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仲山拓人のサイレント・ラヂヲ:第2回

 こんばんは。画家の仲山拓人(なかやま たくと)です。
 2月22日木曜日、時刻は午後10時を回りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 この番組は、滋賀県彦根市にある、私のアトリエからお届けする無声ラジオ。お気に入りの音楽や書籍、作品制作のお話などを中心に、のんびりとお送りいたします。お休み前のひととき、どうぞお付き合いください。


 まずは一曲お聴きください。谷山浩子(たにやまひろこ)で「風のたてがみ」。


 期待と焦燥が入り混じる、少し春の気配を孕みはじめた晩冬の風のような音楽ですね。弦楽器の風がヒリヒリと駆け抜けていくなか、柔らかくも力強く背中を押してくれる谷山浩子さんの歌声は春の兆しのようです。

 さて、今週の彦根は雨が多く、太陽がほとんど顔を見せませんでした。「四温の雨(しおんのあめ)」といったところでしょうか。『雨のことば辞典』という本でこんな言葉を見つけました。

 春先の三寒四温の、暖かな四温の時に降る雨。「三寒四温」は、寒い日が三日続くとその後暖かい日が四日つづくこと。この天気現象は朝鮮半島や中国北東部ではもっとはっきりしているというが、日本ではそれほど顕著ではない。冬の寒さと春の暖かさが入りまじりながら季節が移ってい行く日々、天気の崩れが寒い日に当たると雪になり、暖かい日だと雨になる。それが「四温の雨」。

倉嶋厚、原田稔編著『雨のことば辞典』(講談社)116頁より

 寒さが緩んでいる一方で、お出かけ日和とは言えなかったので、ちょっと気分がふさいでしまいましたが、これから過ごしやすくなっていくのでしょう。やはり暖冬のようで、寒い寒いと言いながらも、今年の冬はまだ楽だったような気がします。ただ、暖冬の年は変な時期に大雪になる印象があるので、まだ気は抜けませんが。


 ではここでもう一曲お届けいたします。榊原大(さかきばらだい)で「雨花火」。


 今週の雨ではどうも気分が沈んでしまった私ですが、実は雨は好きなんです。もうちょっと暖かくなって、気持ちに余裕が出てくれば、どちらかというと今お聴きいただいた「雨花火」のような印象で受け止めることができそうです。雨音は耳に心地よいですし、景色がいつもより鮮やかに見える気がします。それに春は空気が埃っぽくなりがちなので、雨上がりの清々しさも際立ちます。

 三寒四温とはよく言ったもので、また少し寒さが戻ってきている気がします。明日からの三連休は晴れ間も見えそうですが、先週末に比べると気温が低いようです。お出かけの際は、油断して体を冷やさないように気を付けてくださいね。
 そして、この三連休、私は人力車のお仕事です。彦根のご城下をご案内させていただきます。
 彦根城自慢の桜にはまだ早いですが、城内各所、日当たりの良い場所から梅の花がだいぶ咲いてきています。大手門を入ったところには400本の紅白の梅が植えられた立派な梅林があるのですが、こちらは白梅が先に咲き始めていました。紅梅はまだ開いていないようでした。梅林の見ごろはもう少し先になりそうです。
 彦根城の天守閣ですが、ただいま耐震化工事を行っていて、しばらくの間入ることができません。その代わり、彦根城の中堀沿いで唯一現存する門櫓、「佐和口多聞櫓」が特別公開されています。普段は見ることができないのでぜひのぞいてみてくださいね。
 見ごろにはまだ少し早い彦根城ですが、見どころは花や、天守閣の中だけではありません。穴場の見どころにもご案内いたしますので、ぜひ人力車にも乗ってみてくださいね。週末は彦根城表門でお待ちしております。

 それでは、最後に一曲お聴きいただきながら、今夜はこの辺でお別れいたしましょう。体調を崩しやすい時期ですから、皆様どうぞご自愛ください。


 Aimer(エメ)で「六等星の夜」。

 また来週。おやすみなさい。


本日ご紹介した音楽と書籍

  • 谷山浩子『漂流楽団』(YAMAHA,1995年,YCCW-10151)より「風のたてがみ」

  • 榊原大『As for You』(BMG,2004年,BVCF-34109)より「雨花火」

  • Aimer『六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR』(DefSTAR RECORDS,2011年,DFCL-1794)より「六等星の夜」

  • 倉嶋厚,原田稔(編著)『雨のことば辞典』(講談社,2014年,ISBN978-4-06-292239-5)


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