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ミケル・バルセロ展、東京オペラシティの優雅な空間にて。

先日初台にあるオペラシティ美術館に行ってきました。オペラシティは美術館やコンサートホールが併設させていてヨーロッパみたいな雰囲気が漂う建物です。また建物の中心がコロシアムみたいになっていたり、美術館の中もかなり天井が高く、少し海外を意識させる感じが素敵で好きな美術館のひとつです。

ミケル・バルセロはスペインのマジョルカ島出身で、海に槍もって潜ってタコとか自分で刺して取って来れる人らしいです。世界的にもすごく有名な作家ですが、日本ではほぼ取り上げられることはなく中々目にすることが難しい作家でした。しかし今展覧会は国立国際美術館(大阪)、長崎県美術館(長崎)、三重県立美術館(三重)、そして今回のオペラシティー(東京)の4箇所を巡回するほどの大規模展覧会でそのくらいの規模の作家です。

けしてバルセロの作品が小学生の頃とかによくある『別にいつ返してくれてもいいよ』と言ってほぼ借りパクされる漫画やゲーム並みの扱いだからこんなにぐるぐる巡回してるわけではありません。

しかもバルセロさん、顔メチャクチャかっこいいです!

芸術家じゃなくて俳優の方がよくね?って思いませんか?

今はこんなこんな感じですけど。

『私は90年代の初めから陶芸作品を制作していますが、2000年代からはサトウキビ畑で働いています。たまに密造酒とかも作っています』

とか言われてもあんま違和感ない顔つきです(笑)もちろんそんなことやってないんですけど。

ミケル・バルセロの作品はコラージュから抽象的な絵画作品や彫刻、工芸、パフォーマンスなど、とにかく元気に色々やります。海の男は元気です。最初駅のポスターとかでこの展覧会を知った時はそこまで関心がなかったのですが、いざ本物をみると印象が全く変わりました。

かっこいい…。

幽遊白書という漫画の最後の方でボスキャラみたいな人が魔界に行って、今際の際に

『来れてよかった』

って言うシーンがあるんですが、それを勝手に思い出しました。

出典 : 幽★遊★白書<17巻> 集英社発行

別に私は今のところ死ぬ予定ないんですけど(笑)

モチーフは本人のパーソナルな部分である闘牛とか、海とか、動物とか自然のものが大きく関わっています。少し前に行ったグランマモーゼス(世田谷美術館でやってました、現在は会期終了)もそうでしたが、作家個人が長年接してきた生活圏のものと深い関わりがあるものは説得力があります。

こういうのもなんか白いぐる〜っとしたものだけなんですけど、感じ入るんですよ。

なんか人が作りしものは不思議だな、と宇宙人のようなことを考えてました。

で、これは多分に作品が展示されている空間の関係があると思いました。

オペラシティのような天井も高くちょっと外国の美術館のような場所で、さらに人もほとんどいない平日に(みんな働いてんだからお前も働けよってかんじですが)、ぼんやりこういう何が描いてあるかがわかりにくいものを一人で眺めているととても考えさせられます。

これは六本木の森美術館みたいな場所で夜の街のお姉さんと腕組みながらこのあとの食事と夜景とホテルのこととか考えながら絵を見ていたらまず湧かない感情だと思います。(別に私がそういうことを六本木でしてるというわけではなくて、森ビルにはそういう系の人が多いってことです)

こちらの絵などは正面から見るとわからないのですが、横から見るとかなり盛り上がっていて、やはり作品の良さや迫力は実物を見ないとわからないと思います。

拷問とか罰ゲームに使えそうですね。

近目で見ると月の表面みたいな絵でしたが、仮にタイトルが『 HANAKUSO』とかだったとしてもへー、HANAKUSOかぁ、かっこいいな、とか思って見てしまいそうな作品でした。

こういうのは正直深遠なタイトルでもナンバー5364みないな謎の数字でもハナクソでも、なんでも合う気がします。実際のタイトルは『緑の地の盲人のための風景Ⅱ』でした。

なんかぶっ刺さってました。


海のスープ!!!!

スープ・ストック・トウキョウさん、やばいですよ!すごい規模の競合がスペインから現れました!!!スープ・ストック・トウキョウに対して相手は海・全部スープ。もぉトウキョウのスープストックじゃ全然足りません。これに対抗するには宇宙スープ作るしかありませんね!!

でも本物を見ると結構感じ入るものがあって、本当考えさせられました。
それはいわゆる技術的なうまさに感動するのとは違う、もうちょっと生身の自然をみるようなごろっとした力強さみたいなものがありました。

特にこちらはスペインの闘牛をもとにした作品なのですが、作品も3メートル×2メートルくらいあって本当にグッとくるものがあり、しばらく立ち止まって見ていました。

しかしこんなに作品はいいのに館内はガラガラでした。

美術館の受付では『ソーシャルディスタンスをお願いします』とか何度も言われたのですが、僕と監視のおばちゃんくらいしか人がいないんだからディスタンスもクソもないだろって感じでした。

というより大きなお世話ですが、ソーシャルディスタンスを気にする前にもっと集客を気にした方が良いのでは?と思いました。時間的なことも相まってなんか異様なディスタンスが僕とおばちゃんの間に存在してましたし。空と君との間には…的な(笑)

あとこの日の本題は併設されているホールでクラシックコンサートを聴くことでした。

よく音楽とかバレエとかのドキュメンタリーを見るのですが、そのためだけに彼らの肉体は特化した体として作りあげられ、そこに人生を捧ぐようなとことろがあってその必死さには本当に感じ入ります。こういうものに接するたびに自分の仕事も同じ意識で行わなければならないのだと気持ちを引き締められます。

今回の演目のメインはマーラーの交響曲第5番。

特に有名なのは第四楽章の『アダージェット』、有名な『ベニスに死す』のテーマ曲です。

音楽の内容も相まって聞いている最中も帰る間際も改めて思っていました。

今日は本当に

出典 : 幽★遊★白書<17巻> 集英社発行

アトリエもこんな感じ(来れて良かったとか思える体験)を提供できたらいいなと思っています。

なお六本木では同時期に五美術大学展も開催しておりました。

こちらは去年の五美大のブログになります。

彼らの作る作品は本当に面白いので、是非ご一読ください!

ちょっとオペラシティのコロシアムのような形と似ていますね。

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