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Food Safety Culture(食品安全文化) / Food Safety-Ⅱ を考える ④食品防御と食品安全文化(後編)

こんにちは! あたたけ です。

引き続き、『食品と科学』2021年11月号および12月号に寄稿した内容です。

前回は『④食品防御と食品安全文化』と題し、『食品安全文化』というものを踏まえ、『食品防御』を、あたたけなりにまとめました。
で、最後の一文で『監視の重要性』を示唆してみました。
『監視』といえば『監視カメラ』を思い浮かべるかもしれませんが。。。。さて、どうなることやら。

ということで、第4幕後半、はじまりはじまり~
(本文の頭は前回の最後と同じです)
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4)食品防御と食品安全文化
現状の対策が無意味になるような犯罪方法、つまり「現状では想定外の犯罪方法を、延々と想定し続ける」というものは苦痛でしかありませんし、無意味にも思えてきます。

スライド1

さて、このような管理の限界を多くの方が感じているであろう状況で、一手に解決するための手段はないのでしょうか?
あるとすれば「監視」というものだと、筆者は考えています。

防犯という観点から「監視」の目的を考えてみると、以下の3つが考えられます。
 ①不審な行動の監視(発見⇒捕獲)
 ②犯行計画者への牽制(予防)
 ③事故発生後の調査

この内、③は事故を防げていませんので、実はあまり意味がありません。
監視を「監視カメラ」で行う場合、①については、「設置箇所を明かしてはダメ(わざわざカメラがある場所で犯行に及ぶ人はいない)」「常にモニターを見張ることが必要(モニターを見ていないときに犯行に及ばれたら意味がない)」という要件を満たす必要があるため、現実的とは言えません。ですので、食品防御での監視カメラの目的としては「犯行計画者への牽制」のみが現実的には機能しているものと考えられます。

スライド2

さて、監視カメラの目的を「牽制」と書きましたが、実際には「矯正」と言っても良いでしょう。監視カメラを設置するということは、悪意を持った犯罪者(予備軍)に対してだけでなく、悪意を持たない従業員に対しても「見張っているのだから、悪いことをするな」という、経営層の意思表示に他なりません。
これは、「刑務所と同じ発想」だと気づく必要があります。従業員を監視して矯正しようという組織に、「従業員が組織を大切にする文化」「品質向上に取り組む文化」「食品安全文化」が根付くわけがありません。
食品防御の最重要事項として「従業員の不満解消」「従業員の繋がり」などを挙げている組織が「監視カメラ」を設置するのは大いなる矛盾です。そのような意見を見越してか、名前を「品質カメラ」「安全・安心カメラ」等にしている組織もありますが、名前を変えても本質が変わるわけではありません。
監視カメラは食品安全文化を妨げるものでしかないのです。

では、どのような「監視」が食品防御として適しているのか。
これは「(複数の)人の目による監視」に他ならないと筆者は考えています。

密告が推奨されるような文化を持つ組織では、人による監視もカメラと変わらず不満のタネになってしまいますが、「従業員の会社への愛着」や「従業員の自主性の向上」あるいは「倫理観の向上」を達成すれば、「従業員によるゆるやかな相互監視」というものは、内部犯に対しても、外部犯に対しても、監視および牽制の両立が出来るのではないでしょうか。

スライド3

食品安全文化をきっかけに、「従業員の会社への愛着」「従業員の自主性の向上」「倫理観の向上」に取り組み、食品防御も解決する(食品防御を考える必要がない組織にする)ことを目指してはいかがでしょうか。

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ではでは。
今回はこの辺りで!

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