あてらこてら

どこにでもいる普通のおばさんですが、少しずつ目が見えなくなるプログラムを持って生まれた…

あてらこてら

どこにでもいる普通のおばさんですが、少しずつ目が見えなくなるプログラムを持って生まれたためノーマル地球人とは少し違った独特の生態を持っています。 地球人であり異星人、 見える世界と見えない世界、 あちらとこちらを漂う私に見えた世界のことを綴ります。

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少しずつ目が見えなくなる人に世界はどう見えてきたのか

動物界脊椎動物門ホニュウ綱霊長目ヒト科 ヒト属ヒト 要するに人間であることは間違いないのですが 私の遺伝子には目が少しずつ見えなくなるというプログラムが載っかっていたため ノーマル地球人とは少し異なる独特の生態を持っています 例えば ゴミ箱、車止め、ハイハイ中の赤ちゃん、書店でかがみ込んで書棚を物色している人 自分の膝から下にあるものは何でも何度でも蹴り飛ばす ※さすがに赤ちゃんは未遂 とか 雨上がりに水たまりをよけた直後にほぼ必ず隣の水たまりにハマる とか

    • 忘れていた雑誌の醍醐味

      雑誌が好きだった 本も好きだけど、本よりももっと身近で今がわかるライブ感 小さなスペースに小さな文字でごちゃごちゃ書かれた限られた情報からときめきを見つけるあの感じ やっぱり雑誌の良さは雑誌にしかない だけどもう雑誌は読めない 去年、隣町の視覚障害者団体に入れてもらい、音訳ボランティアの会の方 とつながりができて 読んでみたい雑誌が出てきたので音訳を依頼してみることにした それはある会合で「音訳ボランティアの方とお話しする機会があったときに「いつでも依頼してください

      • 文通とゆうれい

        思ってもみなかったことだけれど ひょんな流れで大ベテランの盲導犬ユーザさんと手紙の交換をすることになった もちろん、点字で。 点字の読み書きにまだまだ慣れない私に、その方が思いがけず、さらりとおっしゃったのだ じゃぁ、私と手紙の交換してみる? うすうす感じていたことだけど、見えない見えにくい人たちは、自分だけじゃなく誰かのために動くことが大げさじゃなく自然だ 持っているものを惜しまない 文通と言うより添削指導と言ったほうがぴったりくるかもしれないが 生まれて初

        • 出会うことの不思議

          家族の付き添いとして年に1度しか行かない大学病院で、とある視覚障害のある方と出会いました 白杖のその方はヘルパーさんと、私は盲導犬とその場に来ていました 見える方からすればどちらも目立つ存在でしょうが、お互いよく見えない者同士、しかも面識もない者同士が不特定多数の人が自由に出入りする場で出会うのは決して簡単なことではありません 蟻の巣のアパートのようにあまたある診察室の、とある一室の前で、ぼんやり順番を待っていた時 そこを通り掛かったその方のまだわずかに見える片方の目

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        少しずつ目が見えなくなる人に世界はどう見えてきたのか

          盲導犬の本当のすごさ

          5月 3人と1頭で 空を飛んで親類に会いに行ってきた 盲導犬はスーパードッグではあるが どうしようもない赤ちゃんでもある だから旅行は赤ちゃん連れのつもりで動くとちょうどよい 食事、排泄、休息、受け入れてくれるホテル探しや飲食店での入店交渉…etc. 白杖なら必要のない時間と労力を同行者にもたくさん使わせることになる それでも私の家族は面倒くさがらず、私の相棒・姫を家族の一員として、ごく当たり前に協力してくれた 家族だけでなく旅先で関わった人たちも 姫の様子にみ

          盲導犬の本当のすごさ

          耳で本が読める幸せ

          文字が見づらい私は耳で本を読んでいる その音声読書を始めてから スマホのメモに残した読んだ本のタイトルが99になった それまであまり本を読まなかった私が 本を読み始めたのは 世の中のハンデのある人達はどういうふうに生きているのか知りたくなったから そして 視覚がないとどうなるのか、本当に視覚は一番なのか、人として失くすとやばい感覚は何なのか  どんな本を読んでいても、いつもその視点は消えない そんなマニアックな視点で本を読む人はあまりいないと思うけど 意外な本に

          耳で本が読める幸せ

          3度目の「ぐりとぐら」

          調味料、洗剤、診察券、カード類、書類のファイル 当初は、そんな身の回りのモノの識別ができれば十分、と思っていた でも、点字が読めるようになってくると、指が「もっと読んでみたい」と欲する 文字を覚え始めた幼児のごとく、まずは簡単な絵本から…と 図書館で点字絵本「ぐりとぐら」を借りてきた 初めて触る点字絵本は イラストが立体的に点の凸凹で表現されていて、表紙の題字の周りもオリジナルで模様が施されていてなんだかお洒落 これはしっぽかな。じゃあこれをたどればぐりとぐらだな

          3度目の「ぐりとぐら」

          点字を読む〜指先触読装置化計画進行中

          「ひとりで学べる点字触読テキスト」 読書工房 発行 「ひとりで学べる」 なんて、半信半疑だったけど 本当にできた! 春から通っている点字教室は、実は晴眼者向け初級講座 需要がないからか視覚障害者向け講座がないので、私のためにサポートを1人つけてくれて、一緒に参加させてもらっている だから、というか 晴眼者が点字を学ぶ目的は主に点訳なので どうしたって点字のルールや打つことが中心で 触読まではなかなか時間が取れない でも私が1番身に付けたいのは、やっぱり読むこと

          点字を読む〜指先触読装置化計画進行中

          地球の歩き方〜とあるオバチャンと犬の場合

          私にとって外の世界を例えるなら 水の中 白い光の中の時もあれば 深い霧の中の日もある 空一面が雲で覆われた日や日暮れ時は特に すべてが同じトーンで包まれた世界の中に ぽつんとひとり取り残されて 自分が景色の中に溶けてしまうような感覚にくらっとする いちど外に出たら家に戻れるだろうか? 本気で頭をかすめる時もある その感覚が怖くて 外に出るのをためらう日が増える でもある時、先が見えてなくても前に進める自分に気がついた 足元を意識して何回も同じ道を通っていれば、曲が

          地球の歩き方〜とあるオバチャンと犬の場合

          旅とおしゃれ、ふたたび

          3月 盲導犬の姫と歩き始めてひと冬が過ぎた頃 娘ももうすぐ春休みだし、そろそろ姫と遠出してみたいな、名古屋位がちょうどいいかな なんて考えていたら 大阪の友人からLINE 名古屋に行くんやけど出てこーへん? 以心伝心? なんとグッドタイミング! 行く行く!と返事をしてから24時間も経たぬ間に友人が盲導犬OKのホテルを探して予約してくれ、行くことが決定していた この友人、1人でどこへでも行くフットワークの良い、旅の達人とでも言うべき友 とにかく目的地にたどり着

          旅とおしゃれ、ふたたび

          指先触読装置化計画

          点字を習うことにした となりのまちまで、私の相棒である盲導犬の姫との外出訓練も兼ねて 電車とバスを乗り継いで、途中姫の排泄タイムも考慮して往復7時間半 講座は2時間、なのに田舎では車が運転できないと1日仕事になる そういう田舎特有の事情を考慮して、簡単な点字なら生活指導員さんが自宅に教えに来てくれる選択肢もあった だけども月2回、全10回ほどを通うことができれば、姫と行ける場所もぐんと広がる それに自宅に来てくれるのはありがたいが、そろそろ誰かと出会う環境に身を置

          指先触読装置化計画

          映画「目の見えない白鳥さん、アートを見に行く」

          ラジオでただいま地元で上映されていると知りすぐに見に行きました びっくりするぐらい画面は見えなくて白鳥さんの姿も声で想像するだけだったけど、スマホの音声ガイドのおかげで楽しめました 去年本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞された川内有緒さんの「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」を読んでから、私も白鳥さん方式やってみたいなーと思っています 数年前のこと 美術館にアルフォンス・ミュシャ展を見に行ったのですが、作品保護のためもあり通常よりもかなり暗い会場で、素描のような

          映画「目の見えない白鳥さん、アートを見に行く」

          孤独を選んだ先に自由がある

          自分が他人とは違うということを自覚して 標準的な世界に生きることをやめた人たちは とても清々しくて ユニークで 魅力的で 面白い そういう人が持っている孤独は 決して寂しいものではなく 強くてカッコよい そしていたって楽しそうに生きている 本やpodcastを聴いて いろんな人の考えや内面を知っていくと 世の中で活躍している健康で才能があって何不自由なく、自分とは最初から次元が違うと思っていたあの人やこの人も 実は何かを抱えていて 標準的な世界との違和感をふっ切っ

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          独特は最上の褒め言葉

          ある時ラジオで知った言葉が、自分の体感とピタリと重なった    「人は精神が豊かになればなるほど、独特な人間がいっそう多くいることに気がつく 普通の人たちは 人々のあいだに違いがあることに気がつかない」 ーブレーズ•パスカル「パンセ」よりー • • • 「身体の中でなにかを失うとしたら、目が見えなくなることが一番キツいね」 と慰めにならない慰めを言われたことがある 普通はそう思うのも仕方ない でも いろいろなことを知ると 必ずしも単純にそうとも言えない むしろ目が

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