相手の言動・行動の背景を知ることの大切さ
たまーに日記とは別に、コラムのような形でも記事を投稿していこうと思います。
前職時代、少しだけ学習塾で教室長を務めていました。
毎月、おたよりを作るのですが、そのメインは教室長コラムでした。
毎日子どもたちと向き合う中で感じたこと、そこから学んだこと、子どもたちの輝く瞬間を言葉に残していました。
言葉に残すってとても大切。
忘れたくない感情がある。
ここルワンダでは、学校での出来事やルワンダで暮らす中での出来事を言葉に残す習慣を気まぐれで始めてみようと思います。
私は陸上競技のコーチとしてルワンダに派遣されています。活動先は、中高一貫、全寮制の学校です。
朝と放課後は、陸上クラブの指導を行い、
日中は、体育の指導のアシスタントをしています。
前提となる話はここまでにして、本題へ。
15:20から始まる予定の体育の授業。
10分過ぎても生徒は現れない。
先生も現れない。
それもそう。
日本のように授業と授業の間に休み時間(移動時間)が設けられていないため、体育の授業のように、着替えと移動が必要となると、必然的に授業時間に間に合わせることはむずかしい。
案の定、20分後に一部の生徒が現れた。
男子生徒はほぼ全員集合。
その5分後に、先生が現れた。
私は15:20にはグラウンドに到着し、
先生と生徒たちを待っていた。
その後、チラホラと女子生徒が現れる。
「遅刻だ。参加するな。成績は0だ。」
と先生が一言。
生徒はその場で立ち尽くしている。
その後、先生はグラウンドを離れ、
成績リストを取りに教室へ戻った。
ここで、私の悪いところが出てしまった。
遅刻っていうけどさ、
先生、あなたも遅れたじゃん。
いつも出欠取らないくせに、今日の遅刻のみで、成績が0なんて、あまりにも理不尽だ。
そんなふうに思った私は、先生が成績リストを取りに行っている間に、生徒たちから遅れた理由を聞き、次の授業は遅れないようにと伝え、準備体操に参加してもらった。
先生が戻ってきた。
案の定、遅刻してきた生徒は準備体操を中断させられた。そして、時間に来た生徒たちを並べさせ、名前を聞き、成績リストに出席点を記入し始めた。
いやいやいやいや、
1回の授業の出席のみで、成績つけちゃうの?
ここでプチンとキレてしまった。
「いや、違うでしょ。確かに生徒たちも遅れだけど、あなたも遅れたでしょ。私は15:20に来たけど、その時いなかったよね?それなのに、授業には参加できない、成績は0は理不尽すぎる。あなたが怒る資格はないよ。」
「いや、ダメだ。僕はオンタイムにいた。生徒の成績は0だ。」
「いやいや、オンタイムにいなかったじゃん。せめて、今回の授業のみで成績つけるのは考え直した方が良い。」
「僕は毎回、彼らが着替えるために20分与えている。僕が来る前に生徒たちは来る必要がある。」
・・・知らなかった。
でも、意地になってしまった私。
「そうだとしても、先生は授業の時間にはグラウンドに来て、授業準備をするべきだと思う。そして、生徒を待つべきだと思う。」
「は?生徒を待つ?なんで僕が生徒を待たないといけないんだ?彼らは僕を待たせてはいけない。僕より先に来るべきだ。」
ルワンダは、先生が上、生徒が下という上下関係が徹底されている。それもあるのか、不良のような生徒はほとんど見かけない。みんな先生に従う。
同じ人間として対等に生きることのできる環境で育った私は、生徒が理不尽な目に合っているこの状況がどうしても許せなかった。
確かに生徒は遅れたけど、今回の遅刻で成績が0になるのはいかがなものか。
これまでの体育の授業のアシスタントをしてきたけど、全く意識していなかった。
オンタイムで来るなんて滅多にないし、先生も遅れてくるし、集まったら始めているんだろうなあ。と、そんなふうにしか考えていなかった。
各クラスに時計があるわけではないし、腕時計をつけている生徒はいるけど、大抵の場合、止まっている(笑)
結局、生徒と共に遅れた理由と改善点について主張し、次回の授業で遅刻しないことを約束した結果、成績0は免れた。
生徒のためだと思って主張し続けた。
授業を参加することは生徒の権利である。
その後、次のクラスが始まった。
生徒たちは、確かに授業時間開始の20分以内に続々と現れている。
私が知らなかっただけで、先生は生徒の着替え時間を確保するために、授業参加のルールを考えていた。
そんなことを知らずに、勝手に生徒を参加させ、生徒の成績を0にするのはおかしい、あなただって遅刻したじゃん、あなたに怒る資格はないと主張した自分。
「あ、やらないって決めてたことをやってしまった。」と咄嗟に思った。
私は、彼の背景や考えも聞かずに、
自分の考えを主張した。
生徒が授業に参加できたことは結果として良かったものの、私はやってはいけないことをしてしまった。
彼と働き始めて2ヶ月。
まだまだ知らないことばかりなのに、自分の考えを押し付けてしまった。
話をしてみると、やはり自分が知らないだけで、彼自身が工夫して考えたルールがあった。
謝った。
「ごめん。そのルールのことを知らなかったのに、自分の意見を主張して、あなたを否定してごめん。私が間違っていた。」
彼は
「大丈夫。いつもサポートしてくれてありがとう。」と優しい笑顔で一言。
私は他想性が欠けていた。
生徒の意見を聞き、生徒を守ることはできたけど、
結果的に良かったのか、悪かったのか。
とっさに自分の考えを口走ってしまう自分。
まだまだ子どもだなあと思った。
あなたに生徒を怒る資格はない!
と言った私に、そんなこという資格はあったのだろうか。
文化や価値観が違うからとかではなく、
いつだって、誰とだって
相手の言動、行動の背景を知ることを大切にこれからは過ごしたいと思う。
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