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鉛筆の色の美しさに気づく/おとなの基礎デッサン③「グラデーション」

前回の4B鉛筆による紙コップで感じた色幅の必要性を抱きつつ、次の課題は「グラデーション」となります。

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スケッチブックに引かれたマス目に沿って5B~2Hまでの鉛筆を使用、一本につき8マス、その鉛筆で描ける最も黒い色から真っ白一歩手前の色まで「グレー」の諧調をつくっていきます。
重ねる線の本数や筆圧をコントロールしながら、できるだけ均等なインターバルになるよう心掛けます。音楽で例えるならばちゃんとド・レ・ミ・ファ…となるようにしていくのです。
ひとマスずつの美しさもさることながら、一列完成した時の調和を何より大切に、丁寧に行っていきます。地道で特訓的な作業の繰り返しとなりますが、「鉛筆でできる表現」を理解するためにとても大切な課題です。スポーツでいうところの素振りと同じです。

そのようにして、それぞれの鉛筆の特徴、その一本の中で表現可能なグレー色の幅、さらに「鉛筆の色の美しさ」を学ぶことがこの課題のポイントとなります。同じ「黒」や「グレー」でも、墨や木炭、絵の具などでは、その表現は異なってきます。鉛筆は鉛筆の良さ、鉛筆ならではの美しさがあります。
デッサンは突き詰めて言うと、如何に豊富なグレーを、適切に画面上に配置できるか、ということでもあります。その為にまず表現可能なグレー、自分の中の引き出しを増やすこと、そしてなにより調和のとれた鉛筆の色の美しさを知っていることが重要となります。

丹念に行い完成させたグラデーションの一枚は、それを教えてくれるのです。✍️

Text = 本田雄揮(アトリエ5)
Edit = Tatsuhiko Watanabe(遊と暇)

Website http://atelier-5.com/class/adult

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