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食べるために生きるのも人生だと思う

「好きな食べ物、わかんないです」
電話越しの困った声を忘れることができない。
夫と2回目のデートの約束をした時のこと。われわれは仕事仲間であったので、複数人の飲み会にお互い参加してお喋りすることはそこそこ回数あったんだけど、2人で出かけたり食事したりって機会は出会ってから数年の間なかったんですね。で、飲み友達から(おや?これってなんかデートでは?)になるタイミングのお出かけの移行中っていうか、これデートかな?デートですよね?デートってことで!みたいな結構浮かれた感じの約束して、こないだわたしの好きな物食べに行ったんで今度そっちのおすすめの店おしえてくださいよ~何食べたいですか~?って聞いたらこれ。
当時も夫まあまあいい歳でしたし、お酒は好きなようす(飲み会の挙動とか見るに)だし、前回の食事は楽しかったようだしたぶん食に興味がないタイプでもない。いや、わたしはもうすでにかなり夫のことが好きだったのでここにきて食に頓着しないタイプの人だと判明するのはちょっと勘弁してくれ…という感じだった。わたしが食べるの好きだし、困るよ…一緒においしいもの食べようよ……
思い返してみると、なんか飲み会でも飲むばっかで食べものに手を出してるところをあんまり見ないような気もする…。けど30代も後半にさしかかろうかという男性がおすすめの店の一つもないってことあるかね?あった。今だよ。
そんでなんか結局「イタリアンが好きな気がする…俺はたぶんイタリアンが好き……」って偏差値2の美食家みたいなこと言って銀座でイタリアン食べました。美味しかったんですけど「好きなたべものわからん」て言われた手前ほんとに今おいしいと思ってる?大丈夫?みたいな心配をしてしもうたし、そもそもわたしは別に美味いもん食いに連れてけよ!みたいな魂胆で「そっちのおすすめの店行こうよ」って言ったわけじゃないんですよ。「ふだん何食べて生きてんの?」って聞きたかっただけでさ…。

別になんもおもしろくないのでさらっと書いてしまうと、夫は「なにかに夢中になってダサくなりたくない」人だった。自分の体をかえりみて健康に過ごしたりしたくない。ダサいじゃん。いつだって冷静でクールな俺、みんな騒がしいなァやれやれだぜ…。いやここまでひどくはなかったけども。ていうかそう言いつつおいしいもの食べたらおいしいって言っちゃうし、しっかりしなさいよね…って感じでしたしね。

そんななのでわりとデートの時の食事はわたしが舵取りすることが多くなっていったんですけどなにぶんわたしもまだ若かったもんですからおいしいものなんてそんなには知らないわけですよ。でもまあ若い子なりにがんばって「パフェ食べた覚えない」とか言うから千疋屋とジョナサンハシゴしたりね。
(安いパフェと高いパフェは別の食べ物だからね)
そん時も「甘いものそんなに得意じゃなくて…」とか言ってたくせにジョナサンの季節のパフェ食べながら
「もうなくなっちゃう…かなしい…」
「この先細りのグラスすごいずるくない?後半早すぎだしどんどんなくなる…」
て言ってた。あとわたしと2人で出かけて1週間も経たないうちに1人で資生堂パーラー行ってた。(写真送られてきた。連れてけよそこは)

ちなみにおいしいお酒を嗜むのはカッコイイと思ってたみたいで日本酒のおいしいお店はよく連れていってもらった。
そこのおつまみもおいしいのにそれまで酒ばっか飲んでたみたいで、ほんとに損するからやめなよって言いましたよね。

学生の頃かっこつけとかじゃなくてシンプルにお金が無くて日本酒だけ飲んで暮らせないかとかやってたみたいです。嘘かホントか知らんけど。まあお米からできてますしカロリーもあるしでいけそうなもんですけど肌の色がどんどん悪くなっていったからやめたそうです。やりなさんなそんなこと…

そんななのでわたしは夫がおいしそうにものを食べてるとかなり嬉しいんですね。
シュウマイの数自分だけ多く食べちゃって誤魔化したりとかされると「ハハ愛いやつ」と思ってしまう。

めちゃくちゃ食べないとか、偏った食事とかはもちろんよくないけど1日3食バランスよく食べてりゃそれでいいんだろっていうのでもやっぱりないなと思うんですよ。
ただ食って生きているだけではだめなのだと思えるような食事や、人によっては読んだり書いたり、着るものや匂うものが、なくてはならないと思うんです。

というようなことを最近離乳食作りながら考えています。
「もうそろそろ離乳食始めるんだ~」と実家(新潟)に電話で報告したら翌週に米が50キロ届いて義母に「年貢!?」って言われました。年貢…

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