次世代アスリート育成トレーニングキャンプでの指導|8月5日〜8月11日
はじめに
今週から2週間ほどスポーツ省とフランス開発庁が共同で実施している
次世代アスリート発掘・育成事業「イソンガプログラム」のトレーニングジャンプに参加しています。
任地から少し離れたニャンザ(そういえば、先週行った笑)という場所で行われています。
なかなかハードな1週間でしたが、楽しく過ごすことができました!
それでは、スタート!
8月5日|オンタイムでやってきた選手たち
集合時間は朝7時。
どうせ来ないだろうと思っていたのだが、
全員がオンタイムで来てくれた。
驚いた!笑
アフリカンタイムというものは実際存在するし、
どのルワンダ人に聞いても「これはカルチャーだからね。」と言う。
結局、他のクラブの選手たちやコーチは
8時になっても訪れず、9時半頃に来る始末(笑)
そして、バスは8時に出発すると聞いていたのだが、
出発したのは9:45だった。
昼過ぎにトレーニングキャンプが行われる学校に到着した。
イソンガプロジェクトはスポーツ省とフランス開発庁が共同で実施していることもあり、非常に大きな次世代アスリートの発掘・育成プロジェクトだ。
陸上競技、バスケットボール、サッカー、自転車、ハンドボール、バレーボールの6競技が対象とされている。
陸上競技においては、私の活動先の学校と、ルリンドという別の地域にある学校の2校が対象だ。
他の種目、例えばバスケットボールの場合は6校?が対象になっていたり、人数に偏りがあるのが少し気になる部分。
関係者に話を聞くと、400mのグラウンドがあって、陸上競技の練習を日常的に行える環境が整っている学校が少ないことがこうした偏りを引き起こしている要因のひとつかもしれないとのこと。
陸上競技連盟の10ヵ年計画では、強化指定校は9校のはずだが、実際に機能しているのは、2校のみという現実があることにも触れておく。
すべては、予算の問題だと話すが、もう少し具体的に考えると、コーチの人数不足、首都に偏ったインフラ整備、タレント発掘・育成の重要性を理解していても、実際は機能していないどころか計画がないことも原因である。
少し話が逸れてしまったが、こうしたトレーニングキャンプの機会は
子どもたちにとっても、コーチにとっても本当に貴重だ。
到着すると、いつメンの陸上競技関係者やスポーツ省の方々がいて
挨拶を交わした。この機会もあと何度あるのか分からない。
でも、お客さんではなく、他のコーチと同様に接してもらえることが嬉しかった。
別の地域で暮らしている生徒たちは、先に到着していた。
久しぶりに生徒たちに会うことができたこともまた嬉しかった。
キャンプに参加する選手たちには写真のようなボトルが配られた。
昨年もこのキャンプに参加したのだが、ペットボトルの水だけでは足りていない選手がほとんどだった。また、選手の中には水を我慢する選手もいた。
そして、このペットボトルのゴミが気になっていた。
基本、飲み終わったペットボトルはその辺にポイ捨てする人が多くて、
競技場がペットボトルまみれになっていた。
今回、このボトルを使用することでゴミ問題は解決されるし、
水も十分に飲むことができる。
素晴らしい改善。
さらに、陸上競技のコーチ7名でショートミーティングが行われた。
昨年度は、全ての選手が走、跳、投の全ての種目を挑戦する形でトレーニングが進んでいた。これは去年のキャンプで疑問に思っていたことだった。
しかし、今年度のキャンプでは、種目に応じて練習に取り組む方針が固まった。
カウンターパートも「このキャンプは適正種目の見極めが目的ではなく、それぞれの選手の能力やモチベーションを高めること」と言ってくれたことが嬉しかった。
全ての選手が揃い、いよいよ明日から練習開始!
楽しみだ!!
8月6日|課題はコオーディネーション能力
練習1日目。
明日は各選手の能力を知るためのテストが行われる。
そして初日である今日のトレーニング強度は低め。
ランニングドリルだけでなく
ミニハードルやコーン、ラダーなどを使用したトレーニングを行なった。
スキップなどほとんどの動きづくりにおいて、腕と足が左右同じほうをあげていたり、リズムやバランス感覚、そのどれもに伸び代がある。
体力もあり、ダイナミックな体の動かし方もする。
荒削りな走りを、この時期から完璧にする必要はないと思うが、
それでも、コオーディネーション(自分の体を自由に動かす能力)を高めることの大切さは伝えていきたい。
他のコーチが「こうしたコオーディネーションとか動きづくりは習慣的におこなっていかないといけないと思った。」
「モノがないなら、作ればいいっていうことは思いつかなかった。」
と感想を伝えてくれた。
こうした言葉は、全てお世辞だと思ってしまう。
1年半も生活していると、彼らの本音が分かってしまう。
「改善したい」というけど、変化への抵抗が優っている。
自分たちが変わるのではなく、まずは自分が置かれた環境が変わらないといけないと思っている人も一定数いる。
素直に彼らの言葉を受け取れない自分に少しため息が出てしまう。。。
指導後はコーチたちと飲み会!
いろいろ考えてしまうことも多いけど
こういう彼らと何も考えずに楽しむ時間も大切にしたい。
8月7日|1年半活動して気づいたこと。
今日は一人ひとりの選手の現時点での能力を測定するためにテストが行われた。
100m,200m,400mの選手は200m
800m,1500mの選手は800m
3000m,5000mの選手は3000m
私は計測した記録を記入し、順位ごとにまとめてレポートを提出する役割だった。
ただ、競技場はかなり凸凹しており、お世辞にも走りやすいとは言えない。なおかつ400mあるかどうかすら怪しい…笑
午後はフィードバックの時間。
素晴らしい!
練習後に、陸上競技のコーチ7名で飲みに行くことに。
私の大好きなアカベンジを予約しておいてくれてたみたいだ。
「今日は全員がはじめて揃って飲む日だよ。お互いの意見や情報を共有する会にしよう。りさは経験もあるから、ぜひ意見を聞かせてほしい。」と言われた。
お世辞でも、こうした機会を設けてくれたことはとても嬉しかった。少しは信頼?自分の指導から何かを学びたいと思っていただけていることは嬉しかった。
でも、正直に伝えた。
「私はルワンダの陸上競技を少しでも盛り上げたくてルワンダに来た。でも、私が何かを変えられるとは思っていないし、皆さんから学ぶことの方が多い。皆さんには皆さんの経験もあるし、指導歴も長い。基本的に私は皆さんのやり方を尊重する。でも、こうして機会を作ってくれたことは正直にとても嬉しい。ありがとう。」
普段感じている指導への違和感や、トレーニング内容について、問い詰めて良いのか、そのときには判断できなかった。彼らは彼らのやり方がある。
否定ではないけど、彼らに疑問を投げかけて、それに対して意見して、そのあと悪く言われたり、言い訳を聞くのが怖かったっていうのが正直。
結局私も話し合うことから逃げているのかもとも思った。現実を見るだけ見て、意見を言うのも怖くて、私は何をしているんだろう。
こんな機会を作ってくれたのに、、、。
私も否定されるのが怖い。
それはルワンダ人のコーチも同じで、外部の人間からこれまでのやり方や彼らの哲学を否定されるのは屈辱だと思う。
私も彼らも同じく陸上競技というものにプライドを持って向き合っているのだから。
では、私ができることはなにか。
1年半経っても、まだ答えは出ない。
2年全うして、答えが出るかもわからない。
そして気づいた。
選手とは真っ向から向き合ってきたけど、コーチたちと向き合うことに逃げてきたってことに。
残りの半年、付き合えるかどうか正直分からない。でも,まずは自分からもっと寄り添ってみたいと思う。
今までは寄り添ってきたつもりだけだった。
ある程度本音で話せるようになった今、もう一歩彼らに近づいて、意見を伝えたり、どう感じているのかを聞いてみようと思った。
向き合うことは怖いけど、向き合わなければ絶対に後悔する。
もう少し、向き合ってみる。
8月8日|他者にやられて嫌なことはやらない
今日はパート別に分かれての練習。
短距離は私とカウンターパートで担当することに。
今日はスターティングブロックの使い方を伝えるために、導入としてリアクションダッシュを行い、反応速度の重要性を体感してもらうことにした。その後、実際にスターティングブロックの使い方を伝授!
昨年は私がメインで使い方を説明する形であったが、今年はカウンターパートの現地コーチにメインで担当してもらった。私は選手の動きを確認するなど、アシスタントに徹した。
すると途中からスターティングブロックの練習をしている様子に興味を持った別パートのコーチが、いきなり「こうやってポジションとるんだ!」と口出し(笑)
そのアドバイスも間違っていないのだが、カウンターパートは明らかに嫌気をさした表情浮かべていた。
そうそう、それめっちゃわかる。
指導をしているときに、それまでの流れを知らない人がいきなり口出ししてくるのはかなり参る。
彼は「ステップバイステップで教えてたのに。これまでの指導の流れも知らないのにいきなり選手にそのテクニックを求めるのはなぜだ?次の段階で教えるべきことを口出ししてこないでほしい」
メインで指導はしないのに、横からの口出しが得意なコーチも多い。いや、コーチに限らず、村民たちも走りを見て、彼らなりのアドバイスを選手に伝えている様子をたまに見る。
それはそれで、素晴らしいことだけど、メインで指導しているコーチからしたら最高に屈辱だよなと思った。
素直にそのことを伝えてくれたのは嬉しかったけど、それと同時に、私もたまにしてしまっているかも!!!気をつけようと思った。
人にされて嫌なことは自分もしない。
当たり前なことだけど、改めてそのことに気づかせてくれたコーチに感謝。
明日はキャンプを抜けて、別の国で活動している同期隊員をルワンダにお迎えしに行く!
楽しみだ!
8月9日|同期隊員がルワンダへ!
朝からトレーニングキャンプを抜け、首都キガリへ。
空港に到着すると、いろいろな国籍の方々が空港のお迎え口で待機している。
待ち人を見つけた瞬間に熱い抱擁を交わし、
花束を渡している女性と男性の姿。
ファミリー全員で、ひとりを迎え入れ
しみじみと握手をしながら、挨拶しあう姿。
そのどれもが素敵で、大切な人たちに会いたくなった。
同期隊員の方も無事に到着し、いよいよ対面!
訓練所ぶりなので、1年以上ぶりである。
キガリを案内すべく、ジェノサイドメモリアルやキテンゲ(アフリカ布)を買うことのできる場所へ。
夜は、美味しいブロシェットが食べられるお店に行き、お互いの活動のことや派遣国の様子などたくさん話をした。
いやあ、本当に楽しい時間だった!!
8月10日|ルワンダの魅力を再発見!
昨日に引き続き、同期隊員の方をご案内!
歩いていると「こんな花が咲いている!」と
今まで気にしたこともないことに気づいて伝えてくれて
「あ、キガリってこんなにも植物が豊かだったんだ」ということに気づかされた。
そして、キテンゲがたくさん売っているマーケットでたまたま出会った日本人の方は「他の近隣国も回ってきたけど、ルワンダはダントツに平和で安全だと思った」と。
いやあ、ここでの生活が当たり前になりすぎて、若干平和ボケしてしまっているけど、やはりルワンダがいかに外国人にとって過ごしやすい場所なのかを改めて実感した。
もちろん油断は禁物だが、基本ルワンダ人は助けてくれる。
困っている人を見つけたら、できるかどうか分からなくても、どうにかして助けてあげようと、周りを巻き込んだりしながら、なんとかしてくれる。
女性がひとりたびしやすい国にランクインしていたが、
1年半暮らしている私からしても、言い切れる。
ルワンダは本当にひとりたびに適している最高の国だってことを。
8月11日|ひとつひとつ着実に!
月曜日ぶりに任地へ。
この期間、メッセージアプリでは、
セキュリティから「Hello?Amakuru?」
ビールを売ってくれるマダムからは「Where are you?Umeze neza?」
学校のセキュリティからも「I miss you!」
・・・・
数えきれないくらいのメッセージが来ていた(笑)
数日見ないだけで、連絡をくれるルワンダ人かわいい。
お互いを気にし合い、近況を確認しあう。
これも文化なのだと思う。
今週はなかなかハードで、事務作業などを一切行えていなかった。
やらなければならないことがたまりにたまりすぎていて
気が遠くなり大きくため息が出た(笑)
来週というか、明日から再びトレーニングキャンプに参加する。
そして週末からは隣国へ出張だ。
(実は、学会での活動報告も控えている。)
一つ一つ丁寧に準備をして、着実に進めていこう!
おわり
今週からトレーニングキャンプが開始したこともあり、忙しい毎日でしたが、非常に充実した毎日でした!
そうそう、ルワンダは絶賛乾季中なのですが、キャンプ出発前、リップクリームや保湿クリームを任地に忘れてしまった私の唇は乾燥でヒビが割れ、手の先の皮も全て剥がれてしまいました(笑)
明日からも忙しい日々が続きますが、忘れ物に気をつけて
体調第一で頑張ります!
それでは!
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