見出し画像

【地域の話】豊さとは?プライドを持って仕事や生活ができることだと思います。#249

皆様、こんにちは。
佐伯です。

ジリジリと暑い日が増え、エアコン無しでは厳しい日が多くなりましたね。
6月もいよいよ下旬になり、夏が到来します。

北陸に住んでいると、日照時間が全国で1番短いので晴れた夏はとても貴重だとつくづく感じます。
太陽が昇って明るい日差しを体一杯に受けると、何だか体の底から元気が沸いて出てくる気がします。

体の底から元気が沸いてきて「今日もいい日だな」と感じると何だか毎日の健康管理の成果が出ている気がしてとても嬉しくなります。

仕事も同様です。
最初は中々結果が出ずに七転八倒しながらなんとか形になった瞬間を見ると達成感や満足感に満ち足ります。

今回、豊さをテーマに記事を書いたのは理由があります。
私は日頃から近所のB型就労施設「ワークスたから」さんとお仕事をさせて頂いています。
そろそろ1年程のお付き合いになるかと思うのですが、職員さんも入所者さんも皆さん優しくて人付き合いがあまり上手くない私にとってはとてもありがたいことです。

1年程お仕事をしている中で入所者さんとも仲良くなり挨拶をしたりすることがあります。
もちろん職員さんとも仲良くなり、たくさんの話をしました。
その中で各企業さんからの依頼単価が安く十分に入所者さんへ還元できていないことに気付きました。
職員さん達はそれでも一生懸命、入所者さん達のサポートをして効率良く一つでも多く作業ができるよう尽力されています。

それでもやはり限界があります。
そこで今回、入所者さん達に十分な報酬と達成感のある仕事を作るにはどうすれば良いかと考え行動しました。

少し長くなるかと思いますが、どうぞお付き合い頂けると嬉しいです。


①B型作業所って何?

私も生活保護担当時代に知ったのですが、障がいを持った方々が収入を得る、社会参加する入り口は2つあるのです。

まずはA型作業所。
こちらは比較的軽度の障がいを持った方が入所されており、多少複雑なオペレーションでもこなすことができます。
そのため、賃金も比較的安定しており障害者年金と合わせれば何とか生活できる水準になります。

人によるといえばそれまでですが、できることが多いので自立した生活を目指すことができると言えます。

一方、私が関わっているB型作業所は就労は可能だが重い精神障がい、知的障がい、身体障がいを持つ方々が利用されています。

その為、複雑なオペレーションは難しく適切に簡易化した単純作業を淡々とこなすことが主な作業内容になります。

主に製品の組み立て(ねじ止め)、簡易梱包、金属探知機を使用した製品への金属混入を防ぐ検針などです。

長くデフレが続いたせいか、彼らの賃金は恐ろしく低いのが現状です。
人手不足の昨今では職員さんも彼らのサポートをしながら、新たに単価の高い仕事を得るための営業をする時間もない状態です。

ただ、多くの方々が誤解していることがあります。
それは彼らが単純なことしかできないと誤解していることです。

実際、1年触れ合って分かったことですが入所者さん達は仕事がとても丁寧で、正確です。
そして集中力が高く、一度集中すると脇目もふらず一心不乱に作業に当たってくれます。

これは彼らの特性であり長所です。
どうにかこの特性を活かしてもっと入所者さん達が稼げるようにならないかというのが私の課題でした。

②先輩社長からのアドバイス

今年の春に私が毎月参加している「とやま会議」でのことです。
主催者である株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションの社長である松村さんにこの件について相談したところ、

「グリーンカーテンの苗を育て販売してみてはどうか?」

とアドバイスを頂きました。
松村さんは北陸では最も大きいお花屋さん「花まつ」を経営されています。
謂わば植物のプロです。

入所者さんの長所と植物を育てるために必要なスキルが合致していると説明をしてくださいました。

「丁寧」「正確」「真面目」

どれも植物を育てるには不可欠な要素です。

私はその場で是非挑戦したいと話すとすぐに松村さんは元になる苗(ヘデラ白雪姫)と水耕栽培するための資材を用意してくれました。

本当にありがたいことでした。

それからすぐに作業所さんに連絡しこの話を持ち込みました。
そして快く引き受けてくれました。

③育成に苦戦。しかし何とか形になる。

水耕栽培なので元になる苗木から枝を採取し、水耕栽培用の吸水マットに埋めます。

ここまでは順調でした。
問題はここからです。

毎日、入所者さんと職員さん達が欠かさずお世話をしても中々成長しないのです。
中には黄色く変色して枯れてしまう個体も出てきました。

何が原因なのか試行錯誤でした。

水分量、日照時間、風通し、いろいろと試しました。
私は作業所に常駐している訳ではないので試行錯誤は職員さん達がしてくださりました。
お忙しい中、時間を掛けて試行錯誤してくださり本当に感謝しております。

そうして長い時間と職員さん達の創意工夫で、成長するための条件を引き当てました。
そして、本日販売が可能な程の大きさになった苗を植え替える作業をしました。

作業中の入所者さん。丁寧にスプーンでポットに土を入れています。
吸水マットから苗を取り出し実際に土に植えています。根付くのが楽しみです。

私も一緒に作っていたのですが、分かっていたのですが入所者さん達の方が丁寧で綺麗に作ってくれました。

作業を終えた入所者さんに

「楽しかったですか?」

と聞いたところ嬉しそうに

「はい!」

と返事を頂きました。
やはりこの作業は正解だったと感じました。
仕事を楽しいと感じてくれてこれ程嬉しいことはありません。
まだ販売までもう少しですが嬉しさが込み上げてきました。

④豊さとは何か

私は10年間、市役所で市民の皆様の生活のため奉職させて頂きました。
内、半分は福祉の世界にいました。

生活保護担当として、お金がなく生活に困窮している方々をたくさん見てきました。
お金がないことは確かに豊な状態とは言えません。
食べるものや着るもの、住む場所がなくては穏やかな日々など到底過ごすことはできません。

一方で、市役所に奉職している間様々な社会の変化を経験させて頂きました。
未曾有のコロナ禍、総務省からのマイナンバー普及の強烈な圧力、ハードクレーマーによる営業妨害。

どれもこれも現場の若手職員と一部に心ある管理職の方々で対処していました。
ですが、限界でした。
特にコロナ禍の時は、皆、日を追うごとに疲弊し、死んだような目になりました。
そして、コロナ禍が終息すると緊張の糸が切れたのか次々と若手が退職していきました。
かくゆう私もその1人です。

これも豊さとは程遠いことです。
確かに毎月の給与は頂けましたが、身を削るような日々で眠ることも、食事の味も分からなくなりました。

私は豊さとは、日々の仕事や生活にプライド(自信)を持って過ごすことができる状態ではないかと考えます。

十分な収入、健康、楽しいと感じれる仕事、常に前方を走ってくれる目標。
そういった中々、言語化しにくく、実態の無いものこそ本質なのかと考えます。

豊さを定義することはとても難しいです。
上記の内容は、あくまでも私の考えです。
人それぞれ思うところがあって当然だと思います。

ですが、今回、一つ挑戦し、結果が出て、それを楽しいと感じてくれる人がいることに私は心の底から喜びを感じました。

日々、協力してくださったワークスたからの職員さん、適切なアドバイスを下さった花まつの松村さんに深い感謝を申し上げます。

それでは皆様、ご機嫌よう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?