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「星の王子さま」の星を読む(3)〜王子さま旅に出る

王子さまとバラ

地球にやってきた王子さまが会いたくてたまらなかったバラとは、サンテグジュペリにとっては愛しい妻コンスエロのこと。

ホロスコープの中で金星が表すものは、美しいもの・好きなもの・恋人...夜空の明星のごとくキラキラしていて魅惑的で、それが時に人を惑わせる。物語に出てくるバラは擬人化された金星にぴったりな気もして、それを意識してキャラクターを作ったのでないとしたら、コンスエロが金星の化身のような女性だったのか?

たった一本の美しいバラは王子さまの初恋だったのかもしれないけれど、そのわがままで尊大な態度から、王子さまは自分の星を離れ旅に出ることを決心した。地球で出会った100本のバラたちと、王子さまのバラとは、見た目は変わらない。だけど王子さまが世話をしたバラはたったひとつだけ。それが恋とか愛とかいうものの複雑なところで、本人にしかわからない心なんだろう。それに気づくのはもう少し先のお話。

6つの惑星

王子さまが地球に来る前に立ち寄った6つの惑星に、惑星を当てはめてみようと思ったのが、このnoteを書こうと思ったきっかけ。書かれた当時、冥王星はまだ発見されていなかったので、前述した太陽・月・金星を除くと、なんとぴったり当てはめられちゃった。あとは感覚を補う文章を、星の性質から自分なりに解釈してみたい。あくまでも大人の悪い面が働いてしまった場合の描写だから、人間の良い面、それぞれの星の特性も一面でしかないことを考慮して読んでいただきたく。ちなみに王子さまは太陽系の外側から順序良く訪れたわけではなさそうです。

【第一惑星:王様】天王星

王子さまと同じくたった一人で小さな星に住んでいる王様は、何をもってして王様なんだろう?それでもその星で最高君主であられるということは、いかなる臣民に対しても威厳を持って接しなければならない。
独立や改革の星と言われる天王星。王子さまは王子さまでいい意味で世間知らず、王様の命令をただ受け入れるのでなく自分の希望を述べてみたところ、悪い人ではない王様はなんとかしたいと思うけど、太陽系の絶対の王は太陽だから、夕日だって小さな星の王様の思い通りにはできないのだ。

【第二惑星:うぬぼれ男】木星

物事を拡大し発展させるから幸運の星とも呼ばれる。自分を大きく見せる自惚れ屋さん、そりゃ自分が崇高だと思っていたらある意味幸せそうに見えるけど、相手からは滑稽にも映る。幸せだって人それぞれ。近くで見ているとそれしか見えなくなる自己像を、大きくなったと勘違いすることもあるだろう。たまにはうんと遠くに離れて、本体の小ささに気づくこと。

【第三惑星:酒飲み】海王星

無意識や精神性を表す星で、暴走するとアルコールやドラッグなどの海に溺れてしまうことも示唆する。夢や希望をわすれてしまった、かつての一人の王様なのかもしれない。
2020年現在、海王星はホームの魚座にいます。夢や幻想を抱きやすい星廻り、嗜む程度ならよいけれど、どっぷり浸かるのはかんがえもにです。なにごとも、スパイス程度、ほどほどに。

【第四惑星:ビジネスマン】火星

モーレツにバリバリ仕事をするビジネスマン。だけどやっていることとは星の数をただ数えているだけ。それって誰のための仕事?やる気を向ける方向がわからなくなると、火星を上手に使えなくなる。それに気づいて燃え尽き症候群になるのが恐くて、人は働き続けてしまうのかもしれません。
私も火星の使い方を誤ってたことに気づき、いったん火を弱めました。ほんとうに火力が必要なタイミングに適正な火入れができるように調整中です。

【第五惑星:点灯夫】水星

1日に何度も街灯を点けたり消したりする点灯夫のいる星は、地球時間の88日間で太陽の廻りを一周してしまう水星の他に当てはめようがないと思うのだけど、実際には水星のある地点の昼夜の長さはそれぞれ公転周期の2倍になるそうだ。それでもやっぱり、地球から見ると駆け足で進み年に三回も逆行する慌ただしさ(?)は点灯夫を彷彿とさせる。
それでもって、こんな大変な仕事を「規則だから」とサボらずちゃんとやってるのは、太陽の従順な参謀である水星しか考えられないだろう。王子さまもその忠実さには好意的な印象を持ったようだ。なぜなら「自分以外のものの世話をしているから」。だけど、その星には点灯夫しかいないのに、誰のための規則でしょうか。ほんとうは誰だって自分のために最良のことができるはずなのに。その星にいれば24時間で1440回も夕日が見れたのに、二人がいるにはあまりに小さすぎる点灯夫の星。王子さまは大きなため息をついた。

【第六惑星:地理学者】土星

太陽の近くをせかせか動き回ってる水星に対して、遠くから客観的に眺める土星といった趣きの地理学者は、自分自身で体験したものではなく、冒険家から聞きかじった情報と「証拠の品」でもって図鑑を編纂している。しかも地形限定で、王子さまの星のバラのことには関心がない。なぜならバラは「はかない」ものだからだ。
儚いなんて言うと、以外と詩的だなとも思うのだけど、フランス語 éphémère のフランス語による意味を調べると「1日かそこらしか持たない」というような文章が書かれていた。もうちょっと地理学的な言葉を使うとしたらなんだろうか?だけどやっぱり「はかない」がぴったりなのかも。内藤濯さんの名訳というほかない。
王子さまははじめ「はかない」の意味がわからなかった。けれどちょっとひねったことばづかいだったからこそ、王子さまのバラの大切さを際立たせています。土星は星読みにおける人の老年期を表すから、地理学者も伊達に歳をとってる訳じゃないということなのかもしれません。
実際には宇宙も変動していくもので、ものすごく長い時間の尺度で見たら、一つの星の地形なですら「はかないもの」になるのかもしれません。ひとりの人間の尺度では、到底はかりきれません。

小さな星の王子さまは自分のバラが儚いものだと知り星を飛び出してきたことを一瞬後悔するけれど、宇宙の広さへの好奇心も膨らみきっています。「すぐに元気を取り戻し」地理学者おすすめの地球へ向かいます。

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