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版元がブックフェアに出る意味とは?

IN/SECTSの松村さんに誘われて、大阪KITAGAYA FLEAに参加させてもらいました。
日本各地、台湾、韓国の書店、版元を60社ぐらい呼んでの大きなブックフェア。これほど大きなブックフェアに参加させていただいたのは、アタシ社としては初めてです。
台湾勢は10年来の友達、「離譜」の田中くんがコーディネートし、NUMA BOOKSの内沼さんが韓国の方たちをコーディネートしていました。

まず驚いたのは、韓国、台湾の方々が持ってきている本の質の高さ。
紙質、製本、装丁、こだわりぬいた本たちが並び、文字が読めなくても飾っておきたくなるものばかり。知り合いの方でも「今日で3万円使ってしまった」と言っていました。

出版社にとって、読者や自社本に興味がある客層を生で見れることは貴重です。基本対面販売をしない版元にとって、本を作った経緯とか内容をしっかり言葉で伝えられることは大きい。

人の感情は、人の感情によって動かされる

1日目、他所のブースが気になってフラフラしてたせいか、アタシ社の本はそんなに売れませんでした。一方、2日目は本を手にとってくれた人たちと積極的に話し、本の内容を伝えることで1日目より3倍売ることができました。
本に興味があること以上に、「本を作っている人に興味がある」。人の感情は、人の感情によって動かさせられる。美容師をやっていたときの感覚を思い出しました。

ただ本を売る。

それだけでブックフェアを出るならば、版元にとってそんなに大きなメリットはないでしょう。初めて会う読者の方が、「髪とアタシずっと読んでます」「たたみかた、すごく感動しました」という偶発的リアクションを垣間見れるから、ああ、来てよかったなあ、と思えます。
今回はたくさんの編集者の方に声をかけてもらえたし、嬉しかったのは書店員さんからの注文が現場で取れたこと。ここでも仕事の拡がりを感じられました。

元日販の碇さん。東京から来たお客さんも、たくさんいました。

大阪在住のイラストレーター多胡さん。髪とアタシでイラストを描いてくれたご縁から。

本がコミュニティの媒介を果たすようになったのは、いつからなんでしょう。
本と出会うことは、誰かに出会うことと同義だから、手に取ってくれた人には特別な想いが生まれます。

たくさんの人に会うことで、たくさん本が売れる

こういう地方出店での醍醐味のひとつに、夜の飲み会がある。
ここでも碇さんがはっちゃけていますが、スタンダードブックストアの中川さん、大阪港区区長の筋原さん、ブックスキューブリックの大井さん、UR都市機構の小正さん、grafの服部さんはじめたくさんの人がいます。
これはやっぱり「大阪」でしか見れない光景で、港区区長が一曲歌ってくれる、みたいなこともここでしか見れないわけです。

本を100冊売ることも大切なんですが、100人の新しい知り合いに本を渡す方が、その後容易に300冊売れるかもしれない。そんなことを本気で考えています。こういう出会いこそが版元にとっても編集者にとっても財産になると思うと、ブックフェアに出てよかったと思えます。

次回アタシ社が出店するブックフェアは松本「あそびなおす」
今回もたくさんの出会いがありますように。

ミネシンゴ

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