運命のいたずら
いかがお過ごしでしょうか。
なんだかだるいなぁという日もあれば、鼻歌スキップをかます日もある。
気分は、変わりやすい天気だ。自分を理解し、7割くらいは当たる予報ができるようになれば過ごしやすい。
私は、まだまだ天気に振り回されてる。
晴れのちくもり、所により雨でしょう。そんな今日の絵はこちら。
テーマは「強く美しい憧れ」
私には幼いころからの夢があった。
それは、アフリカに行くこと。
小学生の頃は豊かな自然に惹かれ、中学生の頃は野生動物に惹かれ、高校生のころは少数民族の魅力に取りつかれた。
色んな切り口から、アフリカへの愛を募らせていった。不思議なことに、マイナスイメージは抱いていなかった。
とにかくアフリカに行けば「生きていることを実感できる」と思っていた。
都会暮らしが田舎暮らし抱く憧れと似たようなものである。人工物に囲まれ、パソコンと向き合う日々に飽き飽きし、田舎で自給自足の生活に憧れるやつだ。
田んぼだらけの田舎育ちの私は、その憧れの対象をアフリカにしていた。
そして、昨年夢が叶った。
3週間のホームステイという形で。
鼻歌スキップをかましながら日本を去り、24時間後に夢の地に到着。
目に入るもの、耳に入るもの、口に入るもの、全てが夢に描いていたものだった。
あれほど、一瞬一瞬に心を躍らせた経験はない。全てわからないことが、心地よかった。
正解を知らないでいることを恥ずかしからず、純粋無垢な好奇心に突き動かされるだけだった。
気づくと、私は丸裸だった。もちろん、内面的に。それは爽快だった。
子どもの頃に戻ったように、楽しいと笑い、悲しいと泣き、不味いものには不味いと言っていた。脳みその使い方を改めなおしていた。
その天真爛漫な自分が好きだった。どれが本当の自分なのかなんてわからないが、それをとても気に入った。なにより楽だった。
日本に戻ることが心底嫌だった。ずぶ濡れの心で帰国した後も、「アフリカに帰りたい」とポソリポソリと口癖のように呟いた。
そして、次はいつアフリカに帰るかということで、頭が支配された。今までにないくらい、その目的を果たそうと生き急いだ。完全に取りつかれていた。天真爛漫な私は、アフリカから持ち帰ることができなかった。
そして、行く当てのないアフリカへの愛を周りにぶつけ散らした。もちろん、受け止める人は数少ない。
いたるところで、必ず「どこが好きなの?」と言われた。私は「アイスクリームが好きなのに理由がないのと同じで、理由なんてないんだ」なんてことをぶつけ返した。
これは、完全に恋である。私は一目ぼれをして、盲目になってしまっていた。
なんてこった。やっぱり恋ってこわい。いや、なにより私の恋の対象は無制限なのか。
いけないいけない、落ち着こう。そうやって落ち着けべ落ち着くほど、心を埋めていたアフリカ愛は、2日目のわたあめのようにしぼんで消えていった。残るのは、虚無。
生まれて初めての経験だった。
私の幸せはアフリカにあるんだとうるさかった私は、どこへ。今の私は、なに。なんだろうなぁ。
なんとも不思議な感覚である。これほど私の心をかき乱し、真っ黒に焦がした、アフリカ。未だ、やけどは治らず。
これは、運命なのでしょうか。
10年以上私の気をひき、ついには引き寄せ、離れられなくなった。なにが私をそうさせたのかは、誰にもわからない。見えない何か、もしくは前世からの何かがあったのか。うーん。
失恋できない恋ほどつらいものはないよ。
まぁ、終わらせなくてもいっか。一緒に前に進めばいい。
運命には逆らえないからね。
ゆるりゆるりと身を任せよう。
また逢う日まで、愛しい私のアフリカ。
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