見出し画像

ニッポンの芸術祭〜『亀山トリエンナーレ2022③〜重要文化財編』

前回の続き〜

次は重要文化財を紹介します。

市内にはたくさんの重要文化財があり、それらが当時のままの状態で残っています。また普段から見学も可能ですがトリエンナーレの期間中はそういった重要文化財の中にも作品が展示されています。

〜旧舘家住宅

the 昔の建物って感じです。東京だとオシャレな古道具屋とかオーガニックカフェが間借りしてそうな雰囲気です。

真っ白な壁の美術館ではなくてこういった場所だからこそ作品が映えるというのがあります。

こういう作品はその場所との調和、その場だからこそというところがあってそこが美術館のような白い壁を背景にした作品とは見え方が違う(代替可能性が高くないその場限りの見え方)ということだと思います。

右の階段から上に行くことができます。

階段上からの眺め

階段を登ると…

えぇっっ!??何この人面犬…!?みたいなのがいきなり出現しました。

先に進むと…

もっといたよ(笑)

わんさかいます(笑)

階段を登るといきなり出現する不思議オブジェ…。こう言った突発性がインスタレーションの面白さです。

そしてこうった一見ランダムに配置されたようなオブジェも、実は目線の誘導の仕方などが実に丁寧に設定されていいます。
勝手に人の作品で恐縮ですが、どういった目線誘導かを説明します。

①でまず画面右ハジ手前から中央のオブジェへの導入、②で視線を左に流れていたのから右側へ戻しネットの方向へ誘導、③のネットで再び左に揺さぶって一番奥のオブジェに目を向かせて、④のオブジェと上のダイナミックな木でジェットコースターのように下から上、そして入り口にぐるっと目を動かすように流れを作っています。
これらはけしてお化け屋敷風オブジェを適当に配置した結果たまたまなったものではなく、的確な技術に裏打ちされた構成なのです。
(…たぶん)

屋敷の上には一階と同じく規模の広い空間が広がっていて部屋もたくさんあります。

ちょこんと置かれた割れた破片を糸で包んでいます。こういうのはまさにこういった仄暗い家屋の中の照明や場所性があるから作品として成り立つのだと思います。これをそのまま美術館に移植しても同じような感じ方にはならないでしょう。

そしてこう言った場所(都会の喧騒から離れて山に囲まれているとか)へ出向いたり、トリエンナーレというたくさんの作品が集まる場所だからこそ機能しているところがあると思います。

続いては

〜加藤家屋敷跡

メキシコの「死者の日」という祝祭日からインスピレーションをうけて作られたインスタレーション作品のようです。ちなみにこちらの作品は地元の小学生や絵画教室の子どもが作品制作に関わったりしたとのことでした。

snsで写真を集めて亀山の人達から借りた器にボールを入れてそれらを反射させるっていう作品です。視覚的にも綺麗でなおかつ発想が面白い作品でした。ちなみにこちらは大賞受賞作品です。

メキシコのインスタレーションもそうですが昨今の現代美術の作品は共同制作やなんらかの形で他者が作品に関わるものが多く、そういう点が職人の高い技術の上に成り立つ『工芸品』と『美術作品』のあり方の違いだと思います。

外にも色々な作品があります。

〜佐野家照光寺

こちらはアメリカのニューヨークからの作家の方々を招いた展示スペースです。

などなど、商店街編から今回の重要文化財編まで紹介した全ての作品が歩いて回れる圏内にあります。

都会の喧騒を離れしばしこういった場所を一日歩いて予期せぬところ(住宅街の中)にお茶屋が出現したり、やたらいいお肉を出してくれる松坂牛の老舗が商店街にあったり、お客さんとタクシーで山間部のイタリアンに夜ご飯を食べに行ったり(あまりに店がなさそうな雰囲気で誘拐されるかと思いました)など、期間中は毎日とても楽しかったです。

今回初めてトリエンナーレというものに参加して普段とは異なる形で作品制作、展示をすることになりましたが、展示方法や地域の人との協力の仕方、予算組みなどとても考えさせられることが多かったです。

そして遠くからお越しいただいた方々、場所をお貸しいただいた作品展示場所の家主の方、実行委員の皆様ありがとうございました。皆様の協力があり無事展覧会を終えることができました。

なお、この後岡山、新潟と立て続けに訪れて他の芸術祭も見てまわりました。

それらの芸術祭も『ニッポンの芸術祭』シリーズとしてこれから取り上げていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?