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信夫の夢女子を拗らせた私~『元彼の遺言状』を読んで~

最初の五ページで、私は信夫に心を揺さぶられた。
彼の幸せはどこにあるんだろうか。

みなさんこんにちは。長井彩子です。
『有隣堂しか知らない世界』で紹介されていたので、新川帆立先生のデビュー作『元彼の遺言状』を購読しました。
初めてのミステリー小説です。

ミステリーと言えば、『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』。
弁護士と言えば『逆転裁判』。
そんなイメージでいましたが、この作品は私のミステリーの概念を一掃する作品でした。

このミステリーすごい!

金田一やコナンのような、🔪人のトリックやらアリバイやらが殆ど無いのが新鮮でしたね。元彼の栄治が何であんな遺書を遺したのかとか、栄治のお家の会社が絡む企業間のなんやかんやの謎とかのほうにフォーカスしていたって感じですね。
「この先どうなるんだろう?」「こうなるの!?」「それでどうなるの!?」みたいな気持ちをひたすら掻き立てられ続けながら、ページをめくっていました。

※ここから先は、物語の終盤のネタバレを含みますので、読了した方のみお進みください※





そして、私の心に居座り続けたのが、信夫。
プロローグで、サプライズで用意した婚約指輪を、主人公の剣持弁護士に「こんな安物しか用意できなかったの!?」ってキレ散らかされた信夫。

ワァー(´;ω;`)

目次の次のページに、今回のメインである、遺言状を遺した元彼の家系図が載っていて、元彼の名前が栄治だってちゃんと書いているのに、そこをすっ飛ばしてしまった私は、「彼女に、サプライズで用意した婚約指輪を安物だってボロクソに言われてそのまま亡くなったのか信夫!あんまりだよぉ~よよよ」と思いながら、剣持弁護士と後輩君のやりとりを読んでいました。
遺言状を遺した元彼が信夫じゃなかったと知って安堵しましたが、「まあでも出番あれだけなんだろうな」と思いました。

しかし。
中盤のちょっと終盤よりのところで、剣持弁護士が「君にはお金よりも大事なものがある人の気持ちがわからないんだろう」と篠田にクビにされて(この展開もかなり驚きました)、無気力になったところ。
まさかの、信夫からの連絡。
あれだけボロクソに言った女を喜ばせるために、もっといい婚約指輪を用意したって…。メールも電話も応答がないから手紙を書いたって…。
え、神か天使なんじゃないかな信夫。

信夫ぉ~(´;ω;`)

もう、そんな女放っておきなよ~。
家事や料理が得意な男の価値がわからない女なんか忘れて、もっといい女探しなよ~。
四十万の婚約指輪を喜んでくれる女のところへ行けよ~。

信夫ぉ~(´;ω;`)

でも信夫にとって、麗子ちゃんは魅力的な存在だったんだろうなぁ…。
そんなことを思いながら、クライマックスを見届けました(想定外過ぎる展開に変な声が出ました)。

そして最後。
村山さんとか銀治さんの想いに触れて、成長を遂げた剣持弁護士は思うんですよ。
『信夫からもらっていた手紙に、返事を書こうと思った。』

信夫ぉ~!!!!!

この後、二冊ほど剣持弁護士が出てくる小説が刊行されていることは知っています。
果たして信夫とはどうなっているんだろう。
いずれは読むつもりでいますが、触れられてなかったらちょっと寂しいな(笑)

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