見出し画像

【講演記事】「アスリートサポートの現状と未来(Athlity第1回ウェビナー)」より栄養サポート③

2022年1月21日金曜日に第1回Athlityウェビナー「アスリートサポートの現状と未来」を開催しました。その時の内容を、今回は記事として再構成し、公開します。

第3回の今回は、障がい者競技のナショナルチームの栄養サポートを担当されている片岡さんに、尿比重の測定について話していただきました。

尿比重と脱水症状

続いては、起床時の尿比重測定による脱水状態の評価についてです。

選手の飲水量が日常的に少ないことについて合宿中にスタッフから相談があり、また練習中においても水分補給量が少なく、集中力の低下や疲労の増加につながっていることが課題として挙げられました。

尿比重の確認

そこで、脱水の指標として尿比重の測定を実施しました。数値で脱水の状態が把握できるため、他の競技団体でもよく用いられている方法です。

合宿期間中の起床時には、尿比重計を用いて測定を行いました。尿比重の測定機は比較的簡単に使用できるため、選手自身で測定が可能な場合は、選手が行いました。合宿期間中以外の尿比重が測定できない場合においても、日常的に尿の色を確認し、出来るだけ色の薄い色の尿を出す習慣を持ちましょうという教育を行いました。

カテーテルを入れている選手は、日頃から尿路感染症予防のために、意識して水分補給をしていることから尿比重が低い値となっていましたが、排泄介助が必要な選手は飲水量を自分で制限する傾向があり、その結果、尿比重が高値になっていました。

尿比重とパフォーマンス

尿比重が高いという事は、脱水になっていることが考えられます。脱水状態を予防できている方がパフォーマンスにも良い影響を与えるため、コンディションを管理をする上でとても重要な指標となります。

私の担当している競技では、1試合当たりの試合時間が1時間~1時間半程度と長く、常に戦略を練りながらゲームを進めていくスポーツになるため、水分補給によるメリットと、排泄や飲水のタイミング等に関する選手の考えをすり合わせながら、各選手が取り組める方法で尿比重が低くなるように水分補給の実践を図りました。

スタッフ間連携への影響

スタッフからも、数値として脱水の程度が分かることで、「水分補給のアプローチがしやすい。」、「排泄介助を遠慮せずに言って欲しいと声掛けが出来るようになった。」という声があり、数値として脱水の指標を示すことは、パフォーマンス向上につながったのではないかと考えています。

いかがでしたでしょうか?第4回となる次回は、食事摂取状況と栄養補給の計画についてのお話になります。


講演者紹介
片岡 沙織(かたおか さおり)
神奈川県立保健福祉大学 栄養学科 講師、公認スポーツ栄養士


Athlity公式ホームページ
主管:株式会社スポーツセンシング
事務局:株式会社プラミン




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?