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この日のビールの味を、私は一生忘れないだろう。|9月2日〜9月6日

はじめに

ビテ!(What's up?)

任国外旅行に行くため、日記をお休みしようと思っていましたが、濃すぎる日々を過ごしたので、記録として残すことにしました。

それでは、スタート!


9月2日|記録測定会

毎月1回、練習の成果を発揮する機会をつくるべく
記録測定会を行なっている。

7月、8月と継続的に練習が行えなかった選手もいたため
記録を更新した選手は少なかった。

選手の1人の発言に、思わず驚いてしまった。

タイムを伝えると「Ha? Why? 」と聞かれた。

先月よりも記録が落ちていて、疑問を感じたのだろう。

「毎月記録が向上するとは限らないよ。今回の走りを振り返って、来月の練習にいかそう!」と伝えた。

すると「タイムが遅かったのは、彼のせいだ。僕は悪くない。」
とペースメーカーをしてくれた他の選手のせいにするような発言をした。

彼の発言に思わず、驚いた。

自分の実力不足を誰かのせいにしようとする彼の発言はどうしても許せず、
そのあと、1対1で話し合いをした。

信じて疑わない、確固たる自信を持っていることは素晴らしい。
その一方で、自分自身の結果を誰かのせいにしてはいけない。

自分の失敗などを誰かのせいにして
自分の行いを振り返ろうとしない
成長しようとしない大人にはなってほしくない。

彼に100%伝わったかは分からないが
彼自身が変わるきっかけになっていたら嬉しい。

9月3日|祝杯のビール

地域の才能ある選手を発掘・育成するためのプロジェクトを少しずつ
コーチと一緒に進めてきた。

その中でも4名の選手をスポーツ推薦という形で活動先の学校に受け入れてもらえないか、
今日は校長に対して、その交渉をしてきた。

結果から伝えると、受け入れてもらえることがきまった。

体育教員の同僚も交渉に参加してくれて、受け入れの後押しをしてくれた。

活動開始当初の私は、こんなこと想像すらできなかった。
1年半前の私に伝えたい。

理不尽も多いし、イライラするし、なんで私がこんなことをしないといけないの!?というような雑用をやっていると思う。でも、そのすべてに意味があることに、あなたはあとで気づけるから。ひとつひとつ丁寧に進めることが、結果として、信用になるから。今は耐えて!踏ん張って!

祝杯と称して、コーチと一緒に飲んだビールは、ルワンダで飲んだビールの中で最も美味しかった。

9月4日|「どうして僕は選ばれなかったの?」

4名の選手の他に、タレント発掘で選抜した選手は15名ほどいた。

すなわち11名の選手は、育成を続けるものの、スポーツ推薦の枠には入れなかったため、
家から学校、練習場所に通い続けてもらうことになる。

誰よりも陸上競技が大好きな男子選手がいる。

練習後の帰り道、彼に「どうして僕は選ばれなかったの?」と聞かれた。

最も辛いのは選手。
それはわかっているけど、私もコーチも苦渋の決断だった。
スポーツ、タレント発掘・育成は良い面だけとは限らない。

何事もポジティブな側面、ネガティブな側面があるが本当に厳しく、残酷。

「陸上が本当に大好きだよね。朝とか帰り道にジョギングしたり自主練習もしていたことを知っているよ。でもね、実力が及ばなかった。だから、選ばれなかった。」

ストレートに伝えた。

涙を拭きながら、歩き続ける彼。

「またチャンスはある?」

「あるかもしれない。次のタームの前に、もしかしたら。」

「次、選ばれたいから、頑張る。」

私ができることは、彼を鼓舞し、彼が持っている能力を伸ばすこと。・

辛い瞬間はたくさんあったけど、今日は特に辛い時間だった。

9月5日|束の間の喜び、課題は山積み・・・

4名の選手の受け入れが決まったが、課題は山積みだ。

まず、お金の問題。

選手の多くは貧困家庭出身。
スポーツ推薦といえども、少しだけ家庭の負担が必要になる。
その額は、8000RWF(日本円で800円ほど)

昨年度、クラブの創設者がクラブから完全に抜け、
郡庁からの予算獲得が本格的に難しい状況が続いている。

連盟としては予算を持っているものの、強化指定クラブには一切その予算は降りない。
何度交渉しても、答えは同じ。「No」だった。
莫大な金額はどこに消えているのか。

クラブとしての予算がない中で、お金の問題は大きくのしかかる。
クラブをサポートしてくれる人を探すことが必要だ。

クラブの存続危機にも関わる大きな問題。
この先どうなるのか、本当に不安だ。

そして、特大級の大きな問題。
それは、学校の転校問題。

近隣といえども、彼らはグラウンドがある活動先から片道1時間ほどかかる場所にある学校出身だ。毎日放課後の練習に参加できるよう活動先から5m分ほど離れた学校に転校してもらうことになる。

無事にナショナルエグザムを突破した彼らだが、NESAから指定された学校は彼らの家の近くである。

日本と同じように、私立ではない場合、自宅から近い(生徒によっては遠いが)区域の学校が指定される。

ただ、家庭や生徒によって、様々な事情により、NESAが指定した学校を変更する方法がある。

NESAには、情報を入力し
「通う学校の変更が必要です!」とアピールできるシステムがあるのだ。

アピールしたとしても、学校の受け入れ体制が整っていない場合、変更が認められないこともある。

転校予定の学校は、カウンターパートが教員として働いている学校であり、彼はよく事情を知っている。

学校が始まるのは、9月9日。

無事に転校できるかどうか、直前まで分からない。

受け入れてもらえたことは良いものの、課題は山積み。
カウンターパートと共に少しずつ解決に向かって動くことしかできない。

このタイミングで私は任国外旅行。。。
大統領選挙の影響で、本来であれば9月末に始まる予定だった学校は前倒しになり、来週からスタートする。

なんともハード(笑)

問題は残っているけれど、出来る限りのことはした。
コントロールできない問題をいつまでも考え続けて
楽しむべき時に楽しまないなんて、時間がもったいない。

少し傍に置いて、全力で旅行を楽しもう!


おわり

任国外旅行前の数日間は、濃すぎるにも程があるほど濃い1週間だった。

不安や問題は尽きないけど、傍に置いておいて
旅行を全力で楽しんできます!

派遣前訓練ぶりに会う同期との再会を楽しみに、
心も体もリフレッシュしてきます。

それでは!

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