【講演記事】「アスリートサポートの現状と未来(Athlity第1回ウェビナー)」より栄養サポート④
2022年1月21日金曜日に第1回Athlityウェビナー「アスリートサポートの現状と未来」を開催しました。その時の内容を、今回は記事として再構成し、公開します。
第4回の今回は、障がい者競技のナショナルチームの栄養サポートを担当されている片岡さんに、栄養サポートの中での実際の食事摂取状況の確認や栄養補給計画について話していただきました。
食事摂取状況の確認
食事摂取状況の確認について説明します。
障害が重度のクラスには食事介助が必要な選手もおりますが、多くの選手は自力で食事を摂取することが可能です。嚥下機能に障害がある場合は、提供されたものをきざみ食などにして提供するなどの工夫を介助者が行っていました。
合宿期間中は毎食後に選手が選択した食事に関して、フィードバックを行っていました。日常の食事に課題がある選手については、期間を定めて日常の食事写真を送付してもらい、摂取量の評価ならびにフィードバックを行いました。
現時点では、私の担当競技における選手のエネルギー必要量や栄養素の必要量というのは明確になっておりませんので、今後も各選手の栄養素等の摂取量と体重変動を参考に、エネルギーや各栄養素の過不足を確認していく必要があると考えています。
栄養補給計画の立案
私の担当する競技では、細かくエンドが分かれており、各エンドの間には1分間の休憩がありました。この休憩の際には次のエンドの戦略立案や、水分補給を行うことが出来ます。
このような、実際の競技スケジュールに基づいた栄養補給計画を選手・スタッフと立案しました。
東京大会では試合が夜に終了し、翌日早朝から試合がある場合もありましたが、競技会場と選手村の移動により、食事を十分に分に取れない可能性も想定されたので、各クラスで、競技期間中の栄養補給計画を検討・立案しました。
試合前や試合間の補食については、選手自身が開封しやすいものや食べやすいものを事前に試しました。1個200㎉くらいあるエネルギーゼリーをこまめに摂る選手もいれば、1個が100kcal程度のスポーツようかんや、もう少し小さい40㎉程度の羊羹やゼリー類を好む選手もおり、所属先や合宿での練習時に様々な物を試して摂取していました。
また水分補給の方法についても試合中に飲みやすいようにボトルの飲み口にストローをつける選手や、片手で開けられる保冷ボトルを使用するなど、各選手がそれぞれ工夫を行いました。握力が弱い選手は柔らかい素材のペットボトルは持ちにくい為、ある程度硬さのあるペットボトルを用いるという事もありました。容器の形や素材においても選手によって持ちやすさが異なるので、配慮が必要だなという風に感じております。
合宿時における食環境整備
合宿時は宿泊先から事前にメニューを頂いて、食材やメニューの変更などをお願いし、バランスよく整えられるように調整を行っていました。
合宿先に食堂がない場合はお弁当を利用する事が多くありましたが、栄養サポートが入るまでは、揚げ物中心のお弁当になっていました。スタッフの方が選んでいましたが、ほとんどが茶色いお弁当でした。
そこで、まずは脂質の少ないお弁当を選んでもらうようにしました。また、不足する副菜については、スープに乾燥野菜を入れて提供するなどの工夫を行いました。
乳製品や果物、副菜といったところが不足しやすかったので、個包装になっているヨーグルトや果物、副菜のお惣菜などををプラスで購入してもらい、できるだけバランスよく整えられるように、合宿中の整備を行っていきました。
繰り返し実践を行ったことで、スタッフの方々も意識して食環境を整えてくださるようになり、全体が良い方向に進んだのではないかという風に考えております。
いかがでしたでしょうか?次回は競技大会本番でのサポートについてです。
講演者紹介
片岡 沙織(かたおか さおり)
神奈川県立保健福祉大学 栄養学科 講師、公認スポーツ栄養士
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