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先祖伝来の土地から離れる時がやって来る#042

おはようございます。
佐伯です。
ついに12月になりましたね。
今年も残り僅かとなりました。
気温もグッと寒くなり、降雪地域にお住まいの皆様は恐らく冬支度を済ませたことかた思います。

さて今回はまちづくりの観点から里山集落や山間部の集落などの住民が、今後、転居せざるを得ない時期が目の前まで来ていることについて解説したいと思います。

併せて私のバックナンバーでハード面から考えるまちづくりに関するコラムを読んで頂けると更に理解が深まるかと思います。


①公共インフラの対応年数が限界に来ている

特に問題なのは上下水道です。
日本の上下水道は戦後に一気に普及しました。
戦後の水道普及率については、数値の正確なデータを提供することは難しいですが、戦後復興期に入った1945年以降、水道の整備と普及は急速に進展しました。

1945年の終戦後、日本は戦争の被害を受け、社会基盤も崩壊していました。しかし、復興の一環として、水道の整備が急務とされ、国や地方自治体、占領軍などが連携して水道施設の再建や新設が進められました。

1950年代に入ると、都市部を中心に水道普及率が上昇し、1955年時点で全国平均で約60%の普及率に達していました。その後も経済の成長とともに、水道整備は進み、1960年代には全国平均で70%を超え、1970年代には80%以上に向上しました。

1980年代以降、水道普及率はより高い水準に保たれ、都市部ではほぼ100%に近い普及率が達成されました。地方や山間部など一部の地域で普及が進まない課題もありましたが、国や自治体の政策により、これらの地域でも整備が進み、水道が広く利用されるようになりました。

そのため最も古い水道管は70年以上経過しており、大半の水道管は50年以上埋設から経過しております。
また、戦後の宅地の無計画な拡大により水道管も併せて網の目のように細かく張り巡らされました。

②今後起こる問題とは

行政としては難しい判断をする時期が到来しました。
それはどの地域の水道管を優先的に更新すべきか順番をつける必要が出るからです。
順当にいけば街の中心部から放射線状に広がって更新するかと思います。
しかし、問題は山間部です。

元々、山間部では住民の数が減っております。
若者は職を求め中心部または大都市圏に転居し、残されているのは高齢者のみとなっている地域が多いです。
以前から積雪地域における山間部の除雪は問題になっていました。
なぜなら労力とコストの割に除雪による恩恵を受ける住民があまりにも少ないからです。

積雪問題に加えて水道管も同様です。
戦後埋設された水道管は半世紀も経過すると老朽化が激しく、いつ破損してもおかしくありません。
実際に私が前職の市役所勤務の際経験したことですが、一部山間部の地域で水道管の破損がありました。
修繕箇所は数十メートルでしたが、足場の悪い山間部であり、かつ職人さん不足もあり見積もりで軽く数億円を超えてました。
私が直接の担当では無かったので、その後どのような決断をしたかは分かりませんが公共の福祉の観点からも気軽に修繕すべき案件では無いです。

このような事例はこれから日本各地の山間部で起きるでしょう。
はっきり申しまして、たった数世帯のために数億円かけてまで修繕する必要があるとは思えません。
また、高齢化した住民は緊急車両(主に救急車)を利用することが多いに考えられます。
こう言った公共インフラの破損に伴い転居を提案するのもこれからの行政の大事な仕事になります。

もし、それでも山間部に残るという決断をされる住民がおりましたら、もはや個人の責任においてインフラを確保して頂くしかありません。
実際に、アメリカなど広大な土地を保有し住民が点在する国では道路、上下水道など公共インフラは無制限に開発されておらず手付かずの場所も多いです。
逆説的にそうすることで広い土地から住民を一か所に集積させることで、行政の効率化や産業の集積化が可能になります。
日本でもNOという行政運営が必要になる時期が来たと考えられます。

③当たり前に使っている設備のありがたさを知ろう

まちづくりにおいて特に日本では行政から与えられるものだという考えが一般的ですがそうではありません。
戦前の日本では各地域が公助に頼らず、鉄道や電気、水道を自助で賄っていました。
規模の大きい話なので、明日から全て自助でとは言えませんが街の街灯や公園など私たち住民でも維持管理ができるところが多いにあると思います。
これからの時代は自助と公助のバランスをとって、結果として税として徴収される額が減り可処分所得を増やすべきかと考えます。

それでは皆様、ご機嫌よう。

先月オープンしました。是非遊びに来て下さい!


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