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#13 新ヴァラモ修道院(フィンランド・北カレリア)

フィンランド東部の北カレリアに、新ヴァラモ修道院があります。フィンランド正教会で唯一の男子修道院です。 

修道院の歴史は、ラドガ湖の島(現ロシア連邦カレリア共和国)にあるヴァラーム修道院までさかのぼります。ヴァラーム修道院は1917年にロシア革命が起きてフィンランドが独立したときに、フィンランド正教会になりました。しかし1940年の冬戦争でソ連に敗北して占領されたため、190人の修道士たちは戦禍を逃れて北カレリアのヘイナヴェシにやってきました。そして、ある館で修道院創設者のイコンを発見し、神がこの地へ導いてくれたと確信して、新ヴァラモ修道院を設立したのです。

カレリア地方は今も国境を挟んで、フィンランドとロシアに分かれています。歴史に翻弄ほんろうされた修道院には、現在10名ほどの修道士が暮らしているそうです。ホテルやカフェレストランを併設し、多くの観光客を受け入れています。 私は滞在中のコテージから車で訪れました(2022年8月)


入り口の門
 クロスの下部が斜めになっている十字架は、スラブ系正教会にみられる「八端十字架

 

入り口を入ると、まずこの並木道を通ります。 歩く瞑想が似合いそうな小道は、とっても気持ちが良い! 雪景色はきっと幻想的でしょう。

ところどころにベンチが置いてあります


すぐ右手に見えるのは Monastery Hotel    修道士の住まいだったというホテルは、宿坊らしい簡素な作りです。

一般客も宿泊可



玉ねぎ型の屋根がひときわ目をひく主聖堂。 

青い空に白亜の聖堂が映えます
鐘楼
入り口


内部は正教会らしく豪華絢爛ごうかけんらんですが、人里離れた自然のなかにあるせいか、明るく澄んだ感じがしました。

聖堂内部


茶色の建物は、インフォメーションセンター&ホテルのレセプション。

ギフトショップも充実しています


案内板


広い敷地には船着き場やサウナ、博物館、散歩道もあります <画像:パンフレットより>


お目当てのレストランで遅い昼食をとりました。 

カフェ・レストラン Trapesa
デザートや紅茶も美味しいビュッフェランチ。  奥には修道士の姿も。
太陽と豊穣を願う光のモビール、ヒンメリ
みがき上げられたサモワール
そろってイケメン過ぎる? (不謹慎ですみません・・・)


くるくる模様 ◎◎


敷地を歩く修道士


フィンランドは寒冷でブドウが育たないため、ベリーでワインやリキュールを作っています。

ワイナリー  
修道院特製のベリーワイン  (写真は近くの町のAlko=アルコール専売所で撮ったもの)


White Gest House   


8月初旬の昼下がりは、うっすら汗ばむような陽気でした。 

緑の庭にあふれる光



最初に作られたオリジナルの教会も残っていて、夏だけ公開されています。  

Old Church  
こじんまりして、どこか親密さを感じる空間でした


Valamo Lay  Academy       スピリチュアルやアートをテーマにした年間約150のコースを提供


今回はガイドツアーには参加せず、周囲もあまり散策しませんでしたが、羊さんたちにも会えるようです。


北カレリアの首都ヨエンスーからはバスで1時間ほど。 ぽつんと立っているバス停には、行きも帰りも人影がありませんでした。

豊かな自然に囲まれた、穏やかで美しい場所でした。コリ国立公園観光の途中で訪れると良いかも知れません。 ガイドツアーの他、湖畔のクルーズもあり、時間があればゆっくり一泊してみたかったです。 
 


<公式サイト>