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心配症の社会人が知らないおじいさんと話した日のこと

私は心配症である。ときどき「ニンゲン怖い」と思う時がある。その気持ちに、ぎゅっぎゅっとフタをしている。

そんな私は、今よりFAXや電話が活躍していた頃に社会人になった。

その頃、毎日全国からたくさんのお問いわせが入り、私はかけ直してお問い合わせに答える仕事をしていた。難しいことではないのだけど、聞いたことのない方言だったり、怒っていたり、話が長かったり、相手はさまざまだ。

ある日、ふっと、一瞬、「ああ電話がつらいかもしれない」と気づいてしまった。沈んだ心で、PCを操作しながら、初めて電話をするお客様にかけた。

トゥルルルル、トゥルルルル
(出ませんように)トゥルルルル

「はい」
繋がってしまった。

…いつも通り説明をするけど、どこか力が入らずボソボソと話してしまう。

そんな私に
「どうした、お腹すいてるんか?」と孫に言うように優しく言われた。

ああ、そうだ、知らない人がみんな怖いわけではなかった。そしてお昼が三交代制の三番目の時間だったので、その日私はものすごく空腹だったのだ。

空腹は力が入らない。

ようやくお昼休みになりコンビニ弁当を買い行った。初めて話した知らないおじいさんの優しさとコンビニ弁当で午後もいつも通りに過ごすことができた。

クリエイターとしての創作活動に使わせて頂きます。 よろしくお願いします。