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優しくなければ強くなれない。


新たな時代そのもの。

お話を聞いたのです。プロジェクトマネージャーの森一貴さんに。
聞いた傍から、いい知恵熱出ました。エポックメイキングというか潮目というか、中央や大企業や安定成長がコモンセンスとされてしまっていた昭和世代の僕にとって、“新たな時代そのもの”を、タンジブルな姿として地方でベンチャー的に変化し続ける彼の言動に見ました。もう、大学生に就活セミナーなんか一切辞めて彼の話を聞くといいよ、とけしかけたくなるくらい。そして、正直言って自分がインストールしてきたもののつまらなさに辟易してしまうくらい。大学院などにいるとすぐ考えようとしてしまうのですが、その脳天にバチコン!といいデコピンもらった感じです。ブルースリー的に言うと、Don’t think, Dooooooooo!です。もう無邪気とさえ言いたくなる行動力の突き抜け方が、スカッと晴れた5月の青空のよう。とかいいながらめちゃくちゃthinkしていて、豊穣な知的好奇心を土台にしながら、フレンドリーな情熱と軽やかなフットワーク全開でばんばんプロジェクトをカタチにしていく森さん。その裏には緻密なガントチャートも物事を動かすための人の機微もわきまえた実践力が見え隠れしていて、子どもたちがみんな森さんの力を身に付けたら未来は必ずや明るくなることでしょう!と宣言したくなります。


社会に、自由と寛容を。

東京のコンサルでロジカルシンキングを体得した森さんは、福井の鯖江へと移り住み「社会に自由と寛容をつくる」というテーマを抱きながら数多のプロジェクトに取り組みます。寺に多様性ある人々を招聘し生き方を問い直す場をデザインした「生き方見本市HOKURIKU」、1ヶ月鯖江に住んでもらってフリーとして生きるスキルを学べる「田舎フリーランス養成講座」、ものづくりが盛んな当地の工房を一斉解放する国内最大規模のオープンファクトリー「RENEW」、半年間家賃無料で何してもいいが全国5都市どこに行けるかわからない「ゆるい移住」、子どものやりたいことを一緒に伴走する探究塾「ハルキャンパス」、福井県の政策デザインプロジェクト「Public Design Lab Fukui」……と、枚挙にいとまがありません。しかもどれも地域に元気を与えるし、ワクワクする要素が入ってて、福井いーじゃんと思わせる力に満ちている。面白いのが当初心酔したロジカル思考を活かそうとしたのだけどうまく機能せず、やり方を柔軟に変えていった結果としてデザイン思考が換装されているところ。不確定性の高い状況でプロジェクトを前進させる方法論として、人に耳目を開いてプロトタイピングを駆動力に“まずはやってみながら”探索的に知見を深めていくデザインアプローチの有効性を、森さんの背中に改めて思い知ります。


優しさが生み出すリーダーシップ。

しかも、その根っこはめちゃビジョンドリブン。人が何かを変える能力を持つことを後押ししたい。つくることを民主化したい。主客を融解させて二項対立を崩したい。社会に自由と寛容をつくるために、健やかで明確な想いを持たれています。そのために、くさびを打ち込みたいとかアナーキズムをインストールしたいとか刺激的な言葉も出るのですが、その心は僕からするとブルーハーツなんです。ヒロトが“パンクロックは優しい”と言ったのと同じなんです。正解より、別解。周辺に、おもしろいものを。みんなが主役に。森さん、優しいんです。だから自分の中に確固たるビジョンを持っていても、押し付けない。プロジェクトの自律性を尊重する。下記にハルキャンパスについて彼が記した記事があります。ここまで読んで頂いた方には、ぜひとも読んでほしいです。(僕は涙なしでは読めませんでした) ゆるさと腕力、優しさと思考力。人々の多様性と自由を心から愛し、茶目っ気たっぷりな正直さを持って、透徹な思索に裏打ちされた誰もが参画したくなる夢をピュアに語る。そんな森さんが最後にこう伝えてくれました。「金なくてもやりてえ」が超大事、と。真のリーダーシップとはこういうことだな、と思えてなりません。


武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダーシップコース クリエイティブリーダーシップ特論/第3回/森一貴さんの講義を聞いて 2021/4/26

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