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色の刺激

初出版から[15年+]超えの処女作、《貧乏画家のセピアな銀幕》。

いっとき、ネット検索で[¥25,000]の価格を見かけ呆気にとられたことがある。

“…え゛!? 絶版ゆえのプレミア??”

価格は変動するようで、今は[¥6000強]辺り…。

…てなシーハナは、さておき。

タイトル中の“セピア”は、いわゆる色褪せ系。彩度奪われし褐色、あるいは茶色。

その錆び朽ちた色調は、ほぼ万人の脳内で――“古びた”“昔”“レトロ”“あの頃”“懐かしい”――風味が生成されようね?

セピア色を初め、褪色系とゆーものは、実に切なき情感をヒトに抱かせる悩ましき色…。

さて最近、クルマを買い替えた。23年目の新調。

クルマ年齢≒わんこ年齢――と自説を強要すりゃ、ヒト年齢換算で80歳辺りか?

晴れて勇退の車色は、黒。紫外線やら怠慢やらで、廃車に至る数年間で一気に経年褪色。

ルーフとボンネット限定の、ツヤ消し。

“色褪せぐらい!動きゃいいさ”派だったが、黒塗装の色褪せは“おお、水墨画の濃淡美!”とはお世辞にも。

然るべき色が然るべき色でなくなると、これほどゲッソリするのかとシミジミ。

…っつー、長い前振りを踏まえつつ。

壁掛け時計のリペイント。

新築祝いで貰ってから、リビングで時を刻むこと20余年。

吉祥図形っぽい八角形の、白地金縁。

時計なるもの、1日に見る回数はジブンの顔を鏡で見るより多いに違いなく。

ココロの深層に、無意識に積み重なってゆく劣化色残像を侮ってはなりませぬ。

色と香りは、何のフィルターもなくダイレクトに脳ミソを直撃するのだから。

金縁部分を残し、余白をマスキング。ゴールドのスプレー缶でシューっと霧吹く…はずが、時折玉落ち。缶、古かったかーっ!

だがしかーし!

これはこれで、仕上がり武骨なアンティーク調と化し、リビングの壁で更なる時を刻んでいる。

黒は黒に、白は白へ…

ヒトもヒト色、剥げることなかれ。

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