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謎の面白さ【謎は謎のままだから面白いのか/芯探求_3】

創作をする上で、謎解き要素のあるものを入れるべきか悩むときがある。

謎解き入れたところで一度解いて面白くなくなるんだとしたら、もう一度解くの面倒だから2周目しなくね?
何回遊んでも面白いものにしたいのなら、謎解き要素入れるべきじゃなくね?

とかそんなことをもう一人の僕が囁いてくる。もっと腕にシルバー巻くとかさァ!!
もう一つ、
「創作側の負担が圧倒的に高く解読側の楽しみが一回で済んでしまう」
という非対称性が脳裏によぎることもあるが、私の信念では「私一人の負担と多数の消費者の一回の楽しみでは、多数の消費者の一回の楽しみが尊重されるべき」というのがあるので、普通に本論の命題には影響を与えない。だから簡単にクリアされたら悔しいじゃないですかとはならない。多分こういうことを言う人はプレイヤー数の規模を認知できてない。ダンバー数のせいかもしれないし、4までしか本能的には数えられないせいかもしれない。まぁ何かしら人間の認知限界のせいなのだろう。
まぁ私も多数にあたるのが2,3人だとするなら簡単にクリアされたら悔しいじゃないですかするかもしれないが……。なんか負担の非対称性についてはセキュリティの攻防に通じるものがあるな……。
とにかく、「謎解き要素が消費者が周回する上で邪魔にならないか」を今回は考えたい。


謎は謎のままだから面白いのか

 ミステリー小説などが今現在でも売れていることから、謎解き要素は刺さる人には刺さることは自明としてまず進めていく。
考察要素を散りばめるフロムゲーや「色彩」や「神秘」など独自用語が出てくるブルーアーカイブ、横乳との過去や元々同じところに所属していた「うるさかった人達」とは誰で所属していた先は一体どこなのかといったカヨコなど、世界観考察やキャラクター考察も謎要素と言えそうなため、「謎の面白さ」という謎に取り組んでこの記事を書いている私や、これを読みに来ている読者も、おそらく謎は良いぞおじさんであることと思う。まぁ私はミステリーは読まないが……。な、謎は良いぞ!
 
しかし、ある恐怖が思い浮かぶ。
俺はカヨコを全て知ってしまったと満足したら、カヨコを愛せなくなってしまうのか
いや失礼。正しくは、
謎は一度解いてしまったら面白くなくなってしまうのか
である。最初の

  • 謎解き入れたところで一度解いて面白くなくなるんだとしたら、もう一度解くの面倒だから2周目しなくね?

  • 何回遊んでも面白いものにしたいのなら、謎解き要素入れるべきじゃなくね?

の太字の仮定部分。これを解消できれば娯楽に謎を入れる余地が生まれる。なのでこれについて考えていく。

謎は一度解いても面白い……?

 さて、謎を一度解いたとしよう。ブルーアーカイブの任務の将棋みたいな奴とかの知育ゲーム。あれとかである。(実は攻略サイトガン見でコピーしてるなんて言えない……)
 でも、自力で解けたときは楽しかったぞ!!!!(大声)
というように一回目は楽しい。でも二回目は……?
一回目と同じ論理をなぞるだけ、全て覚えている物語……。それって面白い?
面白くない。しかし私たちは幸運である。
全ては覚えていないのだから。
人間には認知限界がある。ダンバー数、4までしか数えられないとか、簡単にクリアされたら悔しいじゃないですかとなったことからも分かるだろう。記憶はしていたとしても意識できていない。机の上ではなく本棚にしまってあるのだ。
(この文を読むまで最初の「簡単にクリアされたら悔しいじゃないですか」の展開を覚えていた人は何%くらいなのだろうか……)
とするとどうだろう。
一回目と同じ論理をなぞったりするわけだが、その過程は覚えきれていない。すなわち過程は謎のままである
よって、謎は一度解かれたら面白くなくなってしまうのかなどと心配しなくてもよい。
なぜならば、謎は一度解いても再び謎に戻ってしまうので、面白いままなのだから。良かった……私はまだカヨコを愛せるらしい。
ここで問題にすべきは、複数回繰り返すことで過程を覚え切れてしまってつまらなくなってしまうことになる訳だが、これは複数回やることを前提とするために、まず周回してくれることは保証できるのだ。
しかし、「何回でも」は支持してくれない。

何回でも面白い謎を作るには

 さて、何回でも面白い謎はどういうものであるか。それはオープンワールドゲームが既に示してくれている。
つまり、答えにたどり着くまでの道が無数にあればいいのだ
そうでなくとも「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの祠」のように答えに至るまでの道を一通りでなくするだけで、増やした道の数だけ謎を解く過程が増えるので、複数回でもより大きな複数回にすることができる。これはゲーム実況者などの二次創作者を取り入れることもできるのも大きい。消費者が二次創作者で観測した論理を通らないことができるのなら、二次創作者が界隈を盛り上げてくれる宣伝を担うことができる。
(まぁそもそも、解釈は無数に開かれているのだから、二次創作者によって違う論理を通るために複数回に耐えうるものになると言われればそうなのだが)
だが、「謎解き」は作問者の意図に沿わなければ次に進めないものなので、その正解へと至る論理が複数になることの意味は大きい。

その謎を解かせるには

 ここまで、謎は複数回に耐えるのか、何回にも耐えるにはどうすればいいのか検討してきたが、攻略サイトガン見でコピーするような魅力的でない謎ではその努力は水の泡である。残念。
なので、その努力を水の泡にしないために、私たちは攻略サイトガン見でコピーすることに逃げてしまわないようなもので解読者を囲う必要がある。
 その柵となる策は……魅力である!!
何を言っているんだコイツはと……。自明じゃないかと……。
その通り、自明である。魅力的な謎を作れと言っているのだ。

報酬で釣るな、魅力で釣れ。

 報酬で釣るゲームを見たことがあるだろう。(私の愛する青春の物語とかのガチャ石とか……)
なぜ魅力的な謎を作らないのか。魅力的な謎でなければ解くのは面倒であるだけで、難解であれば攻略サイトに逃げられる。「報酬」という柵?策?は穴だらけだ。そんなものに頼るな。
魅力的に映るのは客の好みに合うからだ。同じようなものを経験してきたから今回も楽しめると踏んで飛び込んできてくれるだけだ。
世界観考察をするのは世界観考察が楽しかった経験があるからだろうし、ミステリー小説を買うのはミステリー小説で楽しいと思えた人間だけだ。
つまり、客層を考えろというのだ。客層が魅力的だと思うであろうものに謎を与えよ
ゲームプレイヤーであれば、世界観やフロムゲーのような操作の難しさ、ストーリーなどがあるだろう。それを謎にするのだ。
(私はアニメなら声優を最後のクレジットまで伏せておくとか、アリだと思うんだが……駄目か?)
客層は売れたものを参考にすれば分かる。例えば操作の難しいゲームを作ったとしよう。そこで操作が難しいゲームで売れているものの人気な点を調査してみればいい。例えばフロムゲーとか。フロムゲーならば世界観に関する考察要素を散りばめてきており、それを楽しんだ消費者はそういう楽しみ方のできる消費者なのだ。層を考えれば感覚の育った消費者を総取りできることがこれで分かっただろうか。

魅力の先駆者が居ない

 み、魅力の先駆者がいない~~?!?!
ならば私たちが開拓者になるしかない。その創作物の最も楽しめるものをその創作物の謎にするしかない。このとき、結果は保証されない。刺さる人には刺さる創作物になる。ミステリー小説や難易度の高いフロムゲーとかだろうか。
 例えば、あなたが史上初めてのアクションゲームというジャンルの開拓者だったとしよう。その時、あなたは中途半端な難易度のアクションゲームにしてはいけない。多くの初心者を囲うことのできる凄く初歩的なアクションか、完全に習得のできたら他の敵に応用することで最高に気持ちよくなれるアクションにするしかない。そしてそれは排反するものではなく両方成り立つこともある
消費者は操作方法という謎を体で解いていくことになるが、最初は超簡単だが、基礎を過程で学習させていって最終的に難しいものに切り替え、それが完成するというものだ。モンスターハンターとかが分かり易いだろうか。ドスジャギィやイャンクック先生を倒して最終的に禁忌を侵すのだ。
 何?それで他のアクションじゃない謎はどうするのかだって??
……どうやら客層を間違えたらしい。そうだった、ここに来てる読者はアクションゲーム層に限らなかった。アクションゲームを通ってなければ、この例えが魅力的に映らずに面倒だとして、「例えという謎」の理解を拒否するのも当たり前である。たとえを変えよう。
 つまり、魅力的でないものに挑戦させるために、謎の入り口を簡単なものにして出口を楽しめるものにし、そしてそれを達成するには、凄く分かり易い言葉を用語としまずはそれに慣れさせ、それを組み合わせて難しい"専門用語"にして、複雑な謎を解かせるのだ。
 例えば、略語を例に出そう。「了解」というものがあって、それが「○○」「了解」という会話で使われたとしよう。その結果「○○」「××」というフォーマットに慣れていき、「○○」「りょ」……「○○」「り」という不可解なものが使われるようになるのだ。

 どうだろうか。刺さる人には刺さっただろうか。これらの説明は刺さらない人には刺さらないと思う。
しかし、謎を解く過程を楽しんではいただけただろうか。おそらく、このたとえという謎を理解する挑戦しているのなら、客層を狙って謎にすることでその謎を魅力的にして、謎に挑戦させることができることが実感できると思う。そしてこのたとえの謎を解いたのなら、この論理に既に慣れているだろうと思われるので、それを組み込んだ難しい"「世界観」や「ストーリー」といった謎"にして、複雑な創作をすることを楽しむことに繋がるだろう。


まとめ

  • 謎は一度解いても論理を忘れるので解き直しても面白いまま

  • 繰り返すと論理を完璧に覚えるかもしれないから違う論理も用意すべき

  • 客層を見定めて魅力で釣れ

  • 魅力のない謎に挑戦させるためには……?

私は記事を楽しんでもらうために書いてるので、最後はせっかくだし謎にしてみた。
この「魅力のない謎に挑戦させるためには……?」という謎を楽しんでもらえたら幸いである。
おそらくこれを見返してる私も、なんでメタメタにしたんだという謎に取り組んでいるかと思う。ちゃんと客層が合ってるね
そして、「魅力のない謎に挑戦させるためには……?」という謎は一度解いても論理を忘れるので解き直しても面白いままであるから、論理を忘れた読者と私は、苦しんで……いや楽しんでるに違いない
……。

……メタメタしてるせいでこの記事を書いている私も混乱してきたな……。この世界ってシミュレーションだっけ。


【次回】

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