極めてフェザータッチなのだ。
本当に指を置いただけでシャッターが切れてしまうので、よくタイミングを外した。
どうしてもこれだけは慣れることがなかった。
米谷イズム
XAやフィルムのPEN、そしてOMなどの設計に携わったのが米谷美久氏である。
メカニズムの塊のような内部構造をプラスティックのレンズカバーで包むという独自性や独創性、それまでのコンパクトカメラの「初心者向けでシャッターを押せば写る」という概念を打ち破る革新性は、まさに氏の思想であり、またオリンパスの思想でもあった。
まさに孤高の存在。
XAとは初代の尖り方に尽きると思うのである。
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