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ちょっと変なフィンランドが、やっぱり好き

いつもは旅の思い出を書かせて頂いていますが、今日は閑話休題。
TOKYO ART BOOK FAIR 2023(東京都現代美術館)で、在フィンランド歴30年のムーミン研究家&翻訳者 森下圭子さんと、フィンランドでグラフィックデザインを学び国際的に活躍しているAYA IWAYAさんのトークを聴きました。   フィンランド愛にあふれ、1時間ちょっとがとても短く感じられました。 備忘録として、自分なりに感じたことを書いてみます。


笑顔で登場したお二人、開口一番に森下さんがおっしゃったのは、「フィンランド人ってこういうとき、内心すっごくワクワクしていても笑わないんですよね」 
ほんと、そうなんです~~ 初めて読んだとき、自分そっくり!と親近感を覚えた絵本のマッティを思い出しました。 

シリーズ3冊目の「フィンランドの不思議なことわざ: マッティの言葉の冒険」も出版されています




そして、森で迷ったときのお話が最高でした。
あるとき森下さんがお友達と森で迷ってしまい、早くしないと日が暮れると気持ちはあせるばかり。お互いの居場所を確認しながら離れて道を探していると、しばらくしてお友達の気配がパタッと消えてしまいました。一体何が起きたのかと見に行くと、生えているベリーをもぐもぐ食べていたそうです。この状況でこうする!?と衝撃だったそうです。後日談もあって、別のフィンランド人に話したら、「いや、ベリーを見たらそうするでしょ」 さらに「迷っていると思わなければ焦らないし」「世界の方が迷っている」etc      

フィンランド人て、ときどき変なこと言うよね」という言葉が私にはジャストフィットでした。幸福度や自然との共生、整う・自分らしくある等々いわれても、この「なんか変」な感じにジワっときます。

さらに、以前は日本と並んでうつ病や自死が多く、その対策として「自分の居場所を見つける」ことが重要視されてきました。居場所は家庭や所属するコミュニティとは限らず、森でもなんでも良くて、森や庭に「自分の木」を持っている人もたくさんいます。居場所探しは社会的ニーズから段々低年齢化して、最近は幼児まで及んでいるとか。
環境や人間関係はなかなか自分の思い通りには変えられない、そんなとき、世界から切り離されたと感じるのではなく、自分には居場所があると思えるなら絶対的な安心感につながります。 これはとても響きました。 


グラフィックデザイナーのAYAさんの、ジェンダーを超えている(or もう終わった)という主旨の発言も印象的でした。  
留学以前に10代でフィンランド生活を経験しているAYAさんだからこその感覚なのかもしれませんが、最近の若い方は、そもそもそんな違いを気にしていないように見えたりして、のびやかで素敵だなと思います。

デザインを手がけたベイビーBOXについて語るAYAさん


アートブックフェアでは、トーベ・ヤンソンの視点のコーナーが設けられ、キュレーターの森下さんが自ら解説されていました。 こじんまりしたスペースでしたが、貴重な展示に、たくさんの人が足を止めて見入っていました。

トーベの生涯と多彩な活動が一目でわかる年表


壁には、トーベの島「クルーブハル」とキノコの写真パネル


編集者に宛てたトーベ自筆の手紙


トーベが描いた「不思議の国のアリス」の挿絵 


昭和の昔、外国のお話は大抵、”少年少女世界の文学”的な全集本シリーズの1巻として刊行され、挿絵も原作とは違う人が描いていました。

なんとミイがミイ子になっています   挿絵は井上洋介さん


初めて単独で出版されたムーミン本 


トーベの書いた文学作品。


こんな大規模なフェアが10年以上開催されていたなんて、全く知りませんでした。若い人のエネルギーが溢れていて楽しかった☆

外にも行列ができていました


ちょっと変なモノ・コト・ヒトに会える大好きなフィンランド、もっと行きたい!